余談 カイエちゃん徒然記
クレフがいないと、私の単純な構造の物語が終わってしまって、人生という途方もない海に落ちたのだと強く実感する。だから彼のそばを離れたくなかったのかもと最近思うようになった。彼は非日常だった。私の舞台の勇者様を適切に演じてくれた。でも医務室で眠っている彼を思い出すと、私の世界に突然現れたという理由だけで主人公を押し付けられてしまった普通の青年に、その間違いの代償を支払わせているのではないかと思って辛かった。
私がおしまいの後にいるのは想像もつかなかった。でも、私がいたのは舞台の上ではなかったのだ。ただ太陽が昇って、明日は来る。置いていかれたような気持になった。セリフも立ち回りも正解がなくて、カイエゲルダという人間も、私が拘泥していた正しいことを為さなければならないという価値観も、ただの役だったのではという思いに駆られて溺れそうになった。
あまりにも環境が変わってしまった。過去を手繰り寄せて自分を見失わないように、私が埋もれて消えてしまわないように、しかし息を吸うたびに何かを選ぶたびに自分が薄まるのを感じながら、自分というものの脆さの中にいるうち、だんだん気にならなくなった。そんなことを考えている余裕がなくなったのかもしれない。
クレフの目が覚めて、勇者狩りの騒動に巻き込まれて、騒動が終わって、そんなの関係ないと言うように彼はどこかに出発してしまった。
心配しなくても、クレフはやっぱりなんだか変だった。普通なのは寝ている時だけだったかもしれない。彼がよくわからないことに巻き込まれているのを見て、良くないとはわかりつつ、「主人公」をやめないでくれそうなことに嬉しくなった。
勇者狩りの話題は本当にすぐに下火になった。いくら中央が都会だとはいえ、話題が廃れるのが早すぎると焦燥に似た感覚を覚える。
……かくいう私も、昨日はエルトアさんに茶話会に誘ってもらって楽しかったから、騒動のことなんかただの一瞬も思い出すことはなかった。
けれど、それ以上の話題で持ちきりになってしまった感が大きいのだというのは肌で感じた。勇者狩りの裏で糸を引いていた政治部門の責任の話や、先走って誤情報を流す情報屋の信用の話でヴェルギリアはまだ騒然としている。機関のロビーもどこか剣呑な雰囲気で、少し怖かった。無理にでもクレフについていけばよかったという気持ちになった。
騒動の翌日は、朝刊紙はどこも勇者狩りに関連した勇者部門の失態の話題ばかりだった。デマだから勇者部門に特にやましいことはないとは言え、大々的に紙面に情報は刻まれた。
あの政治部門の人は複数の情報屋さんに情報を流していたようで、情報屋さんたちはとにかく他社を出し抜こうと競って記事を書いたみたいだった。
フェルミは騒動の晩に手は打ったと言っていたけれど、結局全てのデマを潰すことが出来なかったみたいだし、特ダネ放出の好機と見られたのかそこそこ本当にやらかしている情報も混じっていたそうだし、全く上手くやれていない様に思えた。そして、騒動の後数日間は勇者部門の門やロビーに色々飛んできていた(例えば火炎瓶とか爆発する魔法具とか)のに、あまりにも動かない執政官代理のフェルミを見て不安になる気持ちはあった。というか、皆不安がっていた。
ゲールクリフさんが中々帰ってこないから、フェルミドールが執政官代理をしている。誰も文句を言っていないから、彼が代理を務めることは前から決まっていることだったんだと思う。でも、もう少し誰かマシな人物はいないのかと思わなくはない。
彼はなんというか、騒動の中心にいる一方で全く歯牙にもかけていないようによく執務室で昼寝をしていた。夜も9時には寝てしまう(3時には起きているみたいだったけれど)から、機関の事務局の人が頻繁に悪態を叫びながら走り回っていた。何度も血走った目で叫びながら走り去っていく人とすれ違って、かわいそうに思った。ヴェルギリアは不夜城と言われるだけあって、夜の方が活発な人も多い。
そんなこんなで数日勇者部門に敵意が向いたものの、唯一対抗する記事を書いた「朝のニワトリ屋」さんの記事がどうやら正しいらしいという流れになってから、なんだか別の火蓋が切られたようで、とかくどこの情報屋からも号外が発行され、情報が錯綜し、道端に落ちている新聞が増えた。
何が起きているのかよくわからなかったけれど、情報屋どうしを対決させて潰し合わせられたことで訂正料を支払わなくて済んだから勝ちだというのがフェルミの談だ。
あの政治部門からのタレコミは勇者部門と政治部門どっちが正しかろうが、情報屋からすると、うしろ暗い方から記事取り下げ依頼料なりを得られる良い餌で、機関として誤情報だと情報屋に知らせても、記事を取り消してくれるとは限らないし、介入もまた権利の侵害だと言って取り沙汰される可能性が高いらしかった。
機関は出版物の検閲も行っているけれど、それは機関を設立した貴族が独断で行っていた事業だったから、それを行っていた家が傾いた今では風向きが変わってきたのだという。……ちなみにその家はフェルミの実家らしい。
ともかく正面からいっても機関と情報屋が争う図になるだけだから、デマはつぶさないでおいたそうだ。それで、いつでも勇者部門に厳しく、情報屋の中でも大手のニワトリ屋だけを味方に選んで、裏で糸を引いている政治部門と情報屋同士の争いという図に誘導したことでフェルミの仕事は終わっていたそうだ。聞いた時は半信半疑どころか全疑だったけれど、確かに、すべてのデマを沈めなかったことで、ニワトリ屋と戦わなければならなくなった別の情報屋さん達はこぞって自分たちは政治部門に騙された被害者だと主張し始めて、政治部門が誤情報を流した証拠が残ったし、民間の敵意がより苛烈に政治部門に向いた。フェルミは、勇者部門が黙っていてもあまり目立たなくなって仕事が楽だと言っていた。
それからも色々聞いていたら、それくらいちょっと考えればわかるだろと言われてしまった。政治部門のほうは勇者部門が頑張って収拾の手を打つだろうと思っていたみたいで、対応が遅れたらしかった。彼らが「デマをどうにかしろ」と怒鳴り込んできた時には既に政治部門が悪いという風潮が出来上がっていて、フェルミは「会議なんぞしているからだ」と珍しく大笑いしていた。火炎瓶が飛んできていたら普通どうにかしようと動くだろうと思った。フェルミからすれば、既に手は打ってあったのでしょうけれど……。周りの人たちは首を傾げてフェルミドールは運がいいと言っていた。私も正直、そう思う。
結局、フェルミの目論見通り世間の目は政治部門の方により厳しく向いているようだった。機関として一括りに扱われていないんだ、と強く思ったのは清掃活動と銘打たれた新聞拾い、もといフェルミのお使いをしている時に「頑張って悪い政治屋さんを倒してください」と子供に声をかけられた時だった。怖い世界に来たと思った。
ニワトリ屋さんの信用を勝ち取れたのは、フェルミの失態で死んだはずの捕虜であるオルストネストさんが生きていたことが大きいし、彼は気絶しているクレフを機関まで一緒に運んでくれた恩人でもあるので、フェルミも私も挨拶に行かなくてはならないというのは常々話題に上がった。それで、表立ってニワトリ屋に出入りできないフェルミの代わりに私が行くことになった。色々理由は並べ立てられたけれど、多分フェルミが行きたくないだけだと思った。
ニワトリ屋さんは都市の特に活気のある区画にある情報屋で、ニワトリのマークが入った緑の看板を下げていてわかりやすかった。周辺区画は他にも情報屋さんが多いこともあってか、行きかう人達もどこか意識が高そうで、気後れした。流行の最先端はここです!と喧伝しながら歩いているような人がいっぱいいて怖かった。
アシュハイムはちょっと田舎だから、というか田舎であることを誇りに思っていて、「我らこそ時の何たるかを知っている」と言った具合にやや都会を見下しているような都市だったから、少しここの雰囲気は慣れないと感じた。
意を決してニワトリ屋さんの扉を開けると、外装から受ける印象に違わず狭いスペースに少人数ながら殺気を漂わせている人たちが目の前をどんどん横切って行って、威圧感で外にはじき出されるかと思った。私はどこにいても邪魔に思えた。
ニワトリ屋さんは陰湿なインクと怒号に塗れた、思ったより苛烈な場所だった……。予定の取り付けはフェルミがやってくれたから、私がここに来ることは通達済みだと思うのだけれど、それどころではなさそうだった。
「ああ、おい、嬢ちゃん。あ~悪い。もうちょっと待ってろ、な……」
「長官!この記事日時ズレてます!消しで今からレイアウト変更して夕刊に滑りこませます!許諾を!」
「間に合うかオイ。なんで今気づくんだよ!おい担当誰だよ!クソ!オイ待て、俺の記事じゃねえかよ。あ~。ギ~~~!!クソが!やれ!」
と、長官と呼ばれた見知った背の低い情報屋さんが積みあがった資料を運搬しながら、私に構っている余裕はなさそうに横を通って行った。ニワトリ屋長官さん、名前は聞いたことがあったけれど、会ったことのある人だと今初めて気が付いた。
確か、エントに行く前にクレフとフェルミがなぜか戦い始めた時、審判をさせられていたし、酒屋でクレフの隣に座っていた。……彼が一番勇者部門に厳しいらしい。「撃墜王」だとクレフも言っていた。
記憶を整理していると、仕事場の奥の方から「オルストネスト!」と名前を呼ぶ大声がして、
「あれ!カイエさんじゃないすか。早い……と思ったけど予定通りの時間っすね。どうもどうも」
と奥から橙味の強い金髪の青年が顔を出した。
「こんにちは。お元気?」
「いや~この通り元気っちゃ元気ですけど、見方によっちゃ死にそうっすね~。」
オルストネストさんはトホホ、と頭を掻いた。デマを本当にしてしまおうとする勢力に何回か命を狙われたらしい。駆け寄ってきた彼にもろもろの意味を込めた手土産を渡して、彼が案内する部屋に移動した。手土産を選んだのはフェルミで私は中身を確認していないけれど、重さから言ってお菓子の類でないのは確かだった。
案内された部屋は資料室のように見えた。大きい机があるほかに、大きい棚がいくつもあってぎっしりと分厚い冊子が並んでいる。
「クレフさんは?もう体調大丈夫そうすか?」
オルストネストさんが机に備え付けられた椅子を引いて私を座らせると、自分も隣に座った。彼は机に肘をついて指を組むとその上に顎を乗せた。
「ええ。どこかに行ったわ。」
「失踪?」
「半分そうね。監視を振り切ってしまったらしいわ」
オルストネストさんは大げさに驚いて、「大事件っすね~」と手を叩いて笑った。
「中央の言葉、お上手ね」
「ま~、もともと結構行き来してたし、結構前にここの大学通ってたんで。」
あら、高学歴だわ。大学というのはなんだか、組合の延長みたいな、自治にうるさい学問機関だとフェルミが言っていた。エントのカルト集団が学者めいた人物の集まりというのは間違っていなかったみたい。
「そうそう、俺下っ端なんで。今日は資料検索の勉強ついでにカイエさんが知りたい情報があれば一緒に探しとけって言われてて。なんかあります?」
と言いながらオルストネストさんは、棚から分厚い冊子を取り出して捲り始めた。
「忙しそうなのに、ありがとうございます。でも、これと言って知りたいことは思いつかないわ。」
私がそう言うと彼は少しの間きょとんと目を丸くしていた。何が意外だったのだろうと考えて、私がフェルミのお使いだから何か要求してくると思っていたんだろうと思った。
「……まあ、アレルシュタルトだったらここを頼るまでもないんですかねぇ」
と言って皮肉めいて視線を斜め上にやった。私の予想は合っていたみたい。
「フェルミには特に何も頼まれていないわ。」
「そうすか。あ~、良かった。正直ひと安心です。俺が大学にいたころに結局一番怖いのはあの家だって皆に言われてましたから……。」
改めて私が言うと、オルストネストさんは胸に手を当てて深呼吸してみせた。
「フェルミは勘当されているみたいだけれど。」
「試験落ちでしょ?正直放ってはいけない奴を放ってしまった感がありますけどねえ。」
と苦笑いした。
「あ、これとか興味ありません?階級検査の後のインタビュー。原稿付きだから記事にしてないところもありますよ。……クレフさんとかのもあるんじゃないかなあ。」
彼はずい、と冊子をこちらに寄せた。実際の記事と原稿がファイリングされていた。触っていいか確認してページをめくると、恒例の記事のようで、十数ページにわたってそのインタビューだけがまとめられていた。検査は勇者部門と魔法部門どちらも実施するけれど、検査は年二回だけということもあって、記事自体も少なくて遡るのは簡単そうだった。どうやら、その検査で一番目立って活躍した人がインタビュー対象みたいだった。
一番古いページを見てみる。ページの位置から言って時期は十年くらい前かしら。
Q:改正後初の階級検査の一位となったわけですが、今の心境はいかがでしょうか。
A:これまでの積み重ねが実を結んだという喜びも大きいですが、ともかく首位としてより気を引き締めて責務を果たしていかなくてはと感じています。肩書ばかりが大きくなっていくようで、気恥しいものですね。
なんともまともそうな回答。首位と書いてあるけれど、間違いなくフェルミではないと瞬時にわかる内容だと思った。よく見てみるとテネブリーズさんの回答らしい。あの人とはまだあまり会話していないから、勇者狩りの騒動の功労者ということしかわからないけれど、私のことを心配してくれたのでいい人なんだと思う。
Q:5位戦での剣を取り落とした場面からの挽回は素晴らしかったですね。危機的状況でも平静を保つコツなどがあるのでしょうか。
A:とにかく自分の呼吸を意識しています。自分はそれで熱中して視野が狭まるのを防げるような気がします。
Q:追加報酬は何に使う予定ですか?
A:幼少期に価値がわからず手放してしまったものがありまして、それを買い戻そうかと考えています。 Q:好みのタイプは?
A:えっと(笑)家庭的な方でしょうかね。
「もうちょいマシな質問ないんすかねえ。」
と、オルストネストさんが記事に茶々を入れた。彼は理想のインタビューについて語っているようなのだけれど、あまり聞こえなかった。恒例の記事なら、彼の好みも書いてあるのでは、と想像がめぐるとなぜか心臓が跳ねて集中できなくなってしまったのだ。存外クレフのことが気になっていると気づいて、ちょっと恥ずかしくなった。呆れたともいえる。
原稿には、「この人は殺気立っていて怖い。」という文字を消して、「そんなことなかった。」と走り書きのメモがあった。
「知り合いですか?」
少しこのページに留まっていたからか、オルストネストさんが聞いた。頷いて、ページを捲った。
ここに来てから仲良くしてもらっている人が、機関の中でも重要人物なんだと改めて認識する。ページを捲るたびに見知った名前がちらほら出てくる。
エルトアさん、アルバルト君……そんな名前を思い浮かべてページを捲っていると、原稿と記事の内容が見るからに違うページに目が留まった。これが最新のページのようだ。
「……。」
「例のフェルミドールさんすね。」
Q:今回の検査で首位の最長記録を更新したことになりますが、今の心境はいかがでしょうか。
A:……。(何も返してくれないので、次の質問に移りました)
Q:特に接戦もなく、全試合危なげなく制しましたね。
A:質問すらできなくなったか。
Q:追加報酬は何に使う予定ですか
A:その辺の犬にでもくれてやる。
Q:好みのタイプは?
A:今までの私の返答を聞いて、その質問を取りやめなかった分別のなさは讃えられるべきものだな。
原稿には、使えるところがない。と文句が書いてあった。実際、記事はフェルミではない別の人を急遽取り上げたようだった。
「マジでカイエさんがいてくれてありがたいっす。俺の尋問担当、この人だったんですけど、なんか……。ずっとこっち見ないで本読んでて、何も聞いてこないから本当に怖かったです。」
「そう……。」
あの貸本屋で見た本のフェルミドールは、一体どこから湧いて出た像なのか、本当に疑問に思った。私も見た目だけは良いと思う。前髪と襟足は長すぎるけれど。フェルミの酷すぎるインタビューから目を背けて、他の知り合いを探す。
Q:下限年齢での上位入り3人目となりましたが、感想はいかがですか?
A:自分にこんな力があったなんてって感じです!終盤は相手の方皆強くて何にも考えてる余裕がなかったですけど!
「アルバルト君ね。」
「カイエさん、彼も知り合いですか?これは、これは。あなたには今のうちに媚を売っておくしかねえ。」
とオルストネストさんは両手をもみ合わせた。フェルミのインタビューを見てからだと、取材者も心なしか生き生きしているように思えた。
Q:上位ライン突破戦での逆転劇、会場全体がとんでもなく盛り上がっていましたね。あのピンチはどのような気持ちで乗り越えましたか?
A:もう正直必死すぎて全然覚えてないです!でも声援が聞こえた気がして、頑張っちゃいました(笑)
Q:追加報酬は何に使うか決めてますか?
A:ちょっと良い肉食います。残りは家族に仕送りします!
Q:好みのタイプは?
A:……年上です。これ何かに載るんですか!?恥ずかし!
「いや~あざといね。」
「そうかしら」
彼はうんうん、と腕を組んで首を縦に振った。アルバルト君はエルトアさんと私を姉御と呼んだりする調子と元気のよい人だった。たしか、あの騒動のために結成された部隊の中だと最年少で、私の一個下だったと思う。まんべんなく皆と仲の良い貴重な人物だとクレフが言っていた。
「そうそう、今年はエルトアさんか、カイエさんが取材予定だったらしいんすよ。あなたは一日目の検査にしか出ていなかったし、エルトアさんは姿が見えなかったから取材できなかったみたいですけど」
「それで運悪くフェルミを取材することになってしまったのね。」
彼はまた首を縦に振った。ここで働き始めてまだ数日しか経っていない筈だけれど、かなりの事情通になっている。だいぶ馴染んでいるようで安心した。
また少し遡って別のページを見る。
Q:最年少での首位獲得おめでとうございます。今の心境は?
A:会場がうるさくて気分が悪い。
Q:今回の試験によって最高執政官直属勇者という肩書を得ることになりますね、そのことについてどんな気持ちでしょうか?
A:なんだ、それ。
Q:上位者追加報酬についてご存じですか?使う予定はありますか?
A:……わからない。
「これがクレフさんですね。……あれ?あの人こんなつっけんどんでしたっけ?名前クレフさんで間違ってないですよね。」
オルストネストさんに言われるまでクレフだと気が付かなかった。確かに記事にはクレフの名前が書いてあるけれど、彼の言うように今のクレフとは何となく差を感じる文章だった。根本的なところに、そうかもと思わせる部分はあるけれど。
Q:好みのタイプを教えてください。
A:……。適切に間合いを保ってくる相手は、緊張感があって好きだ。静と動の切り替わりがはっきりしている相手も見栄えが良くて、取り入れたいなと思った。そうだ、今回3位に入っているあの男、あれと戦いたい。試合形式のために当たらない相手がいるのは仕方ないと分っているが、戦いたい相手が当たる前に敗退すると残念な気持ちになる。
と、がっかりするような、安心するような内容が書かれていた。
原稿の横のメモには「ぼーっとした感じの、虚無みたいなやつ。残念な気持ちになるのはこっちだ」と書かれていた。
「6年前?すね。まあ、6年あれば人間、変わりますから。」
と首をかしげている。オルストネストさんはクレフの変なところをまだ目撃していないのだろうと思った。




