07 引きこもりはおはようがしたい (香織side)
ちょっと、長くなっちゃいました~
一昨日は良太が夜遅くなのに来てくれて、一緒に遊んでくれた。
私の昼夜逆転を直そうとしてくれたのか、自分が眠いのにも関わらず昨日の夜まで一緒にいてくれた。
良太に無理させちゃってなぁ~
私のわがままだっていうのは分かってる...
でも、一昨日は睡魔のせいでふわふわした状態で話していたから、良太としゃべった記憶がほとんどなかったんだもん!
今まで、喧嘩したときは全然しゃべらなかった時があったけど、何もない状態の時は一日に10回は必ずしゃべっていた。
そう思ったら、急に良太の声が聞きたくなってしまったのだ。
...そういえば、9時をとっくに過ぎてるのに、全然良太が来る気配がないな~?
もしかして、まだ寝てるのかな?
考えてみると、良太は一昨日の朝から昨日の夜まで一睡もしなかったことになる。
私のわがままのせいで...ごめんね...
...よし!良太を起こしに行こう!
べっ、別に?良太の寝顔が見たいわけじゃないんだからね!
た、単純に寝坊助な幼馴染を、起こしに行くだけなんだから!
このくらい、普通のことだよね?
そうと決まったら、私の行動は早かった。
窓から良太の部屋のベランダへ、静かに移動する。
良太の部屋の窓は...空いていた。
基本は私の部屋でゲームをするけど、偶には良太の部屋でやったりもする。
まあ、ほんとに偶にだ。何か隠してるのかな?
あとで、ベッドの下でも覗いてみよう。
そんなことを思いながら、私は良太を起こさないように静かに行動をする。
...戦士の必需品である段ボールでも持ってくれば蛇さんごっこができたのにな~
良太は...ベッドの上で寝ていた。
寝相はあまり崩れていない。
そういえば、良太を起こしに行くのは初めてだな~
学校に行ってた頃は、立場が逆だった。
私はよく寝坊をするから、良太が起こしに来てくれたっけ。
...学校かぁ~
フラッシュバックしかけた記憶に蓋をし、良太の寝顔を見ることだけに専念する。
どれどれ...良太はどんな寝顔で寝てるのかな?
ベッドを見てみると、私が見ている方向とは反対側をもういていたので、覗き込むようにして幼馴染の寝顔を見る。
おー!寝顔もかっこいいな~私の幼馴染は...
けど、口からよだれを垂らしていて、ちょっとだけかわいい。
私が良太の寝顔鑑賞をしていると...
「ん~」
急に寝返りを打ってきた。
うぉ!急に動かないでよ!
びっくりしたじゃない!
あ、顔が見やすいようにこっちを向いてくれた。
これで、もっと寝顔を見ることができる!...などと思っていると
「...へぇ?」
良太と目が合った。
ああ!まだ、しっかりと見てなかったのに!
「お、おはよう。」
とりあえず挨拶をしておく。
だが、私の幼馴染はボーっとしているだけで、何の反応も示さない。
「な、なによ!何か言ってよ...」
「ああ...え~と、おはよう?」
やっと返してくれた。
寝起きで反応の鈍くなった良太もいいね!
「なあ、香織?なんで俺の部屋にいるんだ?」
あ!理由どうしよう?
べっ、別に寝顔を見に来たわけじゃないけど、そんなことを言ったら引かれてしまうかもしれない...
「なんでって、良太がいつもの時間になっても来なかったから、何か病気にでもなったのかと思って...」
「ああ、ありがとう。俺は特に何ともないから大丈夫だ。」
「そう、それならいいんだけれど...」
よかった、何とかごまかせたようだ!
「それじゃあ、朝食を食べたらそっちに行くから待っててくれ。」
「分かった。」
ふむ...待っててか~、何して待ってよう?
ベッドの下でものぞいてみようかな?
などと、待ち時間に何をしようか考えていると...
「...いつまでいるんだ?」
「いつまでって、今良太が待っててって言ったんじゃない。」
なんだ?まだ、頭が回ってないのかな?
「...すまん、言葉が足らなかった。着替えをして、ご飯を食べたら行くからお前の部屋で待っててくれ。」
「え~いいじゃない。今日は良太の部屋で遊ぼうよー」
いちいち帰るのも面倒だし、パソコンは持ってきてはいないけどテレビや家庭用ゲーム機は置いてあるから問題はないよね。
「だ・か・ら!俺は今から着替えるの!それとも何か?お前は俺の裸を見たいのか!」
りょ、良太の裸~!?
確か中学校の水泳の授業で見たときは結構腹筋がついていて、引き締まっていた記憶がある。
今はあの時より背が伸びていて、体格も少し男の子らしくなってるから、ちょっとだけ見てみたい...
「そ、それは、見た...ぃ...わけなんてないでしょ!もう!良太のバーカ!」
見たかったけれど、さすがに本人を目の前に言うのは恥ずかしい。
「テラスと窓の間には注意しろよ~」
背後から私の身を心配する声を聴きながら、私は逃げ出すように良太の部屋を出ていった。
この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。