前世での無念、果たされし時。
わたしとハスベルはギルドの建物内の小さな部屋に連れ込まれた。
「尋ねられた事は全て答えたじゃないですか!」
「いやまだだ」
おじさんAがハスベルと睨み合う中、おじさんBがガチャリ、と部屋に鍵をかけた。
怪しい。
もしかして今私達は危機的な状況なのか?
だとするとまずい。まだイマイチスキルの使い方を把握できていないのにここでハプニングは…。
「ハスベル、おめぇ馬小屋に寝泊りしてただろ?なんで宿とってやがる」
「別にいいじゃないですか」
「おめぇの馬小屋、魔術で爆散しただろ?なんでだ」
「それは…その…」
「私が誤って魔術を家に放ってしまったからです」
ハスベルが困っていたようなので私が素直に言ったのだが、おじさん3人はお互いの顔を見合わせてゲラゲラと笑った。
「おじょぉちゃ〜ん、なーんでそうなるのかなぁ??まじゅつがどんなものかまだわかんないのかなぁ??」
「でゅひ、ハスベルに何か吹き込まれたのかもな、まだこいつは何か隠してるようだ。」
「何も隠してないだろ!何を疑ってるんだ!」
「とにかく、この子は我々が責任をもって保護する」
「おい!葵に手を出したら許さないぞ!」
おじさん二人がハスベルを押さえつける。
おじさんCが私の手を引っ張ってきた。汗ばんでて気持ち悪い。
ハスベルは陰キャ童貞むっつり変態だがいい奴だ、しかし、このおじさんたちは違う。ロリコン性犯罪者だ。
前世童貞だった私には分かる。
違うな、誰にでもわかる。
こいつらに「保護」されてどうなるだろうか、鑑賞ペットか?必ず危険な目に遭うだろう。ハスベルと野宿させられた方が倍マシだ。
「結構です、保護される必要はありません」
きっぱりとそういった。だが、振り解こうとした手が離れない。
「子供は遠慮しないでいいのさぁでふふ」
何がどう遠慮なんだ。話が通じないタイプだ。
「おい!嫌がってるだろ!」
ガンッ!
ハスベルの頭が強く床に押しつけられた。
この場面はアレだ、私が誘拐されようとしている。どうにかして抜け出さねばならない。
だとすればスキルを使うしかない。
何か、前世でやっていたゲームで使えそうな技は…
「風塵脚!!!」
足がふわりと浮き、おじさんCの顔面めがけて爪先が飛んでいった。
「おぉう!?」
が、避けられた。だがいい、手は解けた。
次は…攻撃だ、何か仕掛けねば。
「あ、あおい…にげろ」
なにかっこつけてんだハスベル。ここは素直に可愛い幼女に助けられたまえ。
攻撃、攻撃、炎、炎、
「フレイムアロー!!」
なんで矢なんだ!!と思ったが、弦もないのに手と手の間に炎の矢が生成された。
右手を離すと思い切り良く矢が正面に吹き飛ぶ。
吹き飛んでハスベルの体をかすめた。
「あぁっちゃっちゃっちゃ!!」
「ご、ごめんハスベル!」
「この幼女暴れるぞ!押さえろ!」
「フレイム…」
「わわ!こっちを向けるな…!」
「アロー!!」
「あっちゃっちゃっちゃ!!」
「ごめんハスベル!」
だめだ、狙いが定まらない。弓道でもやっとけば良かった。
矢が無理なら別の技にすればいい。
フレイムアローは私の好きだったRPGゲーム「ブレイシクル7」の技だ。この系統での技を思い出した。
「ファイアーソード!!」
やはり炎の剣が生成された。狭い部屋が一気に暑苦しい。
「あっちぃ!しまえ!あっち!あっちおめぇ!」
「あぁあっちゃちゃちゃ!!!」
「葵…ちょ…やめ…おれ…意識が…」
ドンッ!!!
「何事だーーー!!」
部屋のドアを蹴破って女性が入ってきた。
部屋の熱気が一気に外へ出る。
女性は部屋を見渡した。
フレイムアローのせいでヒビと焼け跡の残った石壁。
うつぶせているハスベル。
汗だくでヒイヒイ言ってるおじさん達。
「何をしている…お前達…」
怒りを抑えた声で、女性は問うた。
「これはハスベルに聞き込みを…」
「何故穏便に済ませられないんだ!戦闘になっているのはどういう事だ!」
「ひいぃっ!」
—-
「私の名前は、アイネス・クロフォード。部下が失礼な真似をした。申し訳ない。」
20代後半だろうか、艶のある黒髪を後ろで束ねていて清潔感のある女性だ。
明言する。私、ドストライクだ。
「この街の外で起きた魔術の元を調査して来いと言いつけたのだが、まさかこんな事になるとは…」
「本当ですよ…誘拐犯紛いのことするじゃないですか」
「すまない…あの男どもは日頃から女にセクハラをしている事が多々問題になっていたが、まさかここまでするとは思わなかた。あいつらは厳罰に処す。」
「そうしてください…」
「だが、葵と言ったか、確かに君は可愛いな。いや、美しい。魅惑すぎると思えるほどにだ」
真っ直ぐな目で褒められた。
自分の顔面偏差値は知っているが、そこまで褒められると照れちゃう。
「そして、あの魔術も君がやったのか…一体君は何者なんだ?」
「信じてもらえないかもしれないけれど気付いたらこの街近くの洞窟にいて…」
「そうか、ここらで洞窟というのであればイニシエの祠の事だろうか、ふむ。また調査が必要か?まぁいい。よく今まで生きてこれたな…この歳で辛かった事だろう…。」
アイネスは私をゆっくりと抱きしめた。
おっぱいがおおきい。
前世の事言ったらハグしてくれなくなりそうだし、言わないでおくか。
「身寄りがないのなら私のうちに来なさい。衣食住は困らせないわ」
「…ゆうかい?」
「そ、そんなつもりはないわ!あんな事があった手前、こんなことを言うのもだけど、信じて欲しい」
うーん。普通に優しいお姉さんか?
信用しないわけじゃないが、ちょっとだけ図々しくいこう。
アイネスには私達3人でお世話になる事になった。
アイネスと一緒に宿に戻ると詩織が抱きついてきた。
「葵!おいていかないでっ…!」
「置いていくつもりはなかったの、ごめんね詩織」
「…!詩織って、あなたもしかして華咲 詩織!?」
「知ってるのアイネス?」
「ええ、彼女は王族の子よ。もっとも、華咲家は今は…」
詩織はそんなすごい奴だったのか、確かに他の人らと比べて良い服着てんなとは思ってたけど。
「これは大変な事になったわね…」
「でも、アイネス。約束よね?これから3人でお世話になります!」
「えぇ、私が保護しますとも」
ギルドマスターアイネス。心強い。
私達はアイネスの仕事が終わるまで宿で待っていた。
結局この宿には1日しか泊まらなかったわけだが、なんと宿主のおじちゃんは金額を一泊分だけにして、残りのお金を返金してくれた。このおじちゃんはあのオヤジどもとは違うな。
アイネスの仕事はギルドマスターだが、そもそもこの世界においてギルドとは治安維持のためのものだ。
王都とかであれば騎士団が治安を守っているが、地方になるとギルドがその役目を主に担う。
アイネスはこの街のお偉いさんだ。
手早く仕事を切り上げたアイネスは、私達を家へと招待してくれた。
家は住宅街から少し離れた場所に建つ一軒家だ。一人暮らしにはちょっと大きい。
「ここが君達の新しい我家だ」
アイネスの家は水道設備ばっちりだ。馬小屋とは違うな!
「さぁ、お風呂に入るわよ。女の子がこんな汚くしちゃだめだからね。ハスベル君。ちょっとまってくれ」
アイネスは詩織と私をお風呂場へ誘導した。
なんだか楽しそう。
私は楽しみだ。女の子の裸と美人の裸が見れるんだからな。
詩織が私にジト目を向けてむっとした。
「じゃあぬぎぬぎしましょうね〜」
なんだその喋り方は、自分で脱げるんだが、完璧に子供扱いだ。
アイネスの全裸を想像して興奮してたんだが、何だか様子がおかしい。
「ア、アイネス…自分で脱げるよ」
「…は!すまない、余計なことをした」
そう言いながらアイネスが抱きついてくる。
「だ、だめだ可愛いぃ!」
「アイネス!いいからお風呂済ませよう!」
「!あぁ…そうだな」
アイネスは…ロリコンなんだろうか?
とりあえず私はせかせかと服を脱ぐアイネスを凝視していた。
やはりいい!
なにが?
胸だ!
アイネスは私達ロリにはない大人の女性の胸を持っているのだ!
服を脱ぐ度に揺れる乳をな!
「アイネスぅ、おんぶぅ」
「なんだ?服は脱げるのに湯船はまだ怖いのかぁ?ふふ、おいでぇ〜」
念願の女性のおっぱいだ。
前世からの悲願なのだ。
いや、今まで散々詩織や自分のは揉んできたが、ほぼぺったんこなので、女性の柔らかい肌という事以外特になかったのだ。
これが立体おっぱいなのだ。
アイネスに抱き上げられ、自然な流れで胸に手を置いた。
そして少し揉む。
柔らかい、これがおっぱい…!
「あらまぁ、魔術が使えたりハキハキ喋ってたりしたけど、やっぱりまだお母さんにあまえたい年頃よね」
アイネスはお母さんじゃないけどな。
アイネスの胸はD…E…?だめだ、前世でご縁がなさすぎてサイズ感が分からん。
巨乳というほど巨乳ではないんだが、この大きさ、幸福を感じる。
アイネスの胸を触りながらずっとニヤニヤしてると、先に湯船に浸かった詩織がジト目でこっちを見ていた。なんだよぺったん子。
アイネスに体を洗ってもらいながら我思う。
詩織もいずれ大人になるだろう。
それまで上手くこの関係を続けていけばおっぱいは4つになる訳だ。
自分のもあわせれば6つだ。
これはもうハッピーエンドなのでは?
そんな楽観的な思想を振り払う。
いや、まだだめだ。
私は前世で童貞のまま死んで決心したはずだ。
自分のハーレムを作ると。
それが前世でなしえなかった童貞卒業に匹敵する事なのだ!
この体でもはや童貞卒業はできないが…
この転生後ならではの魔術の行使。この力があればできるはずだ!
ハーレムを作る事が!
まだだ、まだこんなものじゃ足りないのだ!
血が体を巡るのがわかる。
私は今興奮しているのか。
ますます、楽しくなってきたぞ。この世界が。
全てはおっぱいのために!
もう一度アイネスのおっぱいを揉もうとしたタイミングで私は意識を失った。
———
「うぅん…あれ…お風呂は?」
「葵がのぼせたからもう上がったよ」
気付くと隣で詩織が横になって私の頭を撫でていた。
のぼせた?
いつのまにか、ぶかぶかのパジャマに着替えさせられてベットに横になっている。
「鼻血を吹き出したときはびっくりしたよ。どうせアイネスさんに興奮してたんでしょ」
「興奮して鼻血出すなんてそんなぁ。私幼女だし」
「元男でしょ、ヘンタイ」
詩織は頭を撫でてくれているが言葉の返しが冷たい。
「うー、もっとお風呂入りたい!」
「じゃあ入ってくれば?今ハスベルが入ってるから一緒にどうぞ」
「ハスベル…」
—-ハスベルの入浴——
水浴びはしてたが風呂なんて久しぶりだ。
浴室を開けた瞬間女性と幼女の匂いがする。
「なにを考えてるんだ俺は…葵が機転を利かせて俺までお世話になってるんだ。やましい事なんて…!」
彼女らが入ったであろう湯船がある
「こ、これは浸かっていいんだろうか。どうしよう、一旦流して、いや!水がもったいないかも、でもそれは理由にしてただ自分がこの湯船に入りたいだけなのでは?いや、しかし残されているというのは入っていいとゆう事なのではいや忘れている可能性も…」
「はよ入れや」
浴室を葵が覗き込んでいた。
とっさに俺は陰部を隠す。
「イヤーーー!葵のエッチイイイ!!!」