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おかねのかせぎかた

 

 朝、ハスベルがギルドでマニモニ草採集のクエストを受けてきた。

 ついでに私の服まで買ってきてくれた。白いワンピースのようなフリルの可愛い服だ。

 前回のマニモニ草の報酬をこれにつぎ込んだんじゃないだろうか、大丈夫か?

 何より、今からクエストに行く格好じゃないと思うんだが、そこは突っ込まないでおこう。

 素直に感謝した。



 さて、今回のマニモニ採集だが、やはり途中で魔物と出会うことはなかった。

 

 ハスベルの話からして、魔物は出ていた筈だが、何かしらの理由があってここが安全地帯になったのか?

 だとすると、マニモニ草の価値が下がりそうだ。誰でもとれてしまえば、供給量が増える。

 何より採集クエストとして扱われなくなるだろう。


 その事を話すとハスベルと詩織はせっせとマニモニ草を摘んできた。


———


 マニモニ草はまぁまぁいい値段で取引される。ツクシのような大きさをしているのだが、一本5S。


 この世界の単価はこうだ。


1G=100S

1S=100C


それぞれ、G=ゴールド、S=シルバー、C=カッパーだ。グラムやセコンドと見分けるため大文字らしい。


 この感じだとGが1万円、Cが1円ってとこだろうか。

 だとするとこんなツクシもどき1本で500円!?袋一杯にとってきてしまったぞ。


 ギルドで達成報告をすると受付のお姉さんは私達を怪しむ目で見ていたが、ちゃんと精算はしてくれた。

 そりゃぁ怪しいよな。子供の集まりだもんな。


 全部で4Gと20Sになった。大金だ。



 「ムシャムシャムシャムシャ」

 「バクバクバクバクバクバク」

 「ゴクゴクゴクゴクゴクゴク」


 大金が手に入って直ぐに3人で食事処へ入った。ギルド直ぐ横の「たびじたく」という店だ。


 3人揃って腹ペコだった。私と詩織に関しては毎日同じような木の実しか食べてなかったし、外食なんて別格だ。

 何も話さずに食事に夢中になっていたが、暫くして詩織が口を開いた。


 「こんなに一杯お金が貰えるなら、ずっとマニモニ草を集めたらいいわね!」

 「たしかにたしかに、楽だし危険じゃなくなったんなら受けない理由はないな!」

 「それはないと思うけど…マニモニ草の値段がさがるのも時間の問題よ」


 「…ずっと思ってたんだが、葵って幼いわりにずいぶんしっかりしてるよな…」

 「それはそうよ、だって葵はt...」


 ぐっと詩織の口を抑えた。ハスベルには教えない方がいい。だって、なぁ?


 詩織には二人だけの秘密、と説明した。詩織は目をキラキラさせて頷いてくれた。



 食事が終わって会計を済ませた。お金はハスベルが管理しているのだが大丈夫だろうか?私が管理したいところだが幼女だしな。


 家に帰る前にトイレは済ませておけ、とハスベルに言われた。馬小屋にトイレはないしな。何よりここは水洗らしい。


 トイレには鏡があった。そこで私は、初めて自分の姿を見た。



 美しかった。外観はやはり幼かったが、将来美人に成る確証が持てるほどだ。美しい銀髪に緑眼。自分に恋してしまいそうだ。幼女なのに。

 鏡で見ると、自分は6才くらいに見えた。


 大して催してないのだが、とりあえず済ませておこうと思い、個室に入っていたのだが。どうにもおかしい。

 自分の排泄物の事だ。

 おしっこならともかく、うんちに色がない。というか、うんちがうんちじゃない。


 あれだけ食べておいて、健康的なのが出る筈なんだが、お尻から出るのは透明な液体が出るくらい。この体どうなってるんだ?


 まぁいいか。私はうんちなんてしない。妖精さんなんだよ。きっと。




 取り敢えずトイレで自分の顔面偏差値を知れてよかった。



 トイレから出て、ハスベルに「下着を買うのでお金をくれ」と言った。

 20S貰った。

 服はハスベルから白いフリフリワンピを貰ったが、下着はずっと拾った布を巻いていたのだ。

 ハスベル君も、見えるならちゃんとした下着の方がよかろう?



 買いに行ったが、そういえば幼女だったのでブラをつける意味もなく。詩織がキャミソールと幼女パンツを選んでくれた…。


 早く育ってくれ、私のおっぱい。


 

 

———


 

 一週間ほど経ってもマニモニ草の相場はそこまで変わらなかった。私達が持ち込みすぎたせいか、価値が少し下がったが。直ぐに元に戻った。


 魔物が出ない異変に他の冒険者は気付いてないのか?そんなことありえるだろうか。



 私達は連日でこのクエストを達成しないように決めた。

 ほぼ子供だけで本来高難易度なクエストを何度もこなしていては悪目立ちするのもある。

 ハスベルは元々、クエストを受注してから三週間ほどしてから、クエスト達成ノルマギリギリ分を用意していたのだ。毎日クエスト達成はおかしい。

 なので、前と同じ頻度で量を増やし、クエストを受けてあえて二週間後にマニモニ草採取をする事にした。



 なので、時間ができた。


 私はハスベルにスキルについて教えてもらうことにした。


 教えてもらった事をまとめると、大まかなスキルは以下の通りだ。


 魔道スキル

 武道スキル

 生活(非戦闘)スキル


 その中でさらに細分化するとこうなる。

 

  魔道スキル


 魔術

  火魔術

  光魔術

  風魔術

  水魔術

  闇魔術

 召喚術

 付与術

  強化術

  紙儀術


  武道スキル


 体術

 剣術

 槍術

 弓術

 

 


 今のところはこのくらいらしい。生活スキルは雑に分けても多すぎるので割愛。


 というか、スキルの中でも〜流とあり、さらに細分化されたり。武術は新しい武器が広まればその武器の術ができるし、魔術に至っては、その威力が増すと名前が変わるらしい。



 まさに異世界って感じだ。


 「私もスキル使いたい!」

 「いや、スキルを使うには知ってる人に教えてもらう必要がある。あと習得までに時間が掛かるんだ。」

 「じゃあ何か教えてハスベル!」

 「そうだな、生活スキルの[整頓]を教えてあげよう!」

 

 なんだそれ、習わなくても使える気がする。


 「…魔法がいい」

 「…じゃあ[消音(シレンティオ)]だな!」

 「おお!かっこいい!教えて!」

 「だろ?俺の得意技なんだ。これだけは上級なんだぜ?」


 聞かなかったが術にランクまであるのか、上級はどのくらいすごいのだろう


 「どうだ?見えねぇだろ?」


 ドヤ顔でハスベルが言ったが、確かにちょっと薄くなってるが普通に見えるんだが、


 「本当!凄いわハスベル!急に見えなくなった!」

 「だろぉ〜?上級まで行くと姿まで消えちまうのさ!」


 ハスベルのニヤケ顔がしっかり見えるのだが、


 「...なぁ葵、お前見えてね?」

 「うん」


 なぜか私には見えた。ハスベルは不満顔だった。だがこれは私の能力なのでは!?

 そうだ、せっかく異世界に来たのに私だけの特殊能力がないなんておかしい!そう。私の能力は、透明なものが見える力!!


 …あんまり映えないな。


 ゴミを木に変える力とか、布を鉄に変える力とかが良かったな。



 「消音(シレンティオ)は却下で、他の魔道スキルを教えてよ!」

 「…使えない」

 「へ?」

 「消音(シレンティオ)しか使えない!」

 「そんな、ハスベル武器も持ってないのにどうやって冒険者してたの!?」

 「武器ならこのダガーがあるだろ!?」


 と言ってハスベルはちっちゃいナイフを見せてきた。それか…てっきり採集用の道具だと思ってた。

 というかハスベルも採集の時しか使ってねぇだろ。


 分かった。こいつ消音(シレンティオ)を使って採集クエストしか受けてないんだ。

 

 それだけで生計立ててるのも凄いけども、冒険者とは?ただの家出少年感凄い。



 教えてもらえないんじゃしょうがない。

 出来ないかもしれないがどうせ暇だし、イメトレでもしてみよう。


 澄み切った青空の下、ハスベルと詩織が消音(シレンティオ)で遊び始めた横で、私は悶々と唸ってみた。が、何も起きない。

 魔術なんて前世にもなかったし、どうやればいいかわかるわけもなく…。


 「爆炎なる清涼な水のせせらぎを今ここに!ヒーリング!」


 それっぽい事を言ってみたが何も起ころらず、というか矛盾してる気がする。だめだ全然出来る気がしない。というか私に素質があるのか?6歳児程度の力ではスキル行使は無理なのかもしれない。



 だんだんアホらしくなってきた。



 そういえば前世ではゲームが好きだった。


 現実では触れたことすらない女の子とあれこれ出来るエロゲーも勿論好きだったが、普通にゲーム全般はやっていた。

 死ぬ手前まではFPSばかりやっていたが、学生の頃はファンタジーなRPGもよくやったものだ。

 特に中学生の頃は酷かった、友達と長い詠唱を確認しながら下校していたものだ。

 今でも詠唱はお手の物だ。


 「叡智来れり我の元に、仇なすものを打ち砕け!エクスネイションッ!」



 途端、空が曇り、激しく唸りながら炎のような雷が馬小屋に直撃した。




 私達3人は唖然として、馬小屋があった場所を眺めた…。

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