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陰キャ


 この世界に来て何日か経った。と言っても森と洞窟しか見てないが。


 とりあえず水と森の実りがあったしなんとかなった。肉を食べたいが生き物が見当たらない。


 夜になると詩織は怯えて私から抱きついて離れなかった。女の子に抱きつかれるのは最高だ。

 トイレについていって放尿の音を聞けるのも役得。


 ただ、私はあまり眠れないのだが…。


 (女の体になって初めての放尿はそれはそれは素晴らしいものだった。自身の肌が色白なのも相まって、美しいとさえ感じたほどだ。

 これからはこの体での放尿を楽しみに生きていこう。

 因みに大の方は特にない。

 あるとすれば、栄養が足りないのか健康的なのが出なかったくらいだ。)


 早朝、抱きついていた詩織の手が緩んでいたので、そっと抜け出して洞窟を少し離れた。

 朝日が森に差し込んできて綺麗だ。

 こういう景色を見ると、やはり異世界なのだと実感する。


 テンションが上がったのでアニソンを歌っていたら若い男と目があった。まさかここで人と出会うとは、

 というか恥ずかしい。

 


 恥ずかしすぎてすぐに洞窟に帰って来てしまった。

 帰ると詩織がまだ寝ていた!

 とりあえず胸を触った!まだぺったんこだった!

 そして私は自分の胸も触った!ハァハァ…


 「おおきくな〜れ〜…」

 「う…んん…なにやってるの」


 詩織がおきた。


 「胸を育ててるんですよ」


 詩織は退いていた。

 だが私はまだ攻める。


 「詩織のも育ててあげるね!」

 「いらない!おおきくなんてならなくていい!」


 焦って私の手を振り払おうとする。

 前世が男だと聞いてからか、最近は照れたり恥ずかしがった顔をよくしてくれるようになった。

 本当に胸は揉まないが、体をくすぐってやる。至福の時間だ。


 「き、君たち!ここで何をしているんですか!」


 唐突な男の声に驚いた。

 振り向くと、後ろに影の薄い陰キャみたいな奴が立っていた。

 私の後ろに詩織が隠れた。怯えている。


 「こここ、こんなところどぅ、幼女2人はぁ、ぁ、ぶ、危ねぇ、ぞぉ」


 なんだ、心配してくれているのか。


 「私達は孤児です。訳あってここで暮らさざるを得ませんでした。」


 ハキハキと話すと陰キャは驚いた表情をした。そりゃそうだ。自分より圧倒的年下が自分よりスラスラ言葉を話すのだからな。


 「こ、こじ?…!いや、とりあえずうちに来い、ここは危険すぎる…!」


 この盤面で、幼女二人が知らない男について行くのは危険すぎるが、この陰キャは悪い奴ではない。

 普通ならタジタジしてて視線もどこ見てんのか分かんなくてひたすらに気持ち悪いと感じるだろうが、私にはわかる。

 

 こいつはただの童貞だ。


 年下にも関わらず♀というだけで緊張している様子だ。童貞陰キャだった私には分かる。わかるともさ。

 私達はこの陰キャについていくことにした。


 


 この男、名をハスベルと言うらしい。

 この世界は日本語と同じと思っていたがこの名前はどういうことだ?

 年は18才、家出してギルドで金を稼いでるらしい。陰キャっぽくないなぁ。


 「俺は消音スキルが得意で、ここらの危険な場所の採集クエストやって生計立ててんだ」


 消音スキルって辺り陰キャっぽい。

 いや、それを言い出したらこの世の全てが陰キャに感じてくる。


 詩織はおどおどしてハスベルと距離を取っていた。誘拐された件もあるし、男が怖いのだろうか、大丈夫。こいつはただの陰キャだよ。



 「着いた。ここが我家さ!」


 ハスベルは堂々と馬小屋を見せてくれた。この歳で一軒家を持ってるのはすごいらしい。どう見ても馬小屋だが。

 近くに街の城壁が見えるが、ハスベルの家は少し離れた場所にあった。馬小屋だしな。


 「ねぇハスベル。私達もここに寝泊りしていい?」


 幼女っぽくお願いした。馬小屋でも森の中の洞窟より俄然いいからだ。


 「え”!そ、それはうれ、いいけど。俺金ないし…」


 幼女の面倒はむり、そりゃぁそうだよな。


 「ハスベルはあの森のマニモニ草をとって生計を立ててるんだよね?」

 「あぁ、まぁ」

 「じゃあ私達もそれ手伝うよ!数日とはいえあそこで暮らしてたもん。採集ならできる!」

 「たしかに…でも本来あそこは危険なところなんだよ。」

 「野垂れ死ぬよりマシ!」

 「そうはいっても、他の街の人に頼った方が…」

 「アテがあるの?」

 「…」


 ある訳ないよなぁ。私の勘じゃこいつはコミュ障童貞陰キャだ。

 何にせよ街は却下だ。詩織の件がある。ここの馬小屋は都合がいい。


 ハスベルは受け入れてくれた。

 やっぱりこいつはコミュ障童貞陰キャらしい。真の童貞は女に優しいのだ。



 日も落ちたので寝ることになった。

 ハスベルは外で寝ると言い出した。それは優しいというか何というか。私が説得して狭い小屋の中で川の字で寝ることになった。


 「ありがとうハスベル」

 「…!お、おう」


 横になって耳元で感謝の言葉を告げておいた。これは落ちたかな?いい気分だ。




 詩織は終始私にくっついていた。

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