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外見より性格が大事っていっても最低限度の身なりは整えてから

実はまだ書いてます

ようよう、白くなりゆく山際、すこしあかりて、紫だちたる雲のなんたらかんたら。


 どうも、葵納言です。


 ギルス君は今日から学校に行くようです。やったね。

 で、何で私が来ているのか。そう。ツキソイ。


 こいつぁだめだ。親離れというかメイド離れができてない。依存しちゃうタイプだ。そりゃあ私ほど可愛いメイドがいればそうもなるかも知れんが。

 好きという気持ちに開き直られた分、タチが悪い。私に好意は一切ないからな。女が好きだし。

 だが、メイドである以上、無碍にもできない。すごくやりずらい。


 「ご主人様が授業を受けている間は、私は何したら良いんですか?」

 「御者のギョッシーについていけば良い」


 御者の叔父さんについて行くのか。

 視線をやると私と目が合った。ニヤリとしてくる…。いいから前見て馬走らせろて。


 「この学校の授業は貴族の者しか受けれないからな。従者の待合室もあるぞ」


 ギルスが私にメロメロなばかりに無理矢理連れてこられたと思ったが。貴族の学校にそんなスペースがあるとは、結構普通なんだな。


 

 ———————



 ギルスは優しそうな先生に出迎えられてクラスへ入っていった。

 いじめが原因で不登校というわけでもないし、大丈夫だろう。


 ギョッシーと一緒に待合室に入った。

 

 他の貴族のメイドも何人かいて、紅茶を飲みながら会話している。

 適当な椅子に腰を下ろすとギョッシーがすぐ隣に座ってきた。


 「ねぇ葵ちゃん。こんなとこくるの初めてでしょ?緊張しない?」


 ハァハァ言いながらハゲ顔で聞いてくるギョッシーはまさにきもブスであった。


 「ちょっと、顔近いです…」

 「あはぁん。ごめんねぇ。」

 「席一つ開けて下さい」

 「それじゃあかいわしずらいじゃぁん」


 にやけ顔が最高に気持ち悪いおじさんと、ギルスの授業が終わるまで会話させられたのであった!





 「久しぶりの授業。どうでしたか?」

 「ああ、友達も心配してくれて嬉しかったよ。葵はどうだったか?」

 「私は…ずっとギョッシーさんと会話してました…」

 「そうか、ギョッシーはあんまり会話しない奴だと勝手に思ってたが珍しいな」


 まじかよ!やばいよ!

 会話得意じゃないタイプのインキャが、可愛い女の子に我慢できずに話しかけてきた奴じゃん今日の!


 き、きもちわる!!!


 「わ、私あぶないかも……あれ?ご主人様?」

 「…ううん。いつもこの時間に寝てたからな…眠らせてくれ」

 「ふふ、では私の膝の上にどうぞ?」


 膝の上で眠るギルスの頭を撫でながら、こういう事するから脈ありだと思われるんじゃ。と思う私であった。

 だが、溢れ出る母性というか、自分が男だったらこういうことして欲しかったな、をついやってしまうのだ。



 

 —そして学校登校2日目——-



 今日はギルスを送った後、私達は街で買い物をする事となった。食材とか備品など。

 まあ、そう遠くないとはいえ、街まで来てるんだから買い出しくらい済まさないと勿体ないよな。


 「葵ちゃあん。これとかどう?ぼく買ってあげるよ」

 「いりません」

 「このブローチとか葵ちゃん似合うんじゃなかなぁ?つけてみせてよぉ?」

 「つけません」

 「あそこのレストランよく行くんだぁ。あそこで食事しようよぉ」

 「ひ、一人で行って下さい!」

 「ちょちょちょ。ご飯どうするのぉ?」

 「もう!食べません!ギョッシーさんだけで済ませてきて下さい!」


 買い出し中ひたすら気持ち悪い喋り方してくるギョッシーがひたすら気持ち悪く。我慢できずに従者の待合室まで全力で走った。


 しかし!魔力の使えない私の足は少女の平均並で普通に追いつかれた!


 「ハァハァ…こ、こんな…チョーカーさえなければ…追いつかれなんてしないのに…」

 「ハァハァ…葵ちゃぁん…逃げないでよぉ…食事ぃ…どうすんのよぉ…」

 「い、嫌!一人で行って!」

 「ハァハァ!一緒に…いこうよぉ…ハァハァ」


 「そこまでだ!!!!!!!!」


 ダン!!!!!

 と大きな音を立ててドアが開かれた。

 そこには凛とした顔立ちの少年が一人。


 「葵様に何をしている!貴様!」


 葵様?私を様付けで呼ぶのって久々…


 考えるのもつかの間。横にいたギョッシーが後ろに吹き飛んだ。

 うしろ?私達の後ろは壁の筈だったが…。

 壁ごと吹き飛んでやがる。

 何だこの無茶苦茶な風魔術は…。


 「葵様。お久しぶりで御座います。」


 少年は私の前で丁寧に跪いた。


 「だ、誰?」

 

 「シャンです」


 シャン…?誰だよ…。


 「5年前に葵様に孤児院で風魔術を教わった者です」


 5年前?孤児院?


 ああああああ!!!!!!!


 「貴様!無礼にも葵様の御身に触れたな!ただで済むと思うな!」

 「触れられてないから!もうただで済んでないから!」

 「葵様、お怪我はありませんか?」

 「ないよ!1ミリもないよ!!」

 「良かった。間に合って」

 「間に合ったとかじゃないから!最初から怪我する予定ないから!」


 ニコッとはにかむシャン。

 いや、ニコニコしてんじゃねえよ!


 「葵様、また会えて光栄です。募る話が御座います。是非、我が屋敷へ…」

 「ええちょっええ!屋敷って…というか私今勤務中というかその…」


 久々に再開したシャン君はそれはそれはレディのエスコートが上手く。つらつらと断る旨を伝えているもの、自然とシャンに連れられていく私であった…。

 

 「待て!!どういうつもりだシャン!そいつは俺のメイドだぞ!!」

 「ギルス様!」

 

 「そいつ?メイド?…お前、誰に対して口を聞いているのか分かっているのか…!」


 ばひゅーんと後ろに吹っ飛ばされるギルス。

 あらまあ強くなっちゃってシャン君。

 

 ギルスには悪いが、ここはシャン君と対話しておく必要がありそうだ。私はついていくことにした。




 —————



 「なるほど、そんな事が…」

 「ええ、もう散々だったんだから」

 「やはり葵様は素晴らしいお方です。僕がこの地で噂に聞いた方の正体がどれも葵様だったなんて」

 「え?そんな噂だっているの?」

 「ええ、元王都騎士団長アイネスの処刑を中断させ、国家設立まで行い。果ては華咲家との交流まであるとは…」


 やってきた事をならべられると、感慨深いものがあるというかなんというか…

 国家設立に関しては、学校作っただけだし国というものでもないんだけど。


 「シャン君もまさかこんな貴族学校に通う程偉くなってるなんて〜」

 「これも葵様のおかげです。鍛えた風魔術をしったメルフォーゼ家が私を養子にと」

 「へぇ〜。貴族ってそういうのありなんだ」


 血筋とかこだわるもんだと思ってたんだけどな。まぁシャンが大出世したという訳か。


 「ですが、そうなると大変ですね」

 「え?どういう事?」

 「葵様が造られたというアイシアは、現在、緑園国ロッカスと戦争状態にあります」


 

 なんでーーーーーーーー…



————————



 「お久しぶりです!葵様!」

 「あなた…もしかしてアリア?」

 「はい!」


 なんというか…おっぱいも膨らんできて…色気が出てきたなはあはあ。


 「葵様はアリアと共に直ぐにアイシアへ向かって下さい。長旅になると思いますが、その間にそのチョーカーの解除を…」

 「ちょっとまって!話が急すぎてついていけない!私ギルスのとこでメイドとして働いてるのよ!?」

 「め、メイド!?ギルス…殺す…」

 「ちょっとちょっと!そんな物騒な事言わないで!奴隷として売り物にされてた私を買ってくれたんだから!」

 「奴隷!うりもの!?…殺す…」


 シャンからの止めどない殺意の波動。

 だめだ、何言っても火に油かも、語弊を招き続けそうだ。


 「ここに葵様が長居する必要はありません!僕は今はまだ少し鍛錬の身でありますので…ついていきたいのですが…」

 「十分立派よ!10数才でそこまで丁寧に話せて、立派な魔術も使えるんだから!」


 褒められたシャンはやっと少し年齢相応の笑みを溢した。


 「アリアはついていかせます。こいつは術式に詳しいので、時間はかかりますがチョーカーの解除に役立つでしょう」

 「わ、私。そんなにですけど、絶対葵様の役に立って見せます!」

 「凄いわアリア!その年で術式に理解があるなんて!」


 もじもじするアリア。


 「えへへぇ…も、もう私ガマン出来ない!!」

 

 急に抱きつかれてヒルみたいに吸い付いてくるアリア。


 「ちゅっちゅ!葵様ちゅっちゅ!」

 「んなーぁ!?」

 「おいアリア、葵様に失礼だぞ」


 「というか、助けてくれるのはありがたいけど、アリアも今の生活があるでしょ?」

 「大丈夫です。アリアは暇人です」

 「私ひまじんです!」

 「ひまじんって…」

 「僕は特例で貴族の養子になりましたが、他のやつらはだいたい孤児院にいます。特に学ぶこともないので大半が聖典の勉強なんですが…」

 「そうかー、でもハスベルとかポララさんに挨拶しないと…」


 「葵様、孤児院は目的地と逆方向になります。万一ギルスに追われる事になるのであれば、長いは無用です」

 「そう…。ね。

 ギルス達にも仕事すっぽかしていって申し訳ないけど、戦争なんて聞かされたら一刻も惜しいわ」



 そうして、私はアリアと共に馬車で長旅をする事になった!



 ———

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