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なりゆきヒキ活

はやくファ美肉おじさんの続きがみたいお


 「ご主人様、私です。入っていいですか?」

 「ああ、入れ」


 ノックをして声をかけると入れてもらえる様になった。

 

 「ご主人様、夕食をお持ちしました。はい、あーん」

 「茶化すなっ!自分で食べる」

 「それだと夕食届けて帰る事になるじゃないですか。接待しないとお仕事なくなっちゃいます。」

 「別にいい。サボりたいなら適当にくつろいでろ」

 「はーい」


 勢いよくベッドの中に潜り込んでやった。


 「お前なぁ…」

 「ずーずーずー」


 もう寝る!ここで寝たらきっとメイド長には怒られない。


 …


 しばらくすると御子息に起こされた。

 本当にちょっとだけ寝てた。

 御子息は夕食を食べ終えたみたいだ。

 うーん。寝足りない。


 「おい、指のやつ…やろう」


 暇なのだろうか、御子息はよく指遊びをする様になった。

 

 何かと理由をつけて私が部屋に入り。

 指遊びを飽きるまでやるのだ。

 ちなみに指スマとかも教えた。

 

 「今日は別のことしましょう」

 「ほう、また別の事をやるのか」

 「こちらに入ってきてください」


 ベットに誘導する。


 「ななな!何をする気だ!」

 「いいからいいから」


 おそるおそる。という感じで御子息は同じ毛布にかぶさった。


 「寝るまで、しりとり耐久〜!」

 「しりとり耐久?」

 「しりとりは知ってますか?」

 「ああ、知っている」

 「ん、がついても負けですが、先に寝た方も負けです」

 「なるほどな、お前それ自分が横になりたいだけ…」

 「はい!始め!めだか!」

 「か、かえる」

 「るびい」

 「いかだ」

 「だ…だ…」

 「た でもいいぞ」

 「ダークライ」

 「ダークライ?何だそれは」

 「……」

 「おい葵?おい!寝るの早いぞ!全く耐久する気ないだろ!おい!」

 




 ……



 ……は!



 やばい結構ねた。


 窓が明るい。朝だ!朝食作りを手伝わないといけないのに!ヒステリックメイド長にヒステリックされる!?


 私は飛び起きて部屋を飛び出た。


 「え!葵さん!?え!あなた何でそこから!え!?」


 すぐにメイド長に見つかった。



 …


 怒られる事もなく。朝食を作った後呼び出された。

 

 「それで、貴女はどうやってギルス坊っちゃまの部屋に入ったのですか?」

 「名を名乗れば入れてもらえます」

 「何ですって!?ちょっと詳しく!」


 私は今まであった事(パンツを省く)を話した。


 「そんな、あの方はメイドと会話すらしないのに風呂にまで入れれたなんて…貴女は素晴らしいわ!!」

 「そ、そんなにですか…」

 「ええ!これはもう、旦那様に報告しなければ!きっと御喜びになられます!」


 流石にこんなに褒められると嬉しいな。

 イヤ!まじめに働いててヨカッタ!


 ……



 そうして旦那様のいる部屋に呼び出された私。褒美でも貰えるんだろうか。


 「うむ、メイド長から聞いた。息子に心を開かせた様だな」

 「は、はい」

 「だが、少々メイドとしての振る舞いとしては如何なものかな?」


 はっ!!!

 メイド長にはやしたてられて失念していた!!全然メイドらしくない!!

 本来、主人にこんなことして許されるわけないのだ!

 国外追放になる!?


 「申し訳ありません!!申し訳ありません!!」

 「ははは、まあ子供でなおかつ、自分と歳の近いのもあるだろう。それはいいとして…

 そこでやってもらいたいことができた」


 やってもらいたいこと?


 やばい、でしゃばりすぎたかもしれない。まじで肉○器みたいな扱いされたら…!


 「我が子は、母親が死んでからずっと部屋に篭ってしまったのだ。あいつには私の後継として立派に育って欲しい…。


 息子と話がしたい。夕食の場に、あいつを連れてきてくれ」


 よかった。肉○器にされなくて。


 だが、引きこもりを外に出すなんて…無理。そもそも私も元ニートだぞ…。


 「ちょっと難しいんj…」

 「頼んだぞ」

 「う…」


 立場が…

 私の立場が弱すぎて断れない…。

 



 ……




 「ご主人様、私です」

 「ああ、入れ」


 御子息とも距離は縮まったとは思うが…。頼んでみるか。


 「ん、どうした?」

 「ご主人様、今夜のご夕食は旦那様と一緒に…」

 「断る」


 ですよね


 「はぁ…お前も結局他のメイドと同じなのだな。手法が違うだけで俺を外に…」

 「ああもう分かりましたよ!!!」

 「ん?何がだ」

 「私はご主人様のお父上に買われたただの奴隷。旦那様に言われたらそうするしかないですよ。でもご主人様は断りますし?これじゃ私も首が飛ぶだけ。」

 「ちょっとまて!奴隷?どういうことだ」

 「もう知りません!肉○器に成り果てる前に私は最後の惰眠を貪ります!」

 「にににににく!?お、おい!」


 終わりだ。寝て起きてここからでたら終わりだ。ギリギリまで引きこもって寝まくったろ。

 勢いよくベットにもぐりこんだ。


 「おい!こんな事してていいのか!?」

 「ぐーすかぴーすかすかすかぴー」

 「寝息でリズムを刻むな!絶対起きてるだろ!」


 ニートに引きこもりをどうにかなんて出来るわけないだろ。ニートなんだから。

 はぁ。終わりだよ。

 チョーカーのせいでチート使えねぇし。可愛いメイド達とは再会できないし。というか自分がメイドにされてるし。



……





 「…おい、いい加減起きろ」

 「…んん、んえ?」


 寝てたのか、今日はすごい寝れるな。疲れてたのかも。


 「いつまで経ってもメシが来ないんだが、お前がサボってるからもうメシ届かないんじゃないか?」

 「あぁ、私が担当ですからね」

 「流石に何も食べてないんだ。持ってきてくれよ」

 「ええ、無理ですよ。夕食にご主人様を連れて来いって言われてるのに、食事持ってくるなんて…」

 「知らん!無理だったと言ってとってくればいいだろ」

 「出来なかったなんていったらどうなるか…行きたくないですよぅ」


 …


 「お前…父上に変な事されてないだろうな?」

 「え?」

 「その、奴隷だとか言ってたのは何だ」

 「ああ、そのままですけど」

 「そのままって、もっとあるだろ」

 「さらわれて…捕まって売られて買われましたね。」

 「そ、そうか…。捕まる前はどんな生活をしてたのだ」

 

 うーん。どこまで話すべきか。嘘は嫌いなのでつかないつもりだが。


 「アイシアっていうくにをつくってあそんでくらしてました」

 「はは!何だそれは、おままごとか何かか?」

 「そんなこと言われても本当だしなぁ」

 「じゃあ今度連れて行ってくれ」

 「え?良いですけど、部屋でれるんですか?」

 「そんな国があるんなら見てみたいさ。あればな」

 「あるからなぁ。ご主人様は部屋を出る事になりますねぇ。」

 「別に良いさ。どうせ遠出なんて父上が許可するはずがない」


 確かに。ましてやまだまだ怪しい奴隷の子の出所なんてな。


 「父上は何も分かっていない。自分の考えばかり俺に押し付けて。母上ならこんな事にはならないんだ」

 「まだお母さん離れ出来てないんですね」

 「からかうな…


 行ってないんだ。母上の葬式。

 どうしても行けなかった。亡骸を見たくなかった。俺がみさえしなければ、何処かにまだ母上がいる様な気がして、見てしまえばそんな想像さえ出来なくなってしまう。そう思ってしまったんだ。」

 「さいですか」

 「何だそれは。死んだ母上の話だぞ。適当にあしらうな」

 「そりゃあ亡くなったのは残念ですけど、お父さんはもっと辛いですよ。奥さんが亡くなった上に子供は口聞いてくれないんですから」

 「どうだかな。新しい嫁でも探してるんじゃないか?」


 そんな事いう?

 でも、大金持ちの領主だしな。嫌味なのかガチなのわからないな。


 「…はら、減ったな」

 「そうですね。ここは公平に2人で行きますか」

 「何処にだ?」

 「厨房に食べれるものを探しにですよ」

 「2人の方が見つかりやすいだろ。一人で行けよ」

 「だとしてもいつも食事のっけてるコロコロうるさいしでかいし使えないじゃないですか。んで何度も往復するより、隠れて厨房で食べた方が得策じゃないですか?」

 「うぅむ。確かに」

 「大丈夫、深夜の2時じゃないですか、みんな寝てますよ」

 「…いくか」


 そうして、二人のメシ食い逃げ作戦が実行に移った。



……



 外に出る。

 廊下は窓から夜空の光が差し込んで少し明るい。


 「やっぱり灯りを持って行った方がいいんじゃないか?」

 「だめです。最善の策を行うべきです」

 「そんなもんか…」


 サササ…


 角から角へ素早く動く姿はまさに忍者…ごっこ。

 こんな時間に出歩いているものもおらず、もし居たとしても屋敷は広い。どうとでもなる。

 何なく厨房へと入れた。


 そこには、豪快な肉料理から、食べるのがもったいないくらい綺麗に作られたデザートまで、所狭しと並べられていた。


 「何だこれは、随分と豪勢だな」

 「あー、大方、ご主人様が久しぶりに夕食を一緒にとるからと盛大に用意していたのでしょうね。

 まぁ、適当に食べて部屋に戻りますか…」


 「…いや、父上と食べる」

 「え!!」


 ええ!何で急に!?というか寝てるだろ!


 おもむろに料理をもってホールへと向かった。

 そこには、暗い部屋の中、目を瞑って両肘をついた領主がいた。


 「父上…」

 「ギルス、久しぶりだな。今から食事か?」


 ……


 何か答えてやれよ。気まずい…。


 「食事ならメイドに夕食の準備をしなおさせよう…」

 「いや、結構です」

 「…そうか」


 ええっと、こういう場合はどうすればいいんだろうな。メイドの私は。

 とりあえず椅子に座った御子息の後ろに立っておく。


 「息子と二人で話がしたい。君はもう下がってくれ」

 「あ!失礼しまし…」

 「葵も一緒だ!!!」

 「む、そうか…。随分と気に入っているな。そのメイドを」


 葵って、何気に初めて呼ばれたな。そういえば名乗ってなかったのに。というか、知っててこいつ今までずっとお前よばわりしてたのか?


 ……


 って誰か何か喋ってくれ。

 凄く空気が重い。私がいるからしゃべるのをためらっているのか?


 「まぁ、食事を済ませようじゃないか。

 厨房の料理を見ただろう?お前の好きなものをたくさん用意させたのだ。好きなだけ食べなさい。

 どれ、もう少し持ってきてやろう。」

 「あ!私も手伝います!」


 気まずくなってせかせかと料理を運んだ。仕事してないと気まずい。


 「私も実はまだ食事をとっていなくてな。

 まっておったのだ。さあ食べよう食べよう!」


 せかせかと口に物を運ぶ領主。

 そうだよな、食べてる間は喋ってなくても不自然じゃないもんな。

 一方の私のご主人様もといギルスは、食事しているものの元気はない。ずっと俯いている。

 久しぶりのオヤジとの空気が気まずいという顔ではない。悲しそうな顔だ。


 「父上…母上が死にました」

 「…ああ」

 「僕は母上が好きでした。」

 「…ああ。わたしもだ」

 「僕は…母上が…死んだことを…分かりたくなくて…知りたくなくて……」


 ひきつりながらギルスは泣き始めてしまった。

 てがおぼつかなくなってしまい。ごとっとコップを倒してしまった。


 布巾を持ってテーブルを拭こうとすると、唐突にギルスに抱きつかれてしまった!


 「ご、ご主人様!?」

 「ひっぐ…ううぅ…」


 困って、領主に目をやるとウンウンとしていた。どういうことやねん。

 まあ、マザコン気質っぽいし、ショックが大きかったのだろう。とりあえず頭を撫でる。

 

 まったく。異世界の奴らはどうも甘えん坊が多い気がする。



 なかなか落ち着きそうになかったので、また明日にでもという事になった。時計の針は夜の3時をさしていた。


 鼻をすするご主人様を部屋まで送ったが、ぐずっていたので、ベットで膝枕アンド頭撫でというコンボをかました。

 母性に満ち溢れてるわ。


 けど、母親の死か。

 前世は両親より早く死んだ親不孝ものだし、身内の死はあんまり経験ないんだよな。


 だから、私には到底理解できない苦しみだ。楽して生きてきたし、かけれる言葉なんてねぇなぁ。


 ひたすらじっとしていた。

 ギルスはいつの間にか眠った。


 流石に眠いので私も寝たい。

 そのまま放置するのも可哀想なので一緒に寝た。


 

 ……


 翌日


 私は休日を貰った。

 といっても、結局ギルスと過ごすんだが、折角外に出たから二人で外出でもしろと。


 「その、メイド服でない葵は新鮮だな」

 「素直に可愛いと言えばいいじゃないですかぁ?」

 「ああ、綺麗だ」


 うぃ?

 こんな奴だったっけか。

 曇りなきまなこで見てくるんだが。というかなんか恥ずかしいんだが。


 「と、とりあえずお庭でも散歩しましょう」

 「そうだな」

 

 ぎこちなく後ろを歩いていると、ギルスは立ち止って手を伸ばしてきた。


 「え?」


 戸惑っていると手を掴まれた。

 私はこのままコイツのフィアンセになるんだろうか…。童貞卒業より先に処女卒業なんて嫌だ…。もう男じゃないけど。


 「葵、お前の事がもっと知りたい。アイシアという国の話を聞かせてくれないか」


 私の事がもっと知りたいだって?脈しかねぇじゃん!

 

 「なにぃ?私の事好きなんですかぁ?」

 「ああ、好きだ。一生そばにいて欲しいと思っている」


 ブーーーッ!!

 まずい、今のコイツにこのカマかけは逆効果だ!話を逸らさないと…。


 「えぇと、アイシアっていうのはですねぇ…」


 バシッ。


 急に手を引かれて、抱きしめられた。

 心臓がバクバクする。ヒヤヒヤして。


 「お前はどうなんだ。」

 「つ、ついこの前まで引きこもりだった人が調子に乗らないでください!」


 思わず突き飛ばしてしまう。


 「ふ、そうだな。だが感謝している。それだけは分かってくれ」

 「は、はぁ」


 そこからは、アイシアでの事を面白おかしく話した。元々嘘が苦手なので、本当のことしか言わない。

 自分が神獣だというのは言わないようにはした。まあ、チート魔力ある話でバレてるかもだけど。


 「随分と楽しく過ごしていた様だな。」

 「ええ、そりゃもう。毎日美人のおっぱいを揉んで過ごしてましたからね!」

 「そうか…」


 なるこはいつでも駆け寄ってきて、私にお触りさせてくれたというのに。ああ、恋しい。


 「すまない…お前を帰したくはない…。

 だが、もう少しだけそばにいてくれ」

 「いやだ!!!!!」

 「…」

 「いやだやだやだやだ!!!かえりたいーー!!!」

 「だめ!!だめ!!!」

 「やだやだやだやだ!!」

 「だめだめだめ!!!」


————



 「ふふ、随分と庭が騒がしいですね旦那様」

 「ああ、まさかまた。こんな賑やかな日々に戻れるとは思わなかった。」


 窓から庭を覗くモルデンは、涙ぐみながらニチャアしているのであった。

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