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つかまっちまったんぶる


 —-ギルド「ゼフィウス」の男視点——





 はぁ。ついてない。


 

 ギルドマスターは仕事しないし。


 意味不明に強いクソガキに制圧されるし。


 ていうかおれ捕まったし。


 まじでおれ何もしてないのに。


 子供誘拐してんのおれじゃないのに。

 むしろお世話してあげてたからね優しく。


 お、そうだよ優しく世話してあげてたじゃないか!


 子供達が恩返しに助けてくれるかも知れない!


 他のやつに聞こえないようにこっそり子供に話しかける。



 「なあ、ここから出してもらえないか?」


 「だめだよ。あのお姉ちゃんが困っちゃう」


 「頼むよ。お兄さんパンとかこっそりあげてたじゃんっ頼むっ」


 「たしかに…お兄さん優しくしてくれた…」


 「だろ?」



 とたとたと歩いて、鍵を持ってきてくれたと思ったらパンを持ってきた。


 ちっくしょーありがとうな!!!!





 …ていうかギルマス助けろや!


 

 一人だけあのクソガキに媚び売りやがってよぉ!


 ガン飛ばしたろ。


 

 「…何?」


 「いえ、何も」



 怖過ぎだろまじでこの人。


 




———主人公視点———




 

 「ふぅっひっひっひ…」


メイド1「可愛い〜!こんな可愛い子が新しい主?」


メイド2「まだ10数歳くらいじゃないんですか?


なるこ「おい、仮にもこれから仕えようという主にその言葉遣いはなんだ」


メイド1「はっ!申し訳ありません…」


 「いいよいいよ、お姉さんもっとむにむにしてぇ」


メイド1「まぁ!葵様は甘えん坊さんですね」



 メイド達に囲われる生活。

 私は新しいメイド達のおっぱいを触りながら御満悦。



 ゼフィウスを潰しただけでここまで感謝されるとは思いもしなかった。


 メイド達5人は特に感謝してくれている子達だそうで。とても意欲的に働いてくれそうだ。


 うちで雇ってもまともにお金が流通してないからな。ただ働きになるんだけどな。

 金ねえよ情けねえ。



 だがこの子達をどうやってアイシアに送れば…。7人同時に空を飛ばすのは超きついぞ…。陸路で帰るのは時間かかりすぎるだろ。



 「ねえ葵。もういっちゃうの…?」


 

 甘えた声で詩織が話しかけてきた。



 「うん。早く帰ってあげないと。アイシアの屋敷にいる大人達の手が足らないだろうし。

 今家のこと、ほとんどアイネスがやってくれてるんだよね」


 「ご主人様がアイネスを気遣う必要などございません。

 仮にもシュシュ隊の隊長を名乗るもの。やりのけて当然の責務です」


 「そんなこと言って、なるこは私と二人きりになってたいだけでしょ?」


 「それは…っ」



 図星のなるこ。

 だがこの子がいるとすぐ話が脱線していけない。ちょっと席を外してもらうか。



 「ねぇなるこ。ひと段落ついたし、詩織と二人で話したいの。メイド達を連れて離れといてもらえるかしら」


 「ですがご主人様…」


 「お願い!今晩はいっぱい構ってあげるから…」


 「承知しました、あなた達、ここを離れるわよ」



 あっさりなるこは新しいメイドちゃん達を連れて退散した。


 詩織は私にくっついてぐずっている。



 「大丈夫よ、7人もいるんじゃ一度に連れて帰れないし、3回に分けて〜それも何日間かかけてやらなきゃだからね」


 「…いやだ…今までずっと会えなかったのに、もう離れたくない」


 「おや〜!?詩織ってばそんなに甘えん坊だったの〜?」



 おちょくった声で言ったが、顔を上げた詩織を見て後悔した。


 泣いていた。

 私は、ギュッと抱きしめた。


 そうだ、両親が居なくなって、初めて頼れた相手が私だったのだ。

 詩織にとって私がどういう存在なのかくらいは分かってやれるはずだ。


 

 けど、仮にも国主である私がアイシアを放ってはおけない。

 かといって詩織は連れて行けない。彼女は領主としての務めがある。どうすることもできない。



 「分かってるの。わがままだよね」



 泣くのを堪えようと、振る舞っている詩織。何でこんな年の子に、こんな我慢をさせているんだ。


 私だけじゃない、周りの大人達みんなそう思っているはずだ。


 …でも、本当にどうしようもないんだ。



 私はとにかく抱きしめた。



 「大好きよ、詩織。あなたのこと、すっごく大切に思ってるの。本当よ」


 

 ありきたりの言葉しかかけれなかった。

 だが、詩織は次第に落ち着きを取り戻す。


 落ち着いてからもしばらく話をつづけた。



 「ムポールさんはどう?ちゃんと仲良くしてる?」


 「うん…」


 「ほんとうに?」


 「ほんとう。ムポールは私のこと生まれた時から知ってるし、今では一番、家族みたいなものだから…」



 そう言って言葉を詰まらせてしまった。ひたすら詩織の頭を撫でた。



 


 ——-




 メイドさん移動計画。


 なること花月

 それに詩織のとこのメイドが5人。


 この子達を我らがアイシアに文字通り「お持ち帰り」する訳だが、私の無○術では一度に3人でもだいぶきつい。

 おそらく3回に分け、それも何日かかかる事となる。結局一週間くらいか。


 それなら馬車で移動しても大差ないかもしれないが…。


 というか、私となるこだけ飛んで帰ってあとは馬車で送って貰えばいいのでは?

 そうだな、それで行こう。

 と思ったのだが



 「お空も飛べるなんて、葵様ってすっごいのねっ!」



 ギルドにいたメイド、花月に遮られた。



 「いやいやまあそうでも、」

 「わたしも葵様と一緒に飛んで帰りたいわ!」

 「おい、ご主人様の労力も考えろ。」

 「でもなるこ様だけずるいわ。私は葵様と片時も離れたくないですもの」

 「お前…まだメイドとして役に立ったわけでもないくせに…」

 「まあまあ!いいじゃないなるこ!いいわ。花月も一緒に帰りましょうね!」



 せっかくメイドさんをいっぱいもちかえるのに、なること2人でまた帰るのもな!多少無理しても両脇に女をはべらす…。


 うん!素晴らしい!





 そして私は、この選択を後悔する事になる。



 詩織は「前言ってた時と違う!」と言いながらも、見えなくなるまで手を振ってくれていた。




 ———————-



 結局、1日でアイシアには着かなかった。


 そりゃあそうだ。前に全力で飛んで届いたのが詩織の領地だったんだから。


 しかも緑園国ロッカスの領土に入りかけたところで悪天候。暴風雨に落雷。

 もうついてない。


 村との距離が遠いので、半端なところに来た分、野宿する羽目になった。最悪だ。

 とりあえず雨宿りできる場所を見つけて、夜はここで過ごすしかない。


 

 「ゼェ…ゼェ…後もう少しだったのに…」

 「ご主人様、あまり無理なさらないでください。そこまで急がれずとも、この天候では…」

 「そうですよ。今日はもうお休みになって下さい。簡素ですが、ベットも用意致しましたので」


 

 花月がすでにふかふかベットを用意してくれていた。恐ろしく優秀だ。

 なるこは少しむくれている。



 「ご主人様、いくら布を敷いたとはいえ、落ち葉の上では眠れないでしょう。どうぞ私の膝でお休みになって下さい。」


 

 なるこは私を膝上に寝かせてご満悦。

 なるこのニタニタした顔を最後に私の意識は途切れた。



 ————



 朝になった。


 なるこの膝枕はなくなっていた。

 というより、体が起こされている。


 私は、両手を鎖で壁に繋がれていた。


 

 「なんだこれ、馬鹿馬鹿しい」



 そう、馬鹿馬鹿しい。

 こんなもので私がとられられるはずがない。

 はずがなかった。

 すぐに外そうとしたが、魔術が使えない。

 どうなって…。そうだ、なるこは!?

 来たのは花月だった。



 「ご自慢の風魔術もこれじゃあ発動ちまちぇんねぇご主人ちゃん?」

 「花月…どういうつもり?」

 「えぇ?そうねぇまぁ。伝え方は色々あるけど…私はゼフィウスギルドマスターって言えば察せるかしら?」



 …なるほど、私はまんまと敵の主格を招いてしまっていたわけか。



 「何が目的?」

 「おっと、何も答えるつもりはないわ」



 そう言って不敵な笑みを浮かべた。

 


 「まぁでも、そうねぇ?ふふ、あなたの大好きなメイドちゃんなら、あなたを置いて一目散に逃げたわよ?」

 「なるこの事?」

 「ええ、日頃のセクハラが祟ったわね?全然慕われてないじゃない?」

 「そう、無事なのね」

 「…ふん。逃げ切れる訳ないでしょ。今男どもに追わせてんのよ」

 「なるこに何かしたら…殺すぞ」



 花月はびっくりした表情をした後、大声で笑った。



 「あんたねぇ。自分の状況わかってんの?でもまぁ、メイドちゃんには何もしないと思うわ?だって、男どもの視線はアンタの身体に釘付けだったからねぇ?」



 どうだ、怖いだろ?みたいな顔で覗いてくる花月。


 何言ってんだこいつ。わたしの身体…?


 …は!!!

 そうだ!女の子だった!美少女だった!


 わたしおかされる!!!



 「あいつ捕まえた奴にはどっちか犯していいって言ってあんのよ?片方くらいは部下にご褒美あげないとねえ?でも、みーんな貴方を犯したいみたいだけど?アハハハ!」



 っく!

 男のサガを受け入れてあげるのは前世童貞のわたしの役目なのだろうか?

 


 「なるこが無事なら…私は犯されたって構わない!」

 「あんた…レイプ願望でもあんの…?」




 ………



 その日の夜、花月と入れ替わりで男が私の見張りに立っていた。



 「ふいっひっひ!まぁじでいい女だなぁ!ギルマスには止められてっけど、犯しちまいてぇなぁ!」

 「いいのかしら?バレたら怒られるで済むの?」

 「うるせぇ!ただの性奴隷が喋んな!お前が黙ってりゃバレねえだろ?」



 なんて馬鹿そうな奴が見張りなんだ。なんでこいつを見張りにしたんだ?

 

 

 「まだ女にしちゃ成長しきってないが…育ちきってない胸も…」



 男の手が胸に伸びる。

 まずい、今胸を触られると…。



 「あら、口にくれればしゃぶってあげるのに」

 「肉便器が喋んなっつってんだろ!」


 バゴッ!


 思い切り殴られた。

 性奴隷なのか肉便器なのかどっちなんだ。その両方か、そうですか。

 とにかく、むねをもまれるのだけは回避しなければ…!


 その時、見覚えのある魔術と共に、男は倒れた。

 この魔術はそう、私の風魔術だ。



 「ご主人様、申し訳ありません…送れました」

 「なるこ!私があげたカードを使ったのね!」



 そう、前に私の魔力を込めたカードをシエラだけでなく、戦闘が苦手な子達には渡しているのだ。


 

 「申し訳ありませんご主人様。どうにか助け出せないか付近で見計らっていたのですが、ご主人様の手錠も、付近の警戒もどうすることもできず…」

 「手錠は力技でどうにかできないの?」

 「相当な力でないと無理です。特に対魔術の加工が施されているので魔術では…」



 手錠は鎖で壁につながっているし、その壁にも術式が書き込まれている。

 これを解くには時間がかかりすぎるということだ。


 とすれば、今やる事は一つ。なるこをにがしてあげることだ。



 「なるこ。私の胸にまだカードを隠してあるわ。漁って」

 「胸にですか?」

 「そう、この拘束を解けるほどのものはないけれど…ここの包囲網を…って…どこ触って…パンツにはいれてないってばぁ…こら…///」

 「下着の中に入れてるのかなと思いまして」

 「そんな事してる場合じゃないの。いい?それだけカードがあればこの包囲網は突破できると思うわ。なるこ、貴方はアイシアに帰るの」



 なるこは唐突に抱きついてきた。私は拘束されていてなされるがままだ。



 「嫌です。ご主人様をこんな状況で置いていくなんて…」

 「お願いなるこ。私は大丈夫だから。」

 「ご主人様が犯されるくらいなら、私が捕まって私が犯されれば…」

 「なるこ!!!」



 意図せずして大声を出してしまった。付近の警備が来るかもしれない。



 「お願いだから…いう事を聞いて…」

 「…分かりました。でも、最後に一つだけ我儘を…お許しください」

 


 なるこは身動きの取れない私の顔に両手を添えて、思い切り舌を入れてきた。逃げれないディープキスをしたなるこは糸を引きながら。



 「どうかご無事で」



 そういって走り去っていった。



——————




 あれから何日たっただろうか。


 私は目隠しをされ、猿轡をくわえさせられ、拘束されたまま袋に入れられ、永遠と馬車に揺られては、留置され。また運ばれては留置され。それの繰り返し。

 衣服も何もとられ、ボロボロの布一枚を、かぶせるように着せられている。今相当変態みたいな格好になってると思う。袋に入れられてるから露出してる感覚はないが。

 出される飯はほぼ水みたいな。とりあえず美味しくない。

 犬の餌に液状タイプが出たらこんな感じになると思う。


 鞭で叩かれることがある。

 執拗に太腿を叩かれる。

 上半身に鞭をもらう事はなかった。

 とりあえず痛い。


 どうでもいいような細かい指示に従えないと鞭をもらうこととなる。


 指示には従っていても、揚げ足をとるような内容を指摘されるのだ。


 調教だろう。なんでもいう事を聞くように。

 全て淡々とこなした。



 …そんな事を何度も繰り返していた。

 アイシアの子達が来る気配はない。

 なるこは無事に帰れただろうか。

 なるこがもし、捕まって犯されてでもしたら…


 「その時は…全員殺してやる…」


 何も出来ない焦燥感にかられ、苛立ちを募らせていった。






 そして私はついに目隠しをはずされた。


 そして目に入った景色は、狭い部屋にひしめく人達。

 そう、私は今オークションに掛けられている。



 「おおお!奴隷とは思えん程に美しい!本当に調教は済ませてあるのか!?」

 「100Gはだす!いや、250G!」

 「わしは400G!」

 「だめね、こいつは1000Gからスタートよ!さあ、はったはった!」


 

 久しぶりに聞いた花月の声。

 一気に声を上げるものが減った。


 というか、私王都で指名手配になってるはずだが、ここの奴らは誰もわからないのか?


 

 「…1000Gって、奴隷にそんなだす奴いないだろ…」

 「確かに顔立ちはいいし、体も綺麗だが…」

 「だれも入札できないだろ、さっきのジジイで売っときゃよかったのにな」



 色々な声が聞こえてくる。

 私は相場が分からないからなんとも言えないが…。


 「2000Gで即決させて頂きたい」

 

 その一言で、場は静まりかえった。


 「2000G、言ったね!2000Gで決まりだ!」


 急に高額な値段で私を落札した人は、この場に不釣り合いな格好をしたおじさんだった。

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