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日頃から異世界転生してぇとか言ってるけど急に飛ばされるとそれはそれで困る



——-ある男の転生———




 ぶひ〜〜〜!


 魔法美少女メルちゃんの初版SRカード。手に入ってよかったでござるぅ!


 カードは転売屋どもに目をつけられやすいでゲスからなぁ。そんな悪の手からは僕が守るよ、メルちゃん。ニチャァ〜。






 …はぁ。明日からまた仕事かぁ…ぶひぶひ。


 

 ん…何だ…?



 

 唐突なブレーキ音とともに、体に衝撃が走る。

 頭を強く打ったとわかったのは少し遅れてからだった。




 …やばい…ぶひ。これ…死ぬ。











 はぁ…散々だ…。



 ガキの頃からいじめられて。

 

 彼女なんて出来たこともない。


 まともな仕事にもつけず…やっと見つけた仕事も過労させられる上に、年下の上司に嫌味つれられる日々…。





 無能?分かってるさ…そんなの。今更いうなよ…。




 

 俺の人生…クソだ…クソだクソだ…。



 それでも、死ななかったのに。


 こんな事で死ぬのか…俺。



 ぶひ…ぶひ…。


 ああ、こんなクソみたいな人生でも。

 自殺を選ばなかったのは…魔法美少女メルちゃんのおかげだ…。


 そ、そうだ…。


 例え二次元だろうが何だろうが、僕はメルちゃんに救われたんだ…。




 クラスでどれだけ虐められても。


 一生彼女なんて出来なくても。


 どんなに仕事で酷使されても。



 僕は、メルちゃんを見るために生きてこれた。


 生きてこれてたんだ…。



 誰か…頼む…。



 このメルちゃんは…大切に…


 大切にしてくれる人の元へ…


 届いてくれ…頼む…


 僕の大切な…


 大切な…





——————————————





 体が全然痛まない。


 どこも痛くない。


 それどころか軽い。

 軽いというか、ちっさ!


 え?手が超小せえ笑笑


 周りも暗くてよく分からない。


 これは…天国に来たのか地獄に来たのか。


 


 その答えはすぐに分かった。


 暗がりからほのかに見える光の方へ歩いていく。


 

 そこにはこちらへ向かって歩いてくる二つの人影があった。


 メルちゃん。


 僕の前世での生きる希望。

 魔法美少女メルちゃんだ!!



 そう、ここは天国なのだ!





———主人公視点————




 アイネスと散策してたら、洞窟で幼女拾った。


 

 私と会ってすぐにメルちゃんメルちゃんいうて抱きついて来た。


 意味不明だったが、泣きじゃくりながら抱きつかれていてどう返せばいいのか…とりあえず抱えたままお家に連れ帰りましたとさ。

 ふひひ、拉致完了。



 とりあえず私の部屋であやしながら話を聞く事にした…。


 驚いた事に、異世界転生しちゃってるではないかこの人。

 つまり、転生したてという事だ。

 こんな可愛い幼女が前世で男だったとは…。いや、生まれ変わってるんだから面影がないのは当然なんだが。



 この幼女は自分が前世男であった事、メルちゃんというキャラが大好きな事などを興奮気味に話した。


 私にそっくりだ。転生の経緯が。

 言うべきかと思ったが、アイネスとなるこも聞いているのと、この子が私をメルちゃんとして見ているので、前世とはいえ男だった事を伝えねばならないと思うと戸惑った。


 戸惑っているとなるこに呼び出された。


 さすがアイシア一 察しのいい女。

 ちょっとキョドッただけでもう気付くとは。

  


 「結構ご主人様って分かりやすいですよ」


 「へへ、そうなのかな。で、でも!前世の記憶があるってだけだし…別にその、前世がどうだとかでも私は女なわけで…」



 なるこはキョドりつづける私に一気に間合いを詰めた。


 「まるで女を知らない男児の様な戯れ方をされるので、今まで不思議でしたが、なるほど。

 その様な奇怪な経緯があると言われても納得できます」


 「ぐぬぅ…」


 「もしかしてご主人様…経験なさらずに前世は終えたのですか?」



 なるこがさらに寄ってくる…。


 まずい、超絶イケイケチート魔術でカッコよくきめて来たのに、前世で童貞のまま死んだとかバレたら絶対失望される…。


 や、やばいぞ…折角出来つつある私のハーレムが…。


 

 「ふふ、やはりそうなのですね…。ご主人様。お可哀想」



 そういうとなるこは、わざとらしく粗濁音を立てながら私の股間に顔をやり、エア手○キフェ○をした!


 「じゅるる!!…あぁ…ご主人様、今世でも生えていましたら私が初めての御相手をさせて頂けたのに…」


 「それって、どういう…」


 

 なるこは私にお尻を向けてフリフリ誘って来た。だが私に抜ける剣はない。


 

 「ご主人様、どうぞ。腰を押し付けてくださいまし」



 ためしに押し付けると、なるこは あん! と観音的な声を上げた。

 なるほど、なるこは演技してくれてるのか。

 童貞がバレてどうなるかと思ったがこれは…というか演技うますぎてエロい。


 

 「あんあんあん!ご主人様っ!がっつきすぎですっ 焦らないで大丈夫ですよ」



 そんな事も言ってくれるのか、激しくしすぎた様だ。こんな事でここまで興奮するとは。

 

 なるこの擬似おセッ○スにすっかり興奮してアンアンギシギシやってると、様子を見に来たアイネスに捕まった。


 …結局、アイネスにも話す事になった。



 アイネスは話を聞いて目を伏せた。

 やっぱり嫌われてしまうだろうか、しかもさっきのなることの変なシーン見られたし。

 主にそっちが要因で嫌われそうだが…。



 「なるほど…葵様にそんな経緯が」


 「で、でも!元男っていっても、前世の話だしさ!ここじゃ元々女だったわけだし関係ないっていうかなんていうか…」


 「……」


 

 や、やばい…なるこの時みたいにいかないぞ。



 「ご主人様ぁ。アイネスは前世が男じゃ嫌みたいですね〜。でも、私は構いませんから、これからは私が全て、ご主人様の下のお世話を…」


 「やめなさい!」


 「何よアイネス」


 「そういうのは、ダメでしょ」


 「私はご主人様をおもてなしてるのだけど」


 「…あなたがいると、話がそれるわ!」


 「え!ちょっと!」



 アイネスが無理矢理なるこを部屋の外へ追い出した。



 「葵様…前世は幾つで亡くなられたのですか?」


 「20の時に死んじゃったよ」


 「そう…ですか。今の年齢と足したら同い年くらい…?」


 「え?」


 「い、いえ。不謹慎でした」



 そう言いつつアイネスは顔を赤く染めた。

 おお?嫌われてない?

 むしろ全然いけそう。



 「アイネス、おっぱい揉んでいい?」


 「な、な、何でそうなるんですか!言い訳ないじゃないですか!」


 「何でよー今までしてたじゃん」


 「今は違う…やぁ///だめぇっ///…」


 ダンッ!!



 いけると思って調子に乗ってしまった。

 アイネスは走り去ってしまった。


 どうしよう…アイネスのおっぱいがいつでも触れられないなんて耐えられない。

 今までなら呼べば揉めるまであったのに。


 ふぇふぇふぇ〜ん。






 …そんな事はどうでもいいんだよ。



 例の幼女には、私の前世の事はわざわざいわなくていいだろう。

 勝手に相手が勘違いしたっていうやり口のネカマと同じ動きをするのだよ。


 


 「そうですか…でも、本当にメルちゃんにそっくりで。なんだか感動しちゃいます」


 「そんなに似てるんだ〜」


 「一回でいいんで、魔法とお顔でなんでも解決!魔法美少女メル見参ッ!って言ってもらえないですか!?」


 「ええ!そんなこと言われても私はそのネタが分からないしな」


 「一生のお願いです!ちょっとだけ!先っちょだけでいいから!」


 「何の!?」



 こいつ…相当なオタクだな。

 テンプレオタク特有のこすり尽くされたおもんないノリなんだが、こんな可愛い幼女が言うと何だか可愛く見える。

 外見で内面の評価も変わるものだ。



 「…魔法と、お顔でなんでも解決、魔法少女メルちゃん参上…」



 その場に長い沈黙が流れた。


 そんな反応するならやらせるなって。


 



————





 私がただのそっくりさんと理解できたのか、幼女は落ち着いた。


 ずっと草むらで大の字になっていた。



 「どう?頭の中は整理できた?」


 「まぁ…。うん。


 いや、別に。前世で急に死んだからって悲しくなる様な事ないんだけどさ。

 悲しませる様な人も居なかったし。

 なんなら、死んで転生できたんだからラッキーってくらいなんだ。


 けど、なんか色々考えちゃうなぁ」


 「どんなことを?」


 「んー。俺のもってたメルちゃんのカードどうなったかなって」


 「…大丈夫そうね」


 「うん。


 あ!でもこの世界ってPCないんじゃ!」


 「ないね。あるわけないね」


 「うっはっはぁマジか〜。

 数万円分のエロゲーをサマーセールで買いこんだばっかなのに!お金もったいねぇ!


 って、死んでるんだから金は関係ないな。

 はぁー。前世のエロゲーができないと思うと鬱になるよ」


 「いいじゃない、こっちならホンモノのエロい事いっぱい出来るわよ」


 「えっ…それって…」


 「…ああいや深い意味はなく。というか君女の子じゃん?」


 「え?女?俺が?え?…ない!ちんちんがぁー!!」



 幼女は暫く自分の体を弄っていた。

 程なくして飽きたのか、唖然として呟いた。



 「結局、童貞のまま死んじゃったわ」



 くすっ


 親近感ありすぎてわらってしまった。



 「童貞卒業したかった?」


 「そりゃぁもちろん。まー生きててもワンチャンもないけどさ。死ぬってわかってたら風俗いったのに」


 「ま、今はもう女ってわけで」


 「くっそー」


 「自分の名前考えときな!女の子らしい名前をね」


 「うーん。顔見て決めたい」



 と、言うので家の鏡まで案内した。

 手鏡とか持ってないんでね。


 でもずっとうんうん唸ってなかなか決めない。


 途中色々な名前を口にしていたが、「いかにも思春期オタク男子がオリキャラにつけてそうな名前だね笑」って言ったら顔を真っ赤にして黙り込んだ。


 余計なことを言ってしもうた。

 自分もそうなんだが、こんな外見でいっても陽キャ女子がオタクを馬鹿にしてる絵面にしか見えない。


 結構長くなりそうなんで、うちに歓迎する。施設は好きに使ってくれと、必要な説明だけしておいた。


 こやつもやはり神獣なのだろうか。

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