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落穂拾い

私は8才になった。




 と言っても誕生日が分からないのだが、当てつけで1月1日、元日になった。


 魔術の特訓のせいなのか、最近は体の成長が著しいのだ。なので、年齢の話になり、誕生日の話になった。

 幼女の体が名残惜しくもある。

 適当な木を使って今の自分の木像を作った。ちょっと立派な成長記録だ。


 そしておっぱいが膨らみ始めた…。


 これは、は、早いんだろうか?

 わからん!前世はただの童貞だったし。


 胸が痛むから違和感がある。

 トップがでてきている。


 ふっふっふ。

 私はこの世界に来て、結構身体や魔術を使ってきたからな。スタイルはきっと良くなるはず。

 おっぱいはどんなサイズになるかな?

 私は期待に胸を膨らませた。


 そう。

 膨らませてゆくぅぅ!!




 事は順調。


 今日も魔術の特訓と、学校の授業を担いながら大変だった。


 アイネスのうまい料理を食べた後、自室のベッドで横になると眠気が襲ってきた。


 やべ。まだお風呂入ってないのに。

 毎回私が一番に入るまで待ってるけど、寝過ごしちゃって大丈夫だろうか、だめだ眠い。



 しばらくしてハッとした。


 私の部屋に誰かが入ってきたのだ。

 私の魔術は極まりつつある。自室ぐらいの広さなら高感度感知できるのだ。


 つまり、目視せずとも状態把握が出来る。

 みんなには言ってないがね。


 そんな事も知らずか、入ってきたのは、クラスの子。シック君だった。


 私に用事かとも思ったがどうもコソコソしている。泥棒?そんなまさか、シック君はクラスでも一番真面目な子なんだ。


 目を閉じたまま寝たフリをしていると、シック君は私の前まで来た。うむ、やはりシック君だ。薄目で確認した。

 もじもじしている。



 「あおいせんせ…ごめんなさい」



 赤面している彼は、彼は、彼の彼を取り出して彼が彼をし始…


 



 私の前で、自慰し始めたんだけど…。


 

 笑いそうになって口元が緩んだので、寝相のフリをして腕で口元を隠した。


 女の子ならトラウマ級だが、私は女の子でも前世は男。

 男の性事情は分かる。


 流石に、身近な人を目の前にしてネタにする様な事はしなかったが、集団生活、そのタイミングで性が芽生えて分からなかったんだろう。

 事が済んだら、そういうのはトイレでやる様にと教えてあげればいい。

 私を見てはいるが触って来たりする訳じゃないしな。


 うぅ、と唸りながら自慰にふける彼は、可愛いというか面白いというか。

 笑いを堪えるので精一杯だった。


 そろそろ終わるかなというところで、どこからともなくアイネスが現れた!!


 

 「お前!!ああ…葵様の前で何をしているんだァァァァ!!!」


 「あぁぁっ…ご、ごめんなさい!!」


 夜の拠点にバチンと大きな音が響き渡った。


 ————翌日————



 憤怒するアイネスによって、家庭内裁判の様な絵面になった。


 客間に、私、アイネス、シエラ、リア、シックが集まっている。

 

 アイネスとシエラは激おこだ。


 アイネスが拠点中のみんなに言いふらしそうなので口止めはしたが、シエラとリアには既に話がいった。


 

 開幕先行をとったのはアイネスの言葉だった。


 「何故あんなことをしたのか、理由を答えろ」


 「何だか、その、葵様をみてると、むずむずして、僕、我慢してたけど、もう無理で…」


 ドンッ!!!


 アイネスが壊す勢いで机を叩いた。


 「そんな事が聞きたいんじゃない!!なんで葵様を性欲の吐口にする様な真似をしたんだ!!!」


 だから答えてるじゃん。

 アイネスはダメだ。冷静に見えて頭が全く冷静じゃない。

 私が上手く誘導してあげないと。


 「女性を見てむずむずする様になったの?」


 「ううん、葵様だけ…」


 ほほう、ここまで美女が揃っていて私だけとはなかなか…。

 ロリコンか?


 「きっさまごときが葵様をぉぉぉ!」


 「アイネス落ち着いて!!!」


 アイネスを宥めていると、ずっとシックを睨み付けていたシエラが口を開いた。


 「なんでさっきから股間押さえてるの?」


 「こ、これは…」


 シエラが無理矢理どかせにかかった。

 やめてやれ。


 「こいつ…!また勃○してますよ!!」


 シエラ…どこでそんな言葉を…。


 「おっほぉ!可愛いおちんちんだね〜!」


 「リア!!!!」


 「きっさまぁ!まだ葵様をそんな目で見ていたのかぁぁ!!」


 「アイネス落ち着いて!!」


 「落ち着いてなんていられません!こいつは葵様を汚そうとしたんですよ!」


 「汚そうだなんて…僕そんな事考えてません!


 僕は…葵様の邪魔にならないように…ただ、うずうず治したくて…」


 シック君は珍しく声を張った。


 そういえばこの子は結局、私に触れることすらなかった。この言葉は嘘ではない。


 「だそうよアイネス。そもそも、今回の件に関して私は怒ってないわ。当の本人が許しているのだから、あなたは少し黙りなさい」


 「そんな、葵様ぁ…」


 アイネスが情けない声を出した。


 「葵様、怒ってないんですか?」


 「ええ、怒ってないわシック。あなたぐらいの子は女の子に興味を持って当然よ。でも、今度からはおトイレでしようね。」


 「あんな事されて怒ってないなんて葵様…」


 「さっきからアイネスぶつぶつうるさい!


 シック君、次からはおトイレで出来る?」


 「…うん」


 これは出来そうにないな。

 まぁわざわざ私の顔を見に来てヤった奴だ。何かないと出来ないんだろうか。


 「じゃあこれあげるけど、これじゃ無理かな」


 そう言って、髪の毛を少し切って束ねて渡した。


 「葵様ぁぁぁ!!なんとぉ!なんという!」


 「うるさいって言ってるでしょアイネス」


 「ありがとうございます、葵様!!」


 本当に嬉しそうな顔をした。髪だけでそんな喜ばれるとは。



 よくよく考えれば、学校ではみんなの顔色を伺う事をしてなかった。

 先生でありながら、ただ課題を出しているだけの様な物で、その時間はほぼリアとの特訓だったからな。

 先生と名乗っている以上、クラスの把握ぐらいしてやらないとな。





 その後、リアに髪型を整えてもらう事となった。最近髪が伸びすぎて重かったのだ。


 「いや〜、葵ちゃんも大胆な事するね〜

 あの子絶対、髪に直でつけて髪○ナとかするよ〜」


 「シック君はきっとそんな事しないわ。したとしても、もうあげちゃったしね」


 「もしかして葵ちゃんさぁ。催淫のパッシブスキル的なんあるんじゃない?」


 「そんなまさか…」



 話をしながら髪を切ってもらう。リアはまるでお姉ちゃんだ。


 そして、床に落ちた髪をシエラとアイネスが黙々と拾っていた。


 何しとんねん。

 お前らはミレーの「落穂拾い」か。



 

 そしてその一件以降、シック君に「シコシッコ君」というあだ名が付いたのはまた別の話。


ともだちに「ぼっきざきくん」ていうあだ名の子がいます。

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