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第8話 全知者との戦闘

 翌日、外が騒がしくて目を覚ました。今は旅館の二階だ。

 カレンはまだ寝ているがエレナが見当たらない。窓を見てみると、家が燃えている……。


「はっ?」


 唐突過ぎて訳が分からなくなり、思わず声が出てしまった。


「おい!カレン!村が危ない、何かが起きているみたいだ!」


 すぐにカレンを起こし、外に出た。周りを見てみると怪我人がいた。


「どうした!大丈夫か?何があったんだ?」


 動揺が隠し切れない。すぐにでも状況が知りたい。


「全知者が襲撃に来たんだ……」


 そこまで言うと気を失ってしまった。


「全知者!?カレン急ぐぞ!」


「ええ、分かったわ行きましょう」


 エレナがどこにいるか気になるが、今は全知者だ。

 この村を守らなければ戦闘音の激しい場所に行ってみる。

 すると、エレナが全知者の一人と戦っていた。


「鎮め、全知者よ……テラグラビティ!!」


 エレナの魔法が全知者を潰そうとしている。だが全知者は避ける事無く潰された。こんなにあっさりやられるのか?それでもエレナは険しい顔をしている。


「逃げられましたか……」


「エレナ!無事か!」


「ええ、無事ですよ。でもまだ安心できません。一人はいなくなりましたがあと二人います」


「そいつらはどこにいるか分かるか?」


「分かりますよ、着いてきてください」


 被害を最小限に減らしたい。今は頭の中でそれしか考えられなかった。




 広場に行ってみると、全知者の二人がいた。

 何かを言っている。


「大人しくしろ、生け贄を三人必要なだけだ。殺されたくなければ引き渡せ」


 全知者の格好は聖職者が着ていそうな服だった。

 親父の言っていた特徴と同じ。


「待て!全知者、俺が相手だ!」


 俺は剣を構え、全知者に立ちはだかる。隣にはカレンも剣を構えている。


「ほう、私たちに立ち向かうか。どうなっても知らないぞ」


 全知者は堂々と言葉を言い放つ。


「焼き消せ、インフェルノ」


 もう一人が魔法を唱えた。すると、俺の下から魔法陣が現れた。まずい……!


 地獄の炎が俺を埋め尽くした。


「恵人?!」


 カレンは驚いたが、俺は無傷だった。


「何故だ……?」


 気付くと、俺の回りには丸く、シールドのようなものが張られていた。


「今のは炎の中で一番強い技です。ちなみに恵人に張られたシールドはサンクチュアリと言って防御魔法の一番上です。」


 そう説明したのはエレナだった。


「エレナ、助かった……」


 心臓がバクバクなっている。本当なら今ので焼け死んでいるはずだったのだ。


「焼かれて死んだかと思ったわ、全く……」


 カレンは俺が死んでいない事に安心しているようだ。

 だが敵は目の前だ。安心している暇はない。


「多少はやれる魔法使いがいたもんだ。だが私たちには勝てん」


「それはどうかなッ!」


 俺は一瞬で全知者の一人の懐に行き、剣を振る。

 だが、斬ったのは残像だった。


「甘いな」


 俺の後ろに全知者が立っているが、俺はビビらない。

 何故ならカレンがその後ろにいるからだ。


「取った!」


 それでも殺ることは出来なかった。ガキンッと、硬いものに当たった音がしたのだ。


「ふん、そんなものでは私を倒す事は出来ん」


 シールドを張っていた。サンクチュアリ程の防御魔法では無いようだ。少しシールドにキズがついている。


「くッ!効かないなんて……!」


「遊んでいる暇はない。失せろ……ブラスト」


 するとカレンは飛ばされ、壁にぶつかり気絶した。


「この野郎……!」


 ソルさんに守れと言われていたので、余計に腹が立った。二人でも無理な相手に。


「無能なお前では無理だ。諦めろ。だが手を出したのはお前だからな、死んでもらおう」


 全知者は俺に向かって手を向ける。だが、


「させないですよ。水よ……力を貸したまえ、ウォータープレス!」


「シールド!下級の魔法で何が出来……る?!」


 シールドはやすやすと壊れた。全知者は後ろに飛ばされ、そのまま倒れる。気絶したようだ。


「残りはもう一人の全知者ですね」


「なッ!下級でこの威力だと?!貴様、何者だ!」


「ふっ、魔王ですよ。魔王なら下級の魔法でも威力が高くなりますよ」


「こんなガキが魔王だと?ありえない!魔王は死んだはずだ!我らが殺したはずだ!」


「興奮しないでくださいよ。大人しく眠ってください」


 エレナが魔法をお見舞してやろうと、水の塊が手の上で浮く。


「くッ!今回は引いてやろう、次はないぞ!」


 自分がやられるのを怖がり、負け犬のセリフを吐き、倒れた仲間を背負って逃げていった。


「何とかなりましたね。恵人」


「ああ、それよりも……カレン!」


 地面に横たわったカレンに呼び掛けたが返事はない。気が狂いそうだ。色んなことが起きて訳が分からない。


「気絶しているだけですから、安全な場所で寝かせましょう」


「そうだな……旅館に戻ろう」


 カレンの為にも、そして自分を落ち着かせる為にも、一旦旅館に戻った。




 その後は火事も消されて、被害はあまり出なかった。被害が少なくて良かったと思う。


「一つ気になったんだが、下級魔法も威力が高いって言ってたよな。本当に魔王なのか?」


 全知者は魔王は殺したと言っていたので、多分魔王ではないと思うが。


「厳密には僕のお父さんが魔王なんです。でも死んでしまいましたから……魔王の子の僕が次の魔王だと……」


 なるほど、だからこんなに強いのか。


「んっ?でも魔王ってなんか悪いイメージないか?」


 大体の物語は魔王は敵なのだが、コイツは大丈夫なのか?


「お父さんは悪いイメージの方が強かったんですけど、全知者程酷い人でもありませんよ。僕は大丈夫です」


「そうか、エレナが大丈夫なら安心だ」


 そういえば、全知者は生け贄が三人必要と言っていたことを思い出す。

 他の場所でも襲撃されているのだろうか、不安になる。

 これはすぐに次の目的地まで行った方が良いかもな。


「エレナ、カレンが目覚めたらすぐに次の目的地まで移動しよう。場所は獣人の里だ」


「そうですか。分かりました。準備しときますね」




  ――翌日


 カレンが目覚めた。事情を説明し、すぐに出るという事を伝えた。カレンはうん、と、首を縦に振り、納得してくれた。


 マジックメイクビラージュを出る直前。


「あの時はありがとうございました。他所の人よ」


 村人達に感謝されていた。


「いえ、良いんですよ。当たり前のことですから」


 俺は丁寧に返していた。


「恵人。僕のおかげの筈なのですが……」


 エレナは俺が感謝されていることに不満らしい。

 一方カレンは心配されていた。カレンは大丈夫です。と何回も返している。


「よし、二人とも獣人の里に行くぞ」


「行きましょう」


「分かったわ」


 俺達は村を出ていった。

いかがでしたか?

サンクチュアリとは敵の攻撃を受けない場所や聖域という意味を持ちます。

なので防御魔法ということにしました!

誤字、脱字やアドバイス等ありましたら言ってください!

それでは皆様が楽しめる作品を目指して頑張ります!

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