第3話 優勝目指して
闘技場は大きく、観客席が円になっている。闘牛でもやりそうな戦場だ。
「よう兄ちゃん!闘技場に参戦するかい?それとも観戦?」
サングラスをかけた中年男性が受付をしていた。ノリがいい人なのだが、俺にとっては反応しずらい。
「ああ、参戦させてくれるか?」
「おーけOK、わかったよ、君の実力を見せてやりな!」
ようやく俺の実力が見せれるようだ。やるからには優勝を目指す!緊張感もあったが、それ以上に楽しみだった。
「さーて!次の試合は〜剣の民族、剣城恵人!!
アーンド〜剣術学院のトップ!カレン・ゴールドスだ〜!!」
今までで三回ぐらい試合をしたが全部圧勝。
次の相手は学院トップ……手応えのありそうな相手だ。少しつまらなかったので、強そうな相手は嬉しい。
「学院トップの私が相手よ!」
流石は学院トップ、自信があるのだろう。すでに勝ちを確信しているようだ。
「女性と戦うのは気が引けるなぁ……」
男と女には力の差があり、男の方が力がある。見た所、華奢な身体をしていることもあり、あまり戦闘向きではないと思うのだが。
「女だからって舐めない事ね!どこかの民族なんて私が倒してやるんだから!」
それでも自信満々だ。丁寧に磨かれた金のように美しい長い金髪にカチューシャを付けている、大きい碧眼の美少女。
恐らく、この王国のお嬢様だろう。何となくそんな気がした。
「すぐ終わらせてやる」
雰囲気も強者のイメージがなく、負ける気がしない。
「あら強気ね、あなたを負かして泣かせてやるわ!」
アンタも随分強気じゃないか。
「そんじゃ始めるぜ〜!GO!!」
司会者の合図と共に試合が始まる。
俺のスタートダッシュは速い、速攻で決める事が出来る自信がある……がしかし、この女性――カレンには速攻で終わらすことは出来ないようだ。
ガンッ!!
剣と剣が交わる。
追撃もすぐに返され、隙を見せられない。
「流石だ、学院トップは伊達じゃないようだな」
「あらありがとう、無理なら棄権してもいいのよ?」
「余裕なのも今のうちだ、こっからは本気で行くぞ」
毎日欠かさず特訓していてよかったと思う。お陰で学院トップも難しい相手ではない。 そう思いながら、瞬速で相手の背後にまわる。
カレンが気づいて、振り返った時にはもうすでに遅く、剣の持ち手に近い部分を攻撃した。
カンッ!
空にカレンの剣が舞う。
「なんと!学院トップを負かしたー!!剣城恵人ッ!何者なんだーッ!!」
この闘技場は剣を手から離すか、気絶させるかで勝敗が決まる。
「嘘……私が負けるなんて……うわぁぁぁん!」
「泣いたのはお前だったな」
この闘技場の優勝は貰った。俺は強い、だがこの王国の一番は誰なのだろうか。
まさか学院トップのコイツじゃないよな……?
「ゴールドス、この王国で一番強いのは誰だ」
「カ、カレンでいいわよ。一番強いのは私のお父様よ」
そうなのか、だから強いのかコイツは。毎回稽古付けてもらっているのだろうか?俺の親父は相手をしてくれなかったぞ。とにかく……。
「どこにいる?」
「ふっふっふっ、私ならここにいますよ」
急に声が聞こえ、後ろを振り返ると、少し痩せ細っている人がいた。親父の何歳か上だと思う。目を見ると、何度も激戦に行かなければなれない歴戦の剣士そのものだった。
「お父様!申し訳ありません……この方に負けてしまいました……」
するとカレンのお父さんはニコニコする。
「気にしなくていいですよカレン。さて、貴方が剣の民族ですね。見事でした。私の名前はソル・ゴールドス、初めまして。」
話し方的にお父さんじゃなくておじいちゃんのイメージが強い。白髪はちょくちょく見える。
「貴方が一番強いんですか」
「いかにも。私こそがこの王国最強の剣士であります」
「手合わせを願いたくて、いいですか?」
見た目で判断してはいけない、オーラが物凄い。相当強いだろう、俺の親父より強いんじゃないかと思う。汗が額から流れる。正直に言うと、恐い。
「よろしいですよ、では準備しましょう」
ソルさんのそのニコニコした表情が恐ろしい。死にはしないよな……?
「おーっとここでスペシャルステージッ!王国最強の剣士が相手だーッ!!」
司会者の声と観客の声が入り混じる中、最強の剣士に剣を向ける。
やるからには本気を出さないと……!
「では、よろしいですかな?」
「っ、行きます!」
始まりの合図と共に瞬速、無防備な突っ込み。だが、ただ突っ込む訳では無い。軌道を変えるッ!
「甘く見られてますかな?」
「なッ!」
軌道を変え、横からうなじを狙ったはずだが掠りもせず、こちらに剣を向けている。
やられるッ!
咄嗟の判断で剣を構え、何とか防御する。
「……ッ! どこに行った?!」
「ここですよ」
気づいた時にはもう遅い。剣を構えて防御していた時に前が見えなくなっていたのだ。その隙に後ろに回り込まれた。
ゴッ!と音がなったと同時に俺は意識が飛んだ。
いかがでしたか?
毎日投稿は出来ないと思いますがこれからも頑張りますので、よろしくお願いします。
それでは皆様が楽しめる作品を目指して頑張ります!