第19話 幹部の登場
カレンとフレミアは恵人達と別れた後、一人の男と対峙した。
全知者なのに聖職者のような格好をしていない。フレミアは顔を背ける。
「幹部かよ……」
フレミアはこの全知者の事を知っている。フレミアも幹部だったのだ、会ったことぐらいある。
「おっ?裏切り者がこんな所に……久しぶりだね?フレミア」
「何が目的で来たんだよ」
「もちろん君ら目的で来たよ?殺すように上から言われたんだ。この俺、地球の部隊がね?」
地球、カレンからしたら初めて聞く言葉だろう。全知者には部隊がいくつも存在する。その中の一つだ。
「フレミア、あなたも幹部だったでしょ?部隊はあったのかしら?」
「ああ、火星だ。エレナのおかげで全滅したがな」
「話してる暇なんて無いよ?」
突然カレンが倒れる。全身が地面に引っ張られるように。
「あッ……動けな……ッ!」
「クソッ!カレン待ってろ!あたしが倒す!」
フレミアの剣が炎を纏う。
「僕を倒すのかい?君に出来るかな?」
「ちっ、うるせぇ」
フレミアの炎の斬撃を幹部に向かって放つ。が、炎は地面に吸われる。
知っているのだ。同じ幹部でも適う相手じゃない事を。相手は重力を使う。炎の騎士では近づけもしない。
「諦めて殺されるといいよ。僕は優しいんだ。苦しませないで逝かせてあげる」
フレミアの回りが重くなる。息もしづらい。
「殺されるのはお前ですよ」
ふと声が聞こえた。エレナだ。
急にフレミアの体が軽くなった。
「がはッ!すまねぇ……エレナ」
「重力は僕も使えますからね、相殺出来ますよ」
「ほぅ?君がエレナだね?いやー、オーラが強そうだ、僕じゃ難しいかな?それに、仲間は皆倒れちゃってるから帰ろうかな」
「逃げるんですか」
「そうだね、次会ったら楽しもう……」
すると、突然姿が消えた。倒れていた全知者達もいなくなっている。
「まずいですね、顔を見られてますので都市の侵入は無理ですね」
「そうだな……あの幹部を何とかしないと、カレン!大丈夫か!」
俺はカレンに駆け寄り、身体を持ち上げる。
「ごめんなさい……ずっと重力掛かってたから体が痛いのよ……」
カレンを寝かせたあと、獣人達の怪我をエレナが治し、家に戻る。フレミアに聞きたいことがあった。
「フレミア、あの幹部は?」
「アイツは地球の部隊のリーダーだ。全知者には八つの部隊がある。水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星、冥王星だ。あたしは火星だ」
「そんなに幹部がいるのか……先が長いな」
「全員相当強いぞ、エレナは渡り合えるだろうがな」
「ふん、負けませんよ」
都市への侵入計画が台無しになった今、幹部を倒して上にいる連中をおびき出さないといけなくなった。
エレナ以外が幹部に通用しない。もっと強くならなければ先が無い。
「強くならないと……一人でも幹部に勝てるぐらいに……!」
いかがでしたか?
これからもっと幹部が出てくると思いますが、1番弱い幹部はフレミアじゃありませんよ。
誤字、脱字やアドバイス等ありましたら言ってください!
それでは皆様が楽しめる作品を目指して頑張ります。