表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/29

第15話 新しい炎

 目を覚ますと俺は、カレンの膝を枕にして寝ていた。


「あ、起きたわよ!」


「うっ……」


 頭痛がする。身体も重い。


「起き上がったらダメですよ。まだ完治じゃないので」


 エレナが俺の顔を覗いて言ってくる。

 俺は死んでいないみたいだ。体には傷が少し残っている。


「この胸の傷は恐らく残ります。深く斬られていましたので……」


「死んだかと思ったわよ……!」


 カレンは涙で瞳が潤っていた。こんなに心配する子だったか……?


「おっ?恵人おはよう!」


 晃が謎のテンションで声を掛けてくる。焦っていたのがわかりやすい。


「戦いはどうなったんだ……?」


「エレナが来て勝ったのよ!エレナは凄く強いわ!」


「フレミアはそこにいますよ」


 見ると壁を後ろに座っていた。傷が身体中にある。


「殺さないのか……」


「最初は殺すつもりでしたよ。でもまさか僕達と同じ、全知者を憎む者だなんて……」


「どういう事だ?」


 全知者なのに全知者を恨んでいる?訳が分からない。


「あの方はスパイだったのですよ。ソードライン王国育ちで、マジックメイクビラージュまで行って炎の魔法を得たらしいです。全知者を倒したいと考えている人です」


 なるほど、そういう事なら分かる。


「幹部になれたのか……全知者も甘いな……」


「話してないでとっとと兵器を破壊しに行きな……人質もいる。幹部になって得た情報はその後だ」


 スパイならなぜ俺達を殺そうとしたのか気になるが……まずは兵器だ。


「あっ、恵人は行かせませんよ?寝ててください」


「だが……」


「フレミアに聞きたいことがあるでしょう?」


 エレナは俺の心の中を見透かしたように言う。魔法使いは心の中も分かるのか?


「……分かった。待ってるよ」


 三人は兵器の元へ行った。

 二人だけになり、沈黙が続く。一度は俺を殺しにかかった相手だ、そう簡単に心は開けない。

 だが聞きたいことがあるのも事実。口を開かねば。


「……フレミア、なんで俺を殺そうとした……いや俺たちを」


「……あたしに殺られるようじゃ全知者に勝てないだろ。殺されるならせめてあたしの手で殺そうと思っただけだ」


「お前に勝てるやつなんてそんなにいないよ……現に幹部だ……」


「ああ、そうだろうな。ちなみに今回の件で幹部じゃ無くなるがな……。エレナという奴は何者だ?全く歯が立たないぞ」


「自称魔王だ。父が魔王だったみたいだ」


 するとフレミアは微笑し、無理無理と首を横に振る。


「勝てないわけだ……」


「それともう一つ聞きたい。どうやって幹部になった?」


「アイツらのフリをした。身元も誤魔化せば通ったし、強ければ仲間入りだ。下っ端は脳がないのかもな……冗談だが」


 階段を登る音が聞こえ、三人が帰ってきた。


「兵器を破壊しました。人質も解放しましたよ。この建物にはもう用無しです。フレミア、情報を」


「わかったよ……全知者はこの監視所の裏から真っ直ぐ先だが……」


 フレミアは一回咳をし、


「あたしは全知者の全滅を諦めた」


 エレナが眉をひそめる。他も同じ反応だ。もちろん俺もだ。


「どういう事です?」


「ヤツらのアジトはソードライン王国とは比べ物にならないほど大きい。いや、アジトじゃないな都市だ」


「なっ……」


 それを聞いた俺は声が出た。皆も驚いている。人数は俺達より多い、ただでさえ強いのに……。


「あたし達は……あたし達の先祖は差別されて追放されたんだ。弱いからや悪事を働くからという理由でな」


「それじゃあ……人が殺されたりするのって……」


 俺はその先の言葉は浮かんでいた……でも言えなかった。


「ああ、弱いやつ、あるいは悪いやつはいらないから殺すんだ。兵器とかも使ってな」


「そんなの……正しいわけない……必ず止めてみせる……!」


 重い身体を起こす。カレンが支えてくれた。


「あたしは諦めたんだがな、もしかしたら皆その事を知っていたのかもな……」


 フレミアが俯く。疲れているのも無理はない。激しい戦闘の後だ。


「フレミア、お前にもついてきて欲しい。全知者が何人いようと関係ない。ヤツらは間違っている。俺達が正してやろう」


「はっ、いいぞ。アンタについて行くのは面白そうだ」


 顔を上げ、楽しげな表情をしている。殺されそうになったがもう気にしていない。仲間になってくれるなら心強い。


「ありがとう。ここはもう用はないんだな?エレナ」


「はい。用無しです」


「じゃ、出るか……」


 俺達はフレミアという新たな仲間を連れ、監視所を出た。


いかがでしたか?

罪の無い人を殺すのは間違っている。これは全知者だけに言えることなのでしょうか?

おっと、口を滑らせてしまいました笑

誤字、脱字やアドバイス等ありましたら言ってください!

それでは皆様が楽しめる作品を目指して頑張ります!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ