第10話 獣人の里の長、ビーマルさん
山登りの道中、仲間になった男が悲鳴をあげていた。
「ケモ耳の為とはいえ、引きこもりの俺が山登りは流石にキツい……」
息を荒らげ、顔が青白くなっている。
「大丈夫か。そういえば名前を聞いてなかったな。俺は恵人、黒髪の少年はエレナ、金髪の方はカレンだ」
「えっ?エレナちゃんって男の子なの?女の子だと思ってた。俺は田中晃、俺って引きこもりだけどおかげで異世界来れたと思ってる」
毎回異世界っていうのが気になる。晃はここ以外の世界から来たというのか?
「とりま休もうぜ?足が悲鳴をあげてる」
「仕方ない……皆休憩するぞ」
「やっと休憩?私も疲れたわ」
「僕はあまり疲れてませんよ?」
魔法使いって長距離歩くのが苦手のイメージがあったのだが、偏見だったか。
「確かここら辺に実がある筈です。取ってきますね」
「分かった、気をつけろよ」
「ありました」
ん?速すぎないか?5秒ぐらいだぞ?
手には四人分の赤い果実が乗っていた。
「……ありがとう。食べたら行くか」
「エレナちゃんの手渡し……なんか頭が幸福で満たされる……」
晃のニヤケっ面が妙にウザさがある。
「晃、ちゃん付けはやめてください。男ですから」
「外見と名前男じゃないけどね。不思議だ……なんかこんな設定の子がいる本読んだことあるような……?」
俺だけ気にしていた。エレナの果物を取りに行って戻ってくる速さに。
赤い果実は甘酸っぱく美味しかった。水分も含んでいて、疲れもとれるいい果実だ。
「行くぞ、あともう少しだ」
俺達は山登りを再開させた。
獣人の里、それはマジックメイクビラージュの村と似たような感じだった。
違うのは人種と気温だ。山ということもあり、寒さを感じる。
「本当に獣人なのね」
「ケモ耳……最高!」
カレンと晃は感想を言っていく。初めて見たのだろう、俺もだが。意外なのは、耳しか獣人っぽくない事だろう。戦う時に変化するのか?
「早速この里の長に情報をもらいに行きましょう。全知者の居場所への道を」
エレナは来たことがあるのか、この里の長の家がわかっていた。
「ビーマルさん、居ますか?」
家のドアをコンコンし、しばらくすると老人が出てきた。当然獣人だ。
「久しいのう……エレナ。初めまして、仲間さん達、ビーマルと申します」
ここの獣人は皆茶髪だが、この人だけは白髪だった。相当の歳なのだろう。
「こちらこそ初めまして、剣城恵人です」
「カレンよ」
「えっと、田中晃です」
晃は、俺らと会った時は普通に接していたのに何故かぎこちない。歳の差が大きいからだろうか?
「ビーマルさん。この里に全知者は来ましたか?」
「ああ、来ていたよ。里の大人が三人連れていかれたのう……大人しく従うしか無かった……わしらじゃどうにもならん」
「やはりですか……どこに向かったんですか?」
「監視所だったかのう……山を降りて少し歩くとあるはずじゃ」
この里からその監視所が見えていた。
高い建物だ。
「登るのに疲れたじゃろう、少し休むといい。空いている家があるんじゃ、そこを使いなさい」
「ありがとうございますビーマルさん」
ビーマルさんに感謝し、俺達は少し大きめの家に一日泊めてもらうことになった。部屋も人数分ある良い家に。
いかがでしたか?
自分としてはあまりこの話は面白さが欠けていると思います……
戦闘は面白いですよね!
誤字、脱字やアドバイス等ありましたら言ってください!
それでは皆様が楽しめる作品を目指して頑張ります!