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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

雑兵

作者: カワユキ


 ー1560年桶狭間ー


 「でな俺の予想じゃ俺の前世は余程高貴な生まれらしくてな壁をドンと叩けば飯が運ばれてくる、恐らく余程の長者かお公家様に違いない」


 俺の言葉に周りの足軽達が大笑いをしだした。


 「まこと新兵衛の話は面白いのう」

 「新兵衛がお公家ならワシ等も皆お公家様かの?」

 「まったく新兵衛は飲み過ぎじゃ」

 「違いない」


 そう言うと皆はまた笑いだした。


 皆だいぶ酒が廻ってきとる

 ちなみに俺は下戸だ

 「俺は酒なんぞ飲んどらん」


 そう言う俺の言葉に皆は益々大笑いした。


 そうこうしてると空から大粒の雨が降ってきた。

 「こりゃいかん、せっかくの酔いが醒めちまう」

 そう言うと皆はどこぞ逃げ込める木陰はないかと見回した


 それから程なくして織田の兵が攻め込んできた。


 そっから先は滅茶苦茶だった。


 敵の足軽は槍先を調え突っ込んでくる、味方は右往左往しながら討ち取られる。

 俺は仲間数人と将棋倒しになった所を突かれ意識を失った。




 がさごそとする音に俺の意識は覚醒した。

 「お~雨が止んで星が綺麗だ」

 眼を覚ました俺は周りの景色を眺め自分が何者で今がどういう状況か思い出した。


 そうか此が桶狭間の戦いか・・・で俺は今川方の雑兵の新兵衛と、

 ネットの小説とかだと普通は勝つ方に転生したりするもんじゃねぇの、選にもよって何で今川方に雇われちゃうかね、況してや桶狭間って酷くない 

 おれば寝っころがったままそんな事を考えていた。


 そんなアンニュイな感じの俺の顔を、ひょっこり覗きこんだ奴がいた。


 「・・・・・・」

 「・・・・・・」


 「おいっこいつ生きてるぞ!」

 そいつの言葉に不味いと思った俺は咄嗟にそいつの襟首を掴み引きずり込むと一気に締め上げた。

 

 首を絞めながら起き上がると結構な数の松明を持った百姓がいた。


 槍を構えて此方を討とうとしてる者、松明を手に他の仲間を呼ぶ者、あぁこいつら死体漁ってたのね

 まぁこれ以上は考えたって仕方ねぇ、俺は立ち上がると絞めていた百姓を離し倒れてるそいつの咽を踏みつけてへし折った。


 俺もしっかりこの時代の人間だね、もうちょっと人を殺めるのに抵抗感があるかと思ったが、まぁ此が初めてってわけでもないしな


 今の新兵衛(おれ)にとっては過去の俺何てのは夢の中の話に過ぎない。


 さて、取りあえずこの周りでぎゃーぎゃー騒いでる奴等をどうにかせにゃならん

 俺は首をへし折った奴が腰に挿してた刀を抜いて大きく息を吸った。


 ”きぇぇぇぇぇぇぇ~”

 俺はお猿さんもびっくりする位の猿叫を上げてその場から逃げた。


 



 

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