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無職で最強~受け継がれた力をフル活用する

作者: 金子将章

短編小説を書いてみました。

どうぞ宜しくお願い致します。

※誤字脱字ありましたら誤字報告へお願い致します。

今日も僕は森の中で一人、木剣を振るっていた。

僕の名前はユウキ、村では爪弾きものだ。


それもその筈、僕のステイタスは【無】なのだから、

向いている職業、属性もスキルも分からない。


言ってしまえば、得体の知れない異物みたいな物だった。


村では通常10歳になると、教会の神官様から女神様からのお告げを頂く。

例えば、幼馴染のジェイクは職業【剣士】

ルシカは職業【魔法使い】

エリシアは職業【僧侶】ってな具合にだ。


その他にも職業【きこり】【農夫】【調理師】なんていう

のもある。


僕はその時、職業【無】だった。

唖然とした。


元々女神様からお告げを頂く教会とは別の

教会の孤児院で育った僕には村の皆からの風当たりが強い傾向だったが、

さらに風当たりが強まった。


「無能!」「役立たず!」「女神様から見放された子」


等と最初のころは言われていたが、

あの頃から3年も経った今では皆に呆れられ

あだ名で「無能」と言われているだけだった。


ただ、幼馴染の3人ジェイク、ルシカ、エリシア達だけは

僕の事を「無能」などとは言わず、仲良くしてくれていた。


ジェイクは普段真面目だが、僕達の前では軽くふざけたりもして

気のいい兄貴見たいな人だ。

ルシカは気が強く、正義感も強く姉御といった感じだ。

エリシアはやや気が弱く、恥ずかしがり屋の妹のようなだ。


ジェイク、ルシカ、エリシアは魔物討伐に適した職業に向いて

いたため村の冒険者ギルドに登録し、3人パーティーで近隣の

魔物討伐を行っていた。


バランスも良かった、前衛の剣士ジェイクは近距離戦、

後衛の魔法使いルシカは遠距離からの魔法攻撃、

同じく後衛の僧侶エリシアは回復呪文での支援、今では村のちょとした英雄達である。



僕もそんな3人に憧れ、時間をみては1人森の中で修行をしている。

時々、ジェイクに頼んで稽古をつけてもらうが、全然歯がたたない。


「ユウキ、ちがうよ。剣の振り方はこう! 」

「ブワン! 」と、風圧と風切り音がなる。

「こ、こうか? 」


「・・・・・」僕の振る木剣からは風切り音さえ聞こえない。

「違う違う、こう地面に足の裏を貼り付けて、重心を踵からつま先に

移す時に腰の回転を加えるんだよ。」


「わかった、やってみる」

「フン! 」気合を入れて木剣を振ってみるも、やはり無音。

「ユウキ、これは今後の課題として出来るようになったらまた教えてあげるよ」

「有難うジェイク、出来るように頑張るよ」


ルシカ、エリシアからも魔法について少し教えてもらっていた。


「いい? ユウキ、まずは自分の中の魔力を感じとれないと魔法は発動しないわ」

「魔力かぁ、僕に魔力なんてあるのだろうか? 」

「あるわよ、だって少なからず村の全員魔力を持っているんだから」

「皆って僕も含めて? 」

「その筈よ、ねえエリシア」

「あ、はいその筈です。ルシカの言う通り、まずは自分自身と向き合う事が大事です」


そうか、と言っても自分自身と向き合うとはどうすればいいのだろうか?

取り敢えず、座って目を閉じ心の中で「魔力、魔力、魔力」と唱えてみた。


「バコン! 」


ルシカが杖で僕の後頭部を軽く? 叩いた。

「ユウキ、今あんた何か考えながら目を閉じてたでしょ! 」

「えっ、あ、うん」

「そうじゃないのよ、考えちゃダメ、無心になるのよ」

「そうすると胸の中心の当たりに温かい感触を感じるの、それが魔力! 」


そうか、無心になるのか中々難しそうだぞ。


「じゃ、それが出来たら次を教えるわ」

「有難う、ルシカ、エリシア」

「頑張って下さいね」


と、こんな具合だ。

未だに木剣を振っても風切り音は出ないし、魔力も感じとれない。



僕はいつもの様に、孤児院に戻ると夕食の準備を始める。

「いつも有難うユウキ」

シスターのマシェリさんだ。


「いいえ、無能な僕にはこれくらいしか出来ませんから」

「あまり自分を卑下しないで、あなたは十分人の役に立っていますよ」

「そのうち女神様へのお祈りも通じます」

そう言ってマシェリさんは夕食の準備を手伝ってくれた。


女神様へのお祈りか、いつも僕は

「無職をどうにかして下さい」と、ばかり祈っていた。


夕食の準備も出来、神父のカタルカさんを呼びに二階へ向かった。

「カタルカ神父、食事の準備が出来ました! 」

「ガタガタ」と、物音がすると少し焦ったような口ぶりでドア越しから

「おお、今行く! 」

と、カタルカ神父の声が聞こえた。

「じゃ、下でまっていますので! 」


テーブルを挟んでマシェリさんとカタルカ神父をまっていると

急いだ様子でカタルカ神父が下りてきた。


「待たせてしまって悪いね」

「いいえ、そんなに私達はがっついていませんよ、ふふふ」

「そうですよ神父、それに今日は特別に肉が手に入ったので

食べるのがもったいないと思っていたくらいです、あはは」

「ほう、今日は肉入りのスープか、これは楽しみだ、あっはっは」


僕達は食べる前のお祈りをします。

「神よ、あなたに感謝して、この食事をいただきます」

「「いただきます」」


食事を済ませるとカタルカ神父が

「ユウキ、お前は今年で13歳になるな」

「はい、そうですが何か? 」

「実はお前を拾った時に手紙とこの首飾りを預かっておった」


カタルカ神父の手には黒々とした赤い宝石がぶら下がっていた。

「そして、手紙の内容じゃが」


『まずは、この子をここに置いて行く事をどうかお許しください。

この子の名前はユウキ、分け合って私共はこの子を手放さなければ

ならなくなってしまいました。どうかこの子が13歳になったら、

この魔法石をこの子に渡してください。

この石がきっとこの子をお守りする事でしょう。』


「と、短い文章が添えてあった」

「ワシは少し悩んでしまっておってな、この『魔法石』というのが

どうにも引っ掛かっておったんじゃ、ただの宝石なら露知らず『魔法石』

というのは持つ者を幸福にも不幸にもしかねん危険な品物じゃ、

持ち主にどういった作用をもたらすか、どんな魔法が込められているのか」


「でも、カタルカ神父、その手紙にはユウキを守る石だと書いてあったんですよね? 」

「マシェリ、たしかにそうじゃ」

「では渡してあげても良いのではないでしょうか? ユウキは今、無職無属性で

悩んでいます。その『魔法石』がユウキの心の支えになるかも知れません」


「ユウキ自身はどう思うておる? 」

「ええっと、急な話で戸惑っていますが、僕にとって両親の形見みたいな物だと

思います。ですので、自分で持っていたいと思います」


「そうか形見か、確かにそういう見方もあるな、ではユウキにこの『魔法石』を渡そう」

「有難うございます、大切にします」

「良かったわねユウキ、でも何かあったら直ぐに言うのよ」


僕はカタルカ神父から魔法石の首飾りを頂いた。

その晩ベッドで仰向けになり、右手で魔法石を持ち眺めていた。

「これが僕のお守りかぁ、人を幸福にも不幸にもするという魔法石」


眺めているうちに眠気がさし、そのまま寝入ってしまった。

そして夢の中で声を聞いた。

「ユウキ、やっと出会えてわね。あたしの事覚えてる?」

「ん? 君は誰だ? 」

「忘れちゃったの? あたしはノエル、代々あなたの血筋を見守ってきた者よ」

「ノ・エ・ル? 」

「そう、『ノエル』困った事があればいつでも呼び出してね」

「呼・び・だ・す? 」


そこで目が覚めた。

「う~ん、何だか変な夢を見たな? ノ、ノエル? だったか? 」

妙に現実的に声が聞こえたような気がする。右手には魔法石が握りしめられていた。

僕は何気なくそれを首から垂らした。


二階の自室から階段を降りるとマシェリさんが朝食の準備をしていた。

「おはようございます、僕も手伝います」

「おはよう、ユウキいつも有難う」


今日の朝食は芋のスープとパンだ。

カタルカ神父も起きて来たようだ。

「おはよう、マシェリ、ユウキ」

「おようございます神父」

「おはようございますカタルカ神父」


3人が席につき、

「神よ、あなたに感謝して、この食事をいただきます」

「「いただきます」」


いつもの様に朝食を終えた。

今日は畑仕事を終えたらまた、森へ行くつもりでいたのでくわ

背負い籠と木剣、昼食用のパンをもって畑へ出かけた。


「今日は曇りか、涼しくて過ごしやすいなぁ」

そう言いながら畑を耕して、雑草をむしっているとお腹が空いてきた。

周りを見渡すと僕と同じように畑仕事をしていた人たちは一段落つけて

昼食をとっていた。

気が付かないうちにもう昼食の時間になっていた。


僕も手を休め、昼食にしようと思い土手に置いておいた背負い籠から

パンを出してお祈りをしてから口に挟んだ。


「今日は日が出ていないから、時間の感覚が狂っちゃったな」

「でも、今日の仕事は15時には終わりそうだ、終わったら森へいくぞぉ・・」

と、両手を握り頭上に伸ばした。

「あぁ、懐中時計、ほしいなぁ」



30分ほど仮眠をとろう。

僕はそのまま土手に寝ころび、目を閉じた。

すると、また声が聞こえてきた。

「ユウキ、あなたは何をしているの? あなたのご先祖様たちは、こんな事していなかったわよ」

「ん? うるさいなぁ・・? 」

「それに食べ物も随分と質素ねぇ、栄養足りてるの? 」

「足りるも何も、食べられるだけましだろ? 誰なんだ? 」

「言ったじゃない、あたしはノエルよ、ノ・エ・ル! 」

「ノ・エ・ル? 」


「はっ」と、目が覚めた。

今朝の夢の続きか? たしかノエルだったか!?

いったい何者なんだ、胸元の魔法石が黒々と赤く光る。


昼休みを終えてまた畑仕事に戻った。

作業しながらジェイク、ルシカ、エリシア達3人の事を

考えていた。


「3人ともまた、魔物の討伐に行っているんだろうなぁ、僕にも能力があればなぁ」

ため息交じりに言葉が漏れた。


冒険者ギルドに登録していれば、クエスト依頼が受けられ報酬もそれなりに

貰えるのだ。ギルドで冒険者ランク上位になれば高難度クエストも受けられ

報酬もさらに高額になるという。

そうすればマシェリさん、カタルカ神父に苦労を掛けさせなくて済むのになぁ。


そんな事を考えながら作業をしていると、今日の分はかたずいた。

まだ日も明るいし、森での修行に行こうと思っていると、村の

出入り口から何やら叫び声が聞こえてきた。


遠すぎて何を言っているかまでは、分からなかったが村の一大事には

変わりないだろう。僕は急いで荷物をまとめて村の出入り口の方へ

向かって走っていた。


村の出入り口方へ向かっていると、僕とは反対方向に逃げ出す村人達に

曹禺した。取り敢えず情報が欲しかった為、村人の1人を捕まえ事情を

聞かせてもらった。

「すまない、今村で何が起きている!? 」

「ま、魔物の軍勢が村に攻め入ってきている! は、早く逃げないと! 」

「足止めをしていまって、済まなかった。気を付けて逃げて下さい」


こんな辺鄙へんぴな村に魔物の軍勢だと!? 生態系でも崩れたのか? 

しかし、ジェイク、ルシカ、エリシア達は無事だろうか? 

弱い自分が他人ひとの事を心配している場合じゃないが、急ごう。


魔物の軍勢はすでに村の中央広場まで来てた、一見すると30匹位の

槍を持ったオークの軍勢がいた。

「な、なんでオークなんかが・・しかもあの数、村を壊滅させらてしまう」


ジェイク達はオーク達に包囲されてしまって多勢に無勢だ。

しかもオークはジェイク達でも一度に相手が出来るのは1匹程度、

絶望的な戦力差だ。


このままではヤバい、自分の弱さを知りつつも僕は手に木剣を握りしめ

オークの軍勢に向かっていった。

「うおおおお!! 」


その気配に気が付いた数匹のオークが僕を睨みつけてくる。

構わず木剣を構え、1匹のオークの前にでた。

「喰らえぇ!! 」

渾身こんしんの一撃を繰り出す。


その瞬間、3本の槍が僕を貫き、引き抜かれていた。

「・・・ゴヴォ・・・」吐血した。


その様子に気が付いたジェイク達は僕に向かって

ジェイクが叫ぶ

「ユウキィ!!!! 」

ルシカが

「ファイアアロー! 」

炎の矢が飛んでくる、攻撃魔法を放った。

エリシアが

「ヒール!! 」

回復魔法を唱えてくれた。


しかし、ジェイクの叫びはオークの騒音にかき消され、

ルシカの攻撃魔法は僕の目の前のオークを掠める

エリシアの回復魔法は僕までは届かなかった。


僕は全身に力が入らなくなり、膝をついて頭をもたげる

(ぼ、僕は死ぬのか? い、嫌だ)


意識がが朦朧もうろうとして、目を閉じかけたその時、

また、あの声が聞こえる

「死なないで、お願い、私の名を呼んで! 」

(たしか・ノ・エ・ル)


僕は声にもならない様な声で呟いた

「た・す・け・て・ノエル」


僕の胸元の『魔法石』が強烈に輝きだし、その光の中から人?

が現れた。

回復魔法ヒール


瀕死状態だった僕の傷があっという間に回復した。

「こ、この強力な回復魔法は? 」

「ああ、一般的な回復魔法ヒールよ、でも同じ回復魔法だけど込められている魔力の桁が違うのよ」


それになんだ? 胸の中心に熱く感じるこの感覚は? 

ルシカ、エリシアの言っていた魔力ってのはこの事か?

そして目の前の少女に向かって


「君が『ノエル』なのか? 」

「そう、あたしが『ノエル』よ」

歳は10歳くらいか、金髪の髪の毛は腰の辺りまであり金眼の目で

肌は色白で随分と整った顔立ち、美少女である。


「それとユウキは、あたしを呼んだ事によって契約が結びなおされたの」

「これを機にユウキの魔力、才能が引き出されえているはずよ」


「あたしはあの3人に加勢してくるから」

そうゆうとノエルの背からコウモリのような羽が生え、

上空へ飛び去ってしまった。


魔力、才能? 木剣1本でどうしろというのだ。


僕の前にはオーク達が立ちはだかっている。

さっき串刺しにされたばかりで、緊張して動けないでいたが

1匹のオークが攻撃を仕掛けてきた。


するとその攻撃がまるでスローモーションのように見え、

体も軽く、教わってもいないのに最小限の動きで攻撃をかわした。


そして次々と繰り出されるオーク達の攻撃を全てかわす事ができた。

しかし、かわすだけじゃ駄目だ攻撃もしないと。

ジェイクに教わったように踵からつま先へ重心移動させる際に

腰の回転を加えて木剣を振った。

「バシン! 」とオークの左腕に当てた。


「グゴ! なんて苛立たしい人間なんだ!! ちょこまかと動きやがって! 」


いい音がしたが、オークに殆どダメージは無いようだ。

やっぱり木剣ではこの程度か。


ノエルは上空からオーク達に向けて火の玉を連発している。

手の平から魔法陣が見えたので、おそらく炎系の魔法だろう。


そのおかげでジェイク達は態勢を立て直せたようだ。

それは良かったが僕は相手の攻撃をかわすだけでダメージを

与えられていない。


ノエルがその状況をみて上空から僕に話しかけてきた。


「ユウキ! 魔力、魔法を使いなさい!! 」

「どうやって! 魔法を出せばいいんだ!! 」


「イメージよ! まずはその木剣で相手が切れるイメージを強く思って!! 」

「炎とか雷じゃないのかよ!! 」

「今のユウキにはそれが手っ取り早いわ! 」


ノエルの言葉を信じよう、まずは敵との間合いをあけて木剣を握って集中!

すると体の中心にあった熱い物が腕を伝わり木剣を握っている手に届き、

さらに木剣へと流れて行く感覚を感じ、木剣を見ると薄ぼんやり青白く光っていた。


「こ、これは、これなら行けるかもしれない! 」


僕はオーク達との間合いを詰め、攻撃をかわしてオークの首を狙った。

「ス・・」っと木剣がオークの首を切断した。


「!?」


オークが驚いてたじろいた。

でも、一番驚いたのは僕の方だ、ただの木剣でこんなにあっさり切れてしまうなんて。

しかも、オークを一撃で仕留めてしまった。


一瞬たじろいたオーク達も同胞をられて頭に血が上ったようだ。


「このぉ! 人間のガキがぁ!! 」


頭に血の上っている者ほど動きが単調になる。

先ほどよりもオーク達の攻撃がよく見える。

オーク達を切り刻みながらジェイク達のもとへたどり着いた。


「ユウキ、すまない俺たちがいながら村に魔物の侵入を許してしまった」

「過ぎた事はしようがないし、相手はオークだ。それも数十匹、仕方ない」


「大丈夫、あと10匹程度だわ」

「私もまだ魔力が残っています、回復魔法は任せて下さい」


すると頭上からノエルの声が聞こえてきた。

「みんなぁ! 後はあたしに任せて!! 」

「ファイアアローショット!!」


無数の炎の矢がオーク達めがけて飛んで行った。

その炎の矢はオーク達を貫き、殲滅させた。


するとノエルが下りて来て、ニコっと笑うと

ジェイク、ルシカ、エリシア達3人をまじまじと見つめて


「君たちがユウキのお友達ね? あたしはノエル、ユウキの相棒件契約者」

「よろしくね! 」


「僕はジェイク【剣士】をしている」

「私はルシカ【魔法使い】よ」

「私はエリシア【僧侶】をしています」


「それにしても、ノエルさん空飛べるんですね」

「それに最後に見せた魔法、レベルが高いわ」

「ですよねぇ、村にこんな人が来てくれるなんて助かりました」


その時僕たちの死角から槍が飛んできた。


「ノエル! 」


そう言うと僕は槍の飛んできた方へ駆け出し、生き残りのオークを仕留めた。

ノエルは飛んできた槍を素手で掴んでいた。


「まだ生き残りがいたなんて、よく気が付いたなユウキ」

「そうね、完全に油断してたわ」

「私はノエルさんが槍を掴むまで何が起きたか分かりませんでした」


「それに先ほどからのオーク達との立ち回り、凄かったな! 」

「しかも魔力を木剣にまとわせるなんて普通できないわ、凄い魔力量ね」

「それにさっきの察知能力も凄いです、いつのまに? 」


「それが僕も今、何が起きているのかよく分からなくて、

それにノエルの事も全然分からないんだ」


「「「え!?」」」


「じゃあ、さっきノエルさんが行ってた契約だの相棒だのは? 」


「あー、えーと、ジェイク君だっけ? その話はおいおい話すとして、

今日の討伐報酬はかなり弾むんじゃない? 」


「そ、そうだ! これだけのオークを倒したなんてこの村で初めてだ! 」

「そうね、3ヵ月、いや半年分くらいの報酬が見込めそうよ! 」

「それじゃ、早速ギルドに報告して今日は村の皆さんでパーッと宴をしちゃいましょう! 」


「その・・僕とノエルもいいのかな? 」


「当たり前だろ! 」

「そうよ! もう村の皆にユウキの事「無能」だなんて呼ばせないわ! 」

「そうですよ! 今日はユウキとノエルさんが主役なんですからね! 」


そうしてジェイク達はギルドへと向かった。

僕達も孤児院へ戻り、自室へ戻った。


「なあ、ノエルって何者なんだ? 」

「言ったじゃない、ユウキとの契約者だって」

「そこをもう少し詳しく教えてくれよ」


「そうねぇ、大昔あたしの一族とユウキの一族は血の盟約を結んだの、

ユウキの一族が滅びゆくあたしの一族を救ってくれたから」


「そしてユウキの一族を守るようにと、

あたしの一族の中でも優秀な者が『魔法石』に封印されて、ユウキの一族に手渡されたの、

そして、その魔法石の封印を解けるのがユウキの一族」


「ユウキの一族は魔法石に封印されているあたし達と契約を結び、あたし達は精神体から実体化できるの」


「ユウキの一族の契約者が亡くなってしまうと、あたし達はまた『魔法石』に戻される、

でもただ戻されるだけじゃなくて、それまでの契約者の魔力と能力を預かるの、そして次の契約者へと繋ぐのよ」


「ノエル、根本的な事を聞くけどノエルって人間じゃないよな・・・」

「そうね、魔人族とエルフのハーフだよ」


意外とあっさりしているな。

でもたしかに整った顔にコウモリのような翼、魔人族とエルフのハーフって感じだな。


「おおよそ分かった、これから宜しくなノエル! 」

「こちらこそユウキ」


カタルカ神父、シスターマシェリさんにも報告しなくちゃだな。


お読み頂き有難う御座いました。

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