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【7】君は天使かな?~エレンside

視点違いを書いてみました

わかりにくいところもあると思いますがご容赦ください


※暴力シーンがあります


薄いぐらい地下室の中でその女の子は輝きを放っていた




「そうなのね、よかった。わたし、まだあの子が心配だから・・・」


そう言ってにこっと笑顔をむけてリーナは私の隣から()()()のところに戻っていた

私はそれを名残惜しげな顔で見詰めていた


はぁ、綺麗なんて言葉では尽くせないくらい美少女な黒髪の女の子、リーナと名乗ってた

私の手にはリーナがくれた彼女の私物らしきかわいらしいピンクの手触りのいい極上の絹のハンカチが濡れた状態であった

まったく惜しげもなく高価な絹のハンカチを他の布切れと同じように渡す彼女が只の子供でないと物の価値がわかるエレンは考えていた







リーナがこの地下室に連れて来られたのは私たちがここに入れられた翌日だった


他の子供と同じように分厚い扉が開いたかと思うと転がされた女の子

恐らくそれまで眠らされていたんだと思う。驚いた顔でキョロキョロ忙しく見回していた

そのときはチラッとは見たがどうせ起き上がって泣き喚いたりするんだろうなと興味がなかったし

それよりも脱走が見つかって殴られた頬がはれてきた

絶対に成功するって言われてここに降ろされたときに子供たちみんなで方々に逃げる段取りをしていたのに決行日前日、荷馬車に新しく攫われたどこぞの貴族のオジョーサマが邪魔をするものだから直ぐに捕まってその上罰として殴る蹴るの暴力をうけてからこの地下室に放り入れられた

もう、女の顔になんてことするのよ!

これでもスハノフ特長の高い鼻筋と切れ長の瞳の美少女と言われた自慢の顔を殴るなんて!!

お嫁に行けなくなったらどうしてくれんのよ!!!


尤も、この状況を脱せたらだけどね・・・


はぁ


まぁ、ここから逃げ出せたとしてもそれだけじゃないしなぁ







私はエレン、8歳になる


この大陸は平民には家名はない

クライネフで両親と双子の兄のアランと仲良く暮らしてた

両親は、スハノフの王都にお店を構える商家を営んでいた

なかなか大きいお店で、裕福だったうちには下働きもいてお嬢様って呼ばれていたし

それこそ下位貴族よりはいい暮らしをしていた・・・


私は、なに不自由なく暮らしていたし見た目もいいしまわりも割とチヤホヤして蝶よ花よと育てられた。お父さんはお仕事が忙しいけどいつもアランと私と遊んでくれていたし、お母さんはそんな私たちを優しく微笑んで見守ってくれていた。勿論、双子のアランとは喧嘩もするけどいつも一緒で勉強で競い合ったりアランだけ跡取りだからってお仕事の勉強をするのはずるいって言っていつもべったりしていた。負けず嫌いの性格でお店のこと商売のことを一緒に学んだ。アランも無口だけど私には優しくて双子なのに兄だからって責任感が強いいいやつだ

このまま、4人の家族で仲良く暮らせると思っていた・・・


でも2ヶ月前に両院が商品買付けに大陸以外の国に出て船が事故に合い死んでしまった・・・

それからすべてが変化した


滅多に会うことがなかったお父さんの妹家族が押し寄せてそのまま居座り、子供にお店はできないからって言われてお店の権利を奪い、私たちは今までの部屋から使用人の部屋に追いやられてそれまで優しかった使用人たちは主人が替わったことで私たちの味方をしてくれなくなった。

私たちは追いやられた部屋で監禁状態で1日1回の僅かな食事で辛うじて生かされた

お店を乗っ取りたいのなら手っ取り早く殺せばいいのに思うが、そんな勇気はないのだろう

だから、『双子は両親を亡くしたショックで寝込んでいる』と触れ込み

時間をかけて弱らせて何れ病死と発表してその実、私たちを衰弱死させる計画が想像できた

助けてくれる人がいない状態でアランと励ましあって過ごした


「あいつらに期待をするな。所詮は雇われているだけの使用人だ!信用に足るやつじゃない。

少し時間は掛かるが助けてくれそうな大人に連絡をしてみよう」


アランの言う助けてくれそうな大人と言うのは、以前お父さんたちが助けた貴族だという

監禁されていた部屋からアランが隙を見て抜け出し、知り合いの伝を使ってその貴族に連絡をとった


それから数週間後、諦めかけていたときに助けはきた

監禁されている部屋の窓から助けに来てくれた男たち、助けの貴族が用意してくれた隠れ家に行くようなことを言われて直ぐに屋敷を抜け出して男たちの幌馬車に乗せられた。

食事を与えてもらって安心したのか暫らくすると強烈な眠気に襲われた。

アランも同じ様だったがまだ気が張っていたのか必死に起きていようと頑張っていた

優しそうな笑顔の叔父さんに、もう安全だから寝ていていいよと言われたときには、私は返事もできないくらい眠りの国へ身を委ねていた


だから


目が覚めて馬車の中に何人もの子供たちと一緒に寝かされていたときには吃驚した

ここはどこかと混乱した


さっきまで乗っていた普通の幌馬車と違い柵がついた動物を乗せるような荷馬車

それに厚い布をかけられて外が見えないようにされていた、と言うより外から見えないようにしているようだ


それに自らの状態も違った


後ろ手に縛られて口には布を咥えさせられていたのだ


「ん~っ!んうぅんっ!!」


横を見るとアランが同じ様に縛られていた。

私と違うところは殴られてた痕があるとこ

思わず声をかけようとしたが呻き声しか出なかった

アランは既に目が覚めていたらしい

私が目を覚ましたと気がつくと這って近寄った


「ちょっと静かにしてろよ。」


小声でささやかれた


へっ?


同じ様に猿轡をされている筈なのに何故喋れるのか?疑問が思いっきり顔に出たようだった


「お前も外してやるから、でもまだ動くなよ」


そう言うと辺りを伺ってから自らの縄を解き上体を起して、手を縛っていた縄を外して私の縄と猿轡も外してくれた。

そのうえで口元に指を立てて静かにするように教えてから経緯を話してくれた。


「裏切られた」


つまり、助けを求めた貴族は私たちを助けるふりをして叔母夫婦と組んで人攫いに売飛ばしたのだ

よく見ると10人くらいの見目がよさそうな子供たちばかり

攫われた子供たちがその後どうなるか子供とはいえ商売について学んでいた私たちには分かる


奴隷市場・人身オークション・娼館・奴隷落ち・・・


大陸では禁止されているけど、どの時代にもアンダーグランウンドが存在する

こいつらは規制して罰則を厳しくしても沸いて出てくる

まともに商売を営んでいても直接関わることはなくても目にする存在

決してこちらから近づきたくない存在だけど知らなくてはいけない存在


そんなやつらに捕まったのだ・・・


絶望感でさーっと顔から血の気が引いていく


「逃げるチャンスはある」


そう、アランの隣に少し年下の男の子が来ていた


「こいつらは今度はブルンベルヘンに行くはずだ・・・

エーデルワイズ、クライネフ、スハノフと回って子供を攫っている

次はブルンベルヘンだ。

そのときにどこかの建物に移動させられる

そのときに逃げるしかない・・・次があるか分からないからこれが最後のチャンスだと思う」


男の子は力強い目で言った

私はこんなときだけど目の前の男の子の姿に驚いた

私たちよりも少し小さな男の子。でも、その言葉の

全体的に汚れていて殴られた痕があるけど金色の髪の綺麗な顔をしている


「君は?随分詳しいけどどうして?」


「・・・エーデルワイズで最初に攫われたんだ。」


「今まで逃げなかったのか?」


「逃げようとしたさ・・・その度連れ戻されて殴られた。

君もここに乗せられたときに抵抗して殴られただろ?

あいつらは逃げようとしたやつには容赦がなんだ」


確かにこの男の子もアランもなぐられた痕がある

って、アランはいつから目が覚めていたのよ!


「だから、それまでやつらを油断させるために縛られたふりをしているんだ」


「他の子たちにも計画は伝えてるから、おまえも手に縄を巻くだけでいい、猿轡は軽く直ぐ振りほどけるように結ぶんだ。こいつがその時に合図をくれるからな、それまで休んでろ」


その後は、あのオジョーサマが邪魔してくれたものだから失敗


みんな折檻されて地下室にいれられた・・・


特にあの計画を立てた男の子は酷かった

みんながここに入れられた後、ボロボロになるまで子供たちの前で殴られて抵抗もできないくらいぐったりとしているのに、男の子の胸倉を掴んで持ち上げて執拗に暴行を加えていた。


「次に逃げ出そうなんて考えるやつがいたらこいつと同じ目に合わすぞ!!!」


そう大声で言ったかと思うとあの男の子の左足を一人が持ち上げて、さらにもう一人の若い男が棒を脛に振り降ろした


「っぐあああああああぁぁぁっ!!!!!」


男の子の絶叫が地下室に大きく響いた。


殴られる瞬間、見ていられなくてぎゅっと目をつぶったから

その瞬間は見なかったけど声は耳を塞がなかったから聞こえて

恐怖に震えた。


そろそろと目を開けると痛みに顔を歪ませ、極限まで目を開いて獣のような呻き声を喉から出していた


男たちは、男の子を地下室の一番奥に放り投げて転がして出て行った


男の子は転がされたまま足を抱えて痛みにのた打ち回っていた

部屋の中は男の子の呻き声以外に誰も声が出せなかった

みんな私と同じ様にさっきの光景に恐怖で震えていたのだ

私も震えながらアランに縋り付いていた


それから、みんな各々距離をおいて膝を抱えて座って俯いたり転がったりしていた

私とアランは、あの男の子に他の子より近くにいたけど何も声が掛けられなかった


あの計画はこの男の子だけなら逃げられたかも知れないのだから・・・

なのに、みんなの縄を解いて逃げるタイミングをみんなにしらせて・・・


・・・失敗して・・・一番酷い目に合わされて・・・


ぎゅっと瞑った目尻に涙が滲む

名前を聞いていなくて声をかけるのもためらう

アランも厳しい顔で凭れかかっている

私が最初に殴られようとしたときに私を庇って殴られて・・・まあ、私も殴られたけど

私より酷い怪我負ってるし


何もできないと私も俯いて膝に顔をうずめて時間をすごした



そんなときにあのリーナがここに来たのだ

一筋の光のような金色に輝く瞳の女の子



長くなったので分けています

私の陳腐な文才がうらめしいです

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