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シスコンな兄と病弱な妹

作者: フレイア

※誤字·脱字·文法間違えはいつもどうりです。

いつものくだらないのを少し横に置いた作品になっています。

「ゆう、どっか遊びに行かねぇか?」

「お前はよくめげずに話かけてくるよな···」

放課後の教室の一角。

帰り支度をしていると、後ろから声をかけられた。

「で?どうよ?」

「行かねぇよめんどくさい。あ、でも何か奢ってくれるって言うなら考えてやらなくもないぞ?」

「またそう言うことを言う···」

行きたくないんだから何かないと気乗りしないだろ。

「話はそれだけか?なら、先に帰らせてもらうぞ」

「あっ!ちょっ、待てよ!!」

俺は聞こえないふりをしながら教室を出た。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

校門を出て少し歩き、コンビニの前に来る。

―来たか。

「スキありぃぃ!!!」

俺は背後から迫っていた拳を受け流し、そのままの勢いで犯人を脚に掛けて転ばせる。

「いでっ!!」

コイツらもバカだなぁ。

ゆっくりと振り返って転んだヤツの仲間たちを見る。

「よぉ···残念トリオ」

コイツらは昔、俺に突っかかって来たから返り討ちにした不良くん三人組だ。

あれからは、俺の手下として良く働いてもらっている。

いつもこうやって出会い頭に復讐しようとしてくるが、ヘボすぎて逆に申し訳なくなってしまう程だ。

「くそぅ···今日も駄目だったか」

そう言ったのはさっき俺が倒した三人組の頭。名前はたしか···太郎だったか?

「ドンマイですよ、太郎さん!!」

「そうです、また次がありますって!!」

他二人の下っぱはたした···次郎と三郎だっけな?

今思えばすごい覚えやすくないかこの三人。

「お前らはもっと穏やかにあいさつが出来ないのか?」

会うたびに襲われる俺の身にもなってほしい。

「まあいい。···おい、アレはどうなってる?」

「あっ!!はい、買ってきました···どうぞ」

そう言って次郎の手から箱を受け取る。

「···よし、ちゃんとあるな。お前らはやれば出来るやつらなのにな」

普通に生きていれば善人なのにな。

―残念だ。

「じゃあな、またよろしくな」

俺はそう言ってその場から立ちさー。

「ちょっと待ってください!!」

―れなかった。

「?なんだよ?」

三郎に呼び止められて振り返る。

「あの···お金は?」

「あぁ···じゃあまたツケってことで」

「えっ!?もうそろそろ払ってもらえませんか?もうツケで十五万はありますよ!?」

「ケチケチするなよ十五万くらいで。後で返すからよ」

皆も十五万のツケくらいしたことあるよな?···な?

「じゃあもう少し待ちますけど···」

基本的には良いやつらなのだ。

「それじゃあな」

俺はそう言ってその場を後にした。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

家に着き中に入る。

今日は大切な日だ、遅れられない。

自分の部屋に入って支度を済ませる。

キッチンに出て料理をする。

もちろんリビングの飾り付けも忘れないでする。

···そう、今日は俺の妹である結衣(ゆい)の一年に一度の誕生日なのだ。

結衣(ゆい)は病弱で今も自分の部屋で寝ている。

その結衣の身の回りの世話をするのが兄である俺の仕事だ。

そして今日は誕生日だから祝ってやるのだ。

俺は準備を終えて結衣の部屋の前に立ち「コンッコンッ」とノックをした。

「結衣、俺だぞ。体調はどうだ?少し起きられるか?」

「大丈夫」と言う返事を聞いて中に入る。

そこには、布団の中で少し白い顔をしている結衣がいた。

「本当に大丈夫なのか?」

「うん、心配しなくても平気だよ。お兄ちゃん」

「そうか、良かった」

ほっ、とする。

「それよりお兄ちゃんは?学校で変なことしてない?」

「なんだ、変なことって?」

俺がか?

「お兄ちゃんって変わってるからさ···何かおかしなことしてるのかなって思っただけ。何にも無いならいいよ」

俺って変なのか···?

―っと、そんな事より···。

「結衣少し動けるか?」

「?うん、動けるよ?」

そう言ってゆっくりと立ってくれる。

「よし!!じゃあ来てくれ」

俺はそう言って結衣の手を取って移動する。

···本当はおんぶでも抱っこでもしてやりたいが、それは本人が嫌がるので自重する。

····俺って嫌われているのか?(泣)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

リビングに連れていき、椅子に座らせる。

「お兄ちゃん、これはなに?」

「なに?って今日は結衣の誕生日じゃないか」

その為に色々と準備を重ねて来たんだ。

俺は料理をテーブルに出していく。

ハンバーグにオムレツ、サラダにプリンにジュース。

そして、残念トリオからもらった····ケーキもだ。

うん、我ながら完璧だ。

―さあ結衣よ!!喜んで良いぞ!!

なんなら抱きついてくれてもー。

そんなことを思っていた俺に結衣の一言が刺さる。

「お兄ちゃん···私の誕生日は明日だよ?」

「···へ?」

「だから、明日が私の誕生日で今日じゃないよ?」

「ウソ!?」

だ、だって結衣の誕生日は九月十七日で今日が····あっ、今日は十六日だ。

「オゥマイゴッドッ!!!!」

いや、まだ挽回(ばんかい)出来る。そうだ、落ち着け···。

「お兄ちゃん···間違えちゃったの?」

オゥッ!!その一言はなかなか効く。

「お、俺としたことが···」

俺はその場で「ズーン··」と沈む。

「でも、嬉しいよ。一日くらいどうってことないって!!」

「あぁ···結衣は優しいな···」

「元気出してよお兄ちゃん···」

でも、俺は結衣の誕生日を間違えるダメな兄だ···。

「お兄ちゃんが元気じゃないと···かなしいよ」

「―ッッ!!!」

何やってんだよ俺!!間違えても結衣を悲しませるのだけはやっちゃいけない事だろうがっ!!

「ご、ゴメンな結衣。もう、大丈夫だぞ!!ほらっ!!」

そう言って俺は(ちから)コブを作って見せる。

「···そっか。良かった」

そう言って結衣は笑ってくれる。

―何この子。天使過ぎませんかね!ね!

―よし、こうなったら。

「結衣、間違えたことは謝ろう。一生の不覚(ふかく)だ。だからこうしよう。明日も祝うんだ!!」

明日だと言うのなら、明日も祝ってしまえば良い。

「―それじゃあ、今日のは?」

「今日は····ぜ、前夜祭?的な?そんな感じだと思ってくれ」

···本当は浮かれすぎて一日間違えただけなんだけど。

「でも···」

「じゃあほら、結衣はいつも病気と闘っているし頑張ってる、今日はその事のお祝い···と言うか、お疲れ様会にするってのはどうだ?」

こんな形になっちゃったけど、いつかはしたいと思っていた事だしな。

「う~ん、そう言う事なら。お料理も作っちゃったしね」

結衣はしぶしぶだが何とか了承(りょうしょう)してくれた。

ふぅ···危なく結衣の信頼を失うところだったぜ!!(大袈裟(おおげさ))

「そう言うことだから思いっきり楽しんでくれ」

俺のその言葉で結衣の誕生日····もとい、お疲れ様会が始まった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

しばらく経って食べ物も減ってきたとき、結衣が口を開いた。

「ありがとうね、お兄ちゃん。今日は本当にうれしいよ」

「何言ってんだ、あたり前だろ。あと、そう言うことは明日に言うもんだぞ」

「ふふっ····そうだね」

結衣は本当に頑張って来た。

病気が見つかった時も、手術の時も、その後のことも。

俺の知らないところでいっぱい頑張って、つらい思いもしている。

そんな結衣を俺だけが知っている、俺しか支えてやれない。

だから俺は結衣を大切にする。

「ありがとうを言うなら俺の方だ、結衣」

「え···?」

「昔の俺って荒れてただろ?その時にさ、結衣が俺を止めてくれたから今の俺がいるんだ。あの時に止めてもらわなかったら俺は今頃、いろんなモノを失っていただろうから」

昔、俺は「番長」って呼ばれて多くの人に恐れられていた。

今は学校で声を掛けられる程には持ち直せている。

今の俺がいるのは、結衣がいてくれたからだ。

「···ううん、違うよ」

「···えっ?」

違うって、何が―。

すると結衣が優しく手を握ってくれる。

「お兄ちゃんは元々優しいから、私が言ってなくてもいつかはちゃんと直ってたはずだよ」

あぁ···結衣はどこまでも良い子だな。

俺は今でも残念トリオをコキ使ってるってのによ。

俺は薄っすらと浮かんでいた涙を拭う。

「よしっ!!じゃあ明日の誕生日は盛大に祝ってやるっ!!」

俺はうれしさと気恥ずかしさを払うように大きな声で言って見せた。

「うん。ありがとうお兄ちゃん···大好き!!」

やっぱり家の妹は世界一だぜっ!!!!

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