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活動限界

 「ハインズベル、こいつがネックなんだよな…。どうにかしてスポーンを防げないか…。」

 俺は新規レベリング情報を得るためにひたすら試行錯誤を繰り返していた。

 一年ぶりとなるアンファタ正規イベント、『魔王と勇者』。突如現れた魔王城にプレイヤーが勇者になりきって乗り込み、最上階に鎮座する魔王サタンを倒すこのイベントは、正規イベントだけあってかなりの高難易度に設定されている。参考レベルで言えば平均より100は上、俺以外のプレイヤーは一人で攻略できないだろう。

 ちなみに平均は100、俺は353だ。

 すでに城の攻略情報をまとめ終わり、商品として確保出来た俺はレベリング情報をまとめていた。

 全20階層あるこの城の7階に現れる『ヘルスティンガー』という身体の下半分が異常に硬い蛇と、17階に現れる『ハインズ』という人間がローブにフードを被っただけのようなモンスターの経験値が異常に高く設定されていた。この世界でモンスターを作り出すことはプレイヤーにも出来るが、流石は公式運営。この世界最高レベルの俺が魔物生産のスキルに極振りしても生み出せない程のモンスターだった。

 そんな異常設定の二体のうち、ヘルスティンガーの方はすでにレベリング最高効率化はすんでいた。7階にはそいつしかスポーンしないため、最初に一つのスポーン場所の前で最速で刈り尽くしてリスポーンを待つ。リスポーンに5分も経過する事がわかり、全スポーン場所を把握してそれを分けるだけで済んだ。

 攻略からここまではイベント開始から2日でできた。

 ただ6日たった今、17階のハインズの効率化が未だに出来ない。

 今まで情報屋として『早い、すごい、親切』という牛丼屋のような三拍子をモットーにしてきた俺にとって、これ以上消費者を待たせるわけにはいかない…。早く個人用とパーティ用の二つのレベリング効率化を済まさなければ、「まだですか?」というDMが止まらなくなってしまう。

 手こずっている理由はハインズのサポートとしてスポーンする『ハインズベル』という鈴型のモンスターだ。

17階にはハインズは一体しか湧かないのだが、ハインズベルの『幻惑の音』という技のせいで10体に見えるようになってしまうのだ。しかもこの幻覚ハインズは消えない。俺の幻覚耐性ですら貫通するほどのこの技、つまりアンファタ内にこの技の耐性を持つものは居ない。そんなチート級の技のせいで未だに二時間一体を切れない。

 「これじゃどっかのレベル100ギルドが制作したダンジョンに行った方が効率がいいぜ…」

 目標は10分一体。リスポーンタイムの1分を考慮してもこれでこの世界最高効率になる。

 「しかし、疲れた…。ログインしたまま寝てしまいそうだ…。」

 今は18階の休息の間でハインズに合うようにスキルを最適化している最中だ。

 ハインズレベリング効率化を始めて3日が経った。その間、一度も寝ていない。現実にも飯とトイレ以外で戻っていない。すでに疲労が限界値だ。

 「でも流石に、一週間過ぎるのは信用に関わるよなぁ…。」

 この世界で情報屋として稼いでいる俺にとって信用は一番大事なものだった。

 「さて…とりあえず今回は無駄な幻覚耐性を外してトラップスキルに回すか…。全体攻撃も効果薄めだったし、一体何が効果的なんだよ。だいたい…パーティ用とか…一人…」

 ウィンドウを見ながらぼやく俺。やばい、操作しているうちにだんだん眠くなってきた…。

 「………。」

 そして、疲れ切った俺はそのまま寝てしまった。

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