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情報屋は全てに通じていなければならない 上

 俺は血まみれで呻き声を上げている男性に近づきすぐに施術に取り掛かった。

 まず始めに、もはや血を吸い過ぎてドス黒くなった包帯を取り除き、傷口を見た。この世界の知識レベルを考えて想定はしていたが、傷口の洗浄すらされていなかった。

 「全く、嫌になる。」

 この男性の状態を見るに、半気絶状態であることは明らかだ。意識をまだ失っていない時点でもこの男性はとても強靭であると言える。

 「何をするにも麻酔が必要だ…。」

 このまま傷口の洗浄や手術を行うに当たって、このまま始めて仕舞えばショック死を引き起こしてしまう可能性がある。どうしたものか…。

 「ふむ…。どうしたものか…。…とりあえず、だれか水魔法『ロウウォーター』を使えないか?それに、新しい包帯はあるか?」

 麻酔を考えながらその準備を進めていく。

 「私使えるわよ。」

 エレナが水を指先から出しながらそう言う。

 「包帯なら私が持っているわ。」

 アリアがバッグから包帯を出す。

 「よし…。あとは麻酔か。…確かあれがあったな。」

 俺はあることを思い出し、アイテムページを開いた。

 この世界に来てから手に入れたものが順に表示される。ラットの皮、目、ハルシェ…そして、シビ。ハルシェを摘んでいた時に偶然見つけたシビを5本ほど手に入れていたのだ。

 このシビという花は、見た目は黄色で花弁は5枚、被子植物の綺麗な花で集中的に群生することが多い。普段は気付け薬、まあ混乱などの治療に使われることが主である。

 しかし、この花にはもう1つの効能がある。

 綺麗な黄色の花弁に傷をつけると液体が出てくるのだが、この液体が気付けとは真逆の効果を発揮する。これを麻酔として使用することができるかもしれない。…かもしれないというのは、アンファタでは麻酔というよりは『麻薬』として流通していた。

 麻薬を麻酔として使うということ自体は珍しいことではない。モルヒネやフェンタニルなど、合法的に麻酔として使われることは多い。

 アンファタでのシビの花弁雫の効果はモルヒネに近いもので、鎮痛、鎮静効果を持っている。いわゆるダウナー系として扱われ、3〜5滴経口摂取する事で、意識の混濁、虚脱感、鎮静そして強烈な睡魔から昏睡に至る。仮想現実の世界で人気の電子ドラッグだった。(もちろん犯罪であったが、シビのデータは消されなかった。研究に使えたのだろう。)

 「これを一滴だけ使えばモルヒネとおなじような効果を得れないだろうか。」

 俺はそう考え、彼の口に無理やり液体を一滴流し込んだ。おそらく効果が現れるまで30秒はかかるだろう。

 その間に洗浄の準備をする。俺はアリアから包帯を受け取り、少しちぎる。エレナにロウウォーターを出してもらい、ちぎった包帯に浸す。30秒ほどでその作業も終わり、彼の呼吸から薬が効いたことを確認した。

 「よし、今から傷口の洗浄、それから止血、輸血を行う。その間、アリアに頼みがある。ハルシェをすりつぶして火にかけて、粉末にしたらこちらに持って来てくれ!」

 アリアにハルシェを数本渡す。

 アリアは首を傾げながらも、外に向かった。

 ハルシェのその治癒能力は魔苔には劣る。ただ、傷を治すことだけはできる。あとは輸血方だな。なにか方法が無いだろうか…。

 とりあえず考えるよりも先に傷口を塞がないといけない。

 「エレナ!傷口に水を!」

 俺は傷口周辺を拭き取りながらエレナに頼む。薬が効いているため、血液の流れも穏やかである。今のうちに洗浄を終わらせ、新しい包帯を巻かなければ。

 ロウウォーターにより土や砂が流れ落ち、鮮血だけになったところですぐに乾いている包帯で水をぬぐい、さらに乾いた包帯で適切に患部に巻いていく。

 これでいまは大丈夫だが、麻酔が切れたらまた血が溢れ出すだろう。早く止血と輸血をしなければ…。

 そうまごまごしているところに、アリアが戻ってきた。

 「できたぞ!!」

 ギリギリのタイミングだ。


 よし…!これからが情報屋としての腕の見せ所だ。

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