第十八話 〜操られし仲間、そして縛られし仲間〜
聞き慣れた声だった。
その声は間違うはずもない、ララ、フィオ、雫の声だった。
しかし、彼女達の目は紅く光っている。
「皆、俺です!分かりますか!」
必死に皆に訴えかける。
「排除シマス」
三人はその言葉しか発しなかった。
皆、やっぱり操られているのか?
「この人達どうするのー?もう一回天井をタイタンさんにぶち破ってもらうー?」
確かに戦いたくはない。
だけど、皆はスキルが使える。天井をぶち破って逃げようとしても攻撃されてしまうだろう。
「俺、手痛いんだけどな!」
嬉しそうだけどな。
「ここは、戦いましょう!気絶させればいいはずです!タイタンさんくれぐれも殺さないで下さいよ!」
「よーし!いっちょやってやるか!」
「私は相手が男じゃないからパスね♡」
「私のスキルは束縛ー。気絶させなくてもいいし結構使えると思うよー」
ケットシーさん、それは今とても役に立つスキルだ!
「よし、皆さん戦闘開始です!」
俺の掛け声で戦闘が始まった。
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その頃、ち〇ぽこ丸は
「お前ら!やめるんだ!二人がかりでよってたかって!やめろ!もげるじゃねーか!もげちまうじゃねーか!桃じゃないんだぞ!」
――二人の男に囚われていた。
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「チチフレイム!!」
ララの胸から火の玉が飛んでくる。
俺はそれを華麗に避けた。ずっとそのスキルは見続けていたからな。軌道は分かる。
よし、このララがスキルを打った直後に背後に回って――手刀!
「あれ?気絶しない?」
「お前アホか!手刀で気絶させるなんぞ、そんな名人芸素人のお前に出来るわけねーだろ!」
どうやら、漫画の世界とは違うようだ。
出来ると思ったのに!
「私に任してー。束縛ー!」
ケットシーさんの手の平から荒縄が出る。
なんで、荒縄なんだ。
すると、荒縄がララの身体を縛る。......これは亀甲縛りだな。
なるほど、だから荒縄か!ケットシーさんはなんていいスキルを持っているんだ!
「ヤメロ、オマエラヲ排除シナケレバ」
「いっちょあがりっとー」
そこには亀甲縛りでしっかりと縛られたララの姿があった。
この感じで全員行けそうだな!
「ウィンドソード!!」
「......水の舞」
「キャーーーー!!!」
まずい、サキュバスさんを忘れていた。
「大丈夫ですか!サキュバスさん!」
慌ててサキュバスさんのもとへ向かう。
「束縛ー!二人で一人を攻撃するなんてねー。私に背を向けてどうするのよー」
ケットシーさんの荒縄がフィオと雫を縛っていく。
「ア、ワタシヲシバルナ。ソンナシュミハナイ」
「......ヤメテクダサイ。ハズカシイデス」
皆、本当は意識があるんじゃないだろうな。
それより、サキュバスさんは大丈夫なのか?
「大丈夫ですか!」
サキュバスさんに駆け寄って問いかける。
血が出ている、大丈夫だろうか。
「ちょっとヤバイかも♡しばらくの間動けないわ♡血は心配しないで♡じっとしていればモンスターは傷が治るから♡」
かなり、痛いのだろう。そう言って笑うサキュバスさんの顔は少し引きつっていた。
「分かりました。サタナキアは絶対俺達が倒します」
「それでね、この城、強いモンスターの匂いがサタナキアの他にも二つ匂うの♡気を付けた方がいいと思うわ♡」
「了解です。後は任して下さい」
俺はそう言って上の階へと登った。サタナキアとの戦闘は近い。
が、二つの強いモンスターの匂いとはどういう事だ?
そして、ぽこち〇はどこにいるんだ?サタナキアに殺されてしまったのではないだろうな......。
「おい!これからって時に何悩んでいるんだ!今はサタナキアを倒すことに集中しろ!」
タイタンさんにそう言われて目が覚めた。
よし、皆を操ったサタナキアはぶっ倒してやる。
後少しで完結です!
そして、やっと鬼の勉強ラッシュが終わった!
後少し、皆さんよろしくお願いします。




