第十五話 〜タンクトップにジーパン〜
子猫の声じゃないか!?
俺達は走って声のした方へと向かう。
「ニャー、ニャー」
そこに居たのは子猫では無かった......タンクトップを着て、ジーンズをはいた、おっちゃんって言えばいいのかな......
そのおっちゃんが声を発していた。
「......さ、サキュバスさん、こ、こいつは何者ですか?」
怒りで声が震える。
考えてみてくれ。子猫を探していて見つかったと思ったらおっちゃんだった時を......
「こいつは、オークよ♡オークはニャーとなくの♡」
オークってただのおっちゃんだったのか。
しかも、ニャーとなくとかむかつくわ。ほんと腹立つ。
「ぶっ殺していいっすかね?」
こいつは生理的にうけつけん!
「私達サキュバス族と違って、魔王に忠誠を誓っている悪い奴らだからやっちゃってもいいけど♡オーク強いわよ?ニャーってないているのは仲間を呼んでいるということだしね♡」
「......オークこれから集まって来るってことですか?」
「そういうことになるわね♡」
「き、気持ち悪いわ」
女子陣、顔をひきつらせております。
ドドドドドドドド
何の音だ?
振り向くと五十匹はいるだろう。大量のオークが俺達に向かってきた。
「サキュバスさん!あのオーク共の弱点は無いの!?」
「そうねー、オーク達は火に弱いわよ♡」
「私のチチファイアの出番ね!」
どこかに誘導してまとめて攻撃できたら、一掃出来そうだな。
「サキュバスさん、ここら辺にどこかオーク共を閉じ込められる所はありませんか?」
サキュバスさんは少し考えてから言った。
「もう、使っていない小さな神殿が近くにあるわね♡そこなら、上手く誘導すれば全員閉じ込められるわよ♡」
よし、いける。
「皆、聞いてください!オーク共は幸いそんなに脚は速くない。体力はありそうな脳筋ですがね。実は俺、脚には自信があるんです!俺が囮になってオーク達を神殿に閉じ込めます!」
「よし、分かったよ!」
「了解よ!」
「......分かりました。私とフィオはサポートします」
作戦決行だ!!
「おい!糞オーク共!こっち来いよ!どうした?ビビってんのか!」
自分、実は結構毒も吐けるんです。
すると、脳筋のオーク達、怒ったのか俺の方へ向かって来た。
しめしめ。
「よっしゃ!こっちに来い!」
オークが追い掛けてくる。神殿が見えてきた。
入ったら扉の裏にでも隠れて全員入ったら出て、扉を閉めてやる!
俺は神殿に滑り込んでドアの後ろに隠れた。
ドドドドドドドド
よし、足音が近づいてくる......あれ?足音が止まった?
俺が隠れていた扉が閉まる。
「ブヒブヒブヒ笑笑」
しまった。脳筋だと思っていたが意外に賢い。
くそっ、失敗だ。ブヒブヒ笑いやがって!
皆、大丈夫か?攫われたりしないだろうな......
取り敢えずここから出なければ。
神殿の奥に進んでみると、梯子がある。これを登れば外に出られそうだ。
梯子を登ると、テラスのような所に出た。
ここから、周りの状況を確認しなければ......
周りを見ると、サキュバスさんが一人立っていた。
「サキュバスさん!皆は!」
俺は必死に叫んだ。
「オーク達に攫われてしまったわ!」
なんてこった。
くそっ。俺のせいだ。俺が作戦をミスったから。
俺は二階ほどの高さはあるテラスから飛び降りた。
不思議と痛みは無かった。
あったのは自分とオークへの怒り。
「サキュバスさん、皆を助けに行きましょう」
今日はもう一話更新したいです!




