第十一話 〜オラの願いを叶えておくれ!〜
ちゅんちゅん、ちゅんちゅん。
雀が鳴く声で俺は目が覚めた。
「ねー、もう開けていい?」
「だめよ。パイが起きるまで待ちなさい」
「良いじゃん、良いじゃんあんな奴!開けちまおうぜ!」
「......駄目ですよ」
こんな会話が聞こえてくる。何を開けるつもりなんだ?
俺は立ち上がって隣の部屋に行ってみた。まだ、傷が痛むが。
部屋に入ると皆が嬉しそうに声を掛けてくれた。
「おっ、元気になったんだね?」
「やっと、立てるようになったのね」
「......皆で看病したかいがありました」
皆が看病をしてくれたのか。
傷口を見てみると、薬草が貼ってあった。
ということは、女の子達が俺の体に貼ってくれたのか!
「薬草を貼ってくれたのはソドムよ」
なんやねん。
「一枚、一枚丁寧に貼らせていただきました。服をまず脱がして身体をくっつけながら、寄り添いながら......。そして、あなたの顔を見つめて――」
やめてくれ気持ち悪い。
まだまだ、ぽこち〇は話している。
「皆さん、看病ありがとうございました。お陰様で少しは歩けるようになりました。それにしても、何か開けるとか言っていましたが、何を開けるんですか?」
フィオがニヤリとして言った。
「実はあの魔王の四天王の一人を倒した後、宝箱が落ちたんだよ!」
「何が入ってるのか皆気になっていたけど、あなたが起きてからにしようと思って」
ララと雫で必死に開けないようにしていたのが目に浮かぶ。
「パイも起きたし開けよーぜ!」
「いいわよ」
ララがそう答えると、フィオとぽこち〇は宝箱を思いっきり開けた。そんな勢いで開けたら蓋とれるぞ。
蓋を開けた瞬間、緑色の何かが飛び出してきた。
なんだ、罠か!モンスターか!
皆、身構える。
「願いを一つだけ叶えてやろう!」
え?
目の前には二メートルほどの緑色の龍がいた。
「我が名は髪龍!」
え?神の龍じゃなくて、髪の龍?
確かになんかモサモサしている。
「さー、何を願う!」
「僕達の代わりに魔王を倒してくれよ!」
とフィオ。
「無理」
なんでもってわけじゃないらしい。
「願いを後五回叶えさせてちょうだい!」
とララ。
「無理じゃ」
「ち〇ぽこ生やしてくれ!」
と俺。
「無理無理。この世界でち〇ぽこ生やす秘薬を持っとるのは魔王だけだ」
さり気なく、良い情報ありがとう。
「ギャルのパンテ――」
慌ててぽこち〇の口を塞ぐ。危ない、危ない。
「......魔王に有効な装備を全員分下さい」
と雫。
「それを待っていました!」
髪龍はそう答えると何処から出したのだろう、俺達の手首にミサンガを巻き付けた。
「それは、ワクワク☆ドキドキ☆ミサンガだ」
鎧とかじゃねーのかよ。
「魔王の城に行っても四つのアイテムが無いと入れない。そのミサンガは四つのアイテムの内の一つだ。」
とりあえず四天王を全員倒せば良さそうだ。
「では、さらば!」
そう言うと、髪龍は消えてしまった。
「とりあえず、良いアイテムをゲットしたわね。」
ララはご機嫌だ。
「あ、そう言えば皆にパイとソドムの話をして無かったわね。」
そう言えばそうだった。
「一段落したところだし、今、話すわ」
ララはそう言うと話し始めた――
「ふぅー。こんなもんよ」
成程。俺がちょん切られる前の事が分かった。
フィオと雫は俺が異世界から来たことにびっくりしたらしい。
「凄い事もあるもんだなー」
「......興味深いですね」
「さて、過去話もしたし、今日ゆっくりしたら明日からクエストをやるわよ!」
クエストか。今さら感あるが。
今日の日記♡
どうせなら、女の子達に薬草を貼ってもらいたかった。
髪龍はあんな事せずに、普通にアイテムを渡して欲しかったわ。
明日からクエストか。
ケツが痛いんじゃー笑




