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紋無しの紋章士  作者: きょぉま
5/20

5話

ここまで書いておいてなんですが設定がまだあやふやな所が多くあります。

しかし最近書いているうちにどんどん固まって来たおかげか執筆速度も上がりました。

書き溜めが増えたらそのうち日曜日を待たずに投稿するかもしれません。

「それじゃぁお兄ちゃん、今から転移の準備を始めるよ」


 場所は変わらず、天界に浮かぶ恋来の部屋。

 修二しゅうじは異世界転移することを受け入れた。

 最初は危険だなどと多少ゴネたが、なんだかんだ言って最初から受けるつもりだったのだ。

 修二が妹の我儘わがままいさめることはあれど、お願いを断ったことなどそうそうない。

 それに、異世界に行けば魔法を使えるのかと思うと武者震いがするほど、異世界転移という言葉の魅力に抗えなかったのだ。

 今は恋来が異世界についての説明をしている。


「まずお兄ちゃんには世界の性格について説明しないとね」


「世界の性格?」


 まるで世界に意思があるかのような奇妙な言葉に、思わずオウム返しをする修二。

 そんな修二を笑うことなく恋来は説明を続けていく。


「世界の性格、または神様の性格とも言えるね」


「世界は神によって管理されていますから、その神の志向に合わせて調整されています」


 ララが補足をする。


「だからその世界の神を知ることである程度世界のことも知ることが出来るわけ。あくまで参考程度だけどね」


 恋来とララの説明によると、世界を管理する神様というのはある程度、自分好みに世界を調整できるらしい。

 その調整もいきすぎたものは禁止されているが、ある程度自由にいじることが出来るらしい。

 よってその世界を知ることはその世界を管理する神様を知ることにつながり、逆に神様を知ることで世界の大まかな傾向のようなものを知ることが出来るらしい。


 そして今回行くことになる世界だが、魔物もいる剣と魔法の世界となる。

 こう聞くとかなり危険なように思えるが、そこはさきほど言った神様の性格に合わせて調整されているらしく、その世界の管理者たる女神アレイアは人間好きで平和主義、明るい性格で争いなど望まない人物、もとい神物らしい。


 よって危険はかなり少ないそうで、ドラゴンなんて危険な魔物はいないらしい。

 ロマンを求める男の子である修二にとっては少し残念な情報である。

 実際に出会ったらいとも簡単に平らげられてしまうだろうからいない方がいいのは確かなのだが。

 日本ほどではないがかなり治安はいいと言うし、危険の少ない平和な世界なのだろう。

 ドラゴンとかの魔物も恐ろしいが、人間と争うことはしたくなかったのでこれもまた嬉しい情報だ。


「さて!ここからはみんな大好きチートのお話だよ!」


 恋来とララによる説明はまだ続く。


 続いて始まったのがチート能力の話だった。

 チートを貰って異世界転移という言葉に嘘はないようで、異世界に渡るにあたってチート、強力な異能力を貰えるらしい。

 強力な剣術だったり、無双の魔法であったり夢の広がる話だ。


「今回お兄ちゃんに与えるチート能力は『シルタの瞳』!」


「これは探知能力系ではかなり上位のものですよ。今回のような探し物にはピッタリな能力です」


 ドヤ顔で宣言する恋来だが名前を言われても修二には何のことかわからない。案の定、それを補足するのはララの役割であった。


「あとは魔法と転移先の世界の知識だね、これは説明するとかなり時間がかかっちゃうからお兄ちゃんの頭に直接インストールしておくね!」


「は、直接……?」


 恋来は言いながら修二の頭へと手を伸ばす。

 嫌な予感にあとずさる修二だったが、いつの間にか後ろに回り込んでいたララにがっちりと抑えつけられた。


「まて、何するつもりだ。その手をどうする気だ!」


 修二の抵抗も虚しく、恋来の手はそのまま修二の額へと到達した。


「あぁぁぁんぎゃぁぁあああああ!?」


 瞬間、修二の頭に激痛が走る。大量の知識を強制的に脳内に刻み込むという行為が、頭が割れるどころか頭が内側から弾け飛ぶのではないかというほどの痛みに苛まれるという結果をもたらした。

 幸いにも知識の刷り込みはそれほど長い時間はかからなかったが、終わった時には修二はとうに意識を手放していた。





「それじゃぁ転移を始めるよ!」


 恋来がちちんぷいぷいと指を振ると、足元に黄金に輝く巨大な魔法陣が現れた。

 その魔法陣の中心には修二、に見えなくもないピクピクと動くナニカが置かれている。


「宜しいのですか?レイラ様」


「大丈夫でしょ。渡した情報の中には神級魔法とかも含まれてるし、基礎能力もチートで上がってるし。送る先は人里の近く。あの世界じゃやりすぎなくらいのサポートだよ?」


「いえ、そうではなく」


「お兄ちゃんはあれくらいじゃ怒んないって。知識を渡すのに必要なことだったし。命に別状はないし。別に怒られるのが怖いからさっさと送ろうとしてるわけじゃないよ?」


「そうではなくてですね」


「そ、それじゃぁ転移実行しちゃおっかな!」


 恋来は大丈夫と言ったが、修二は倒れたまま恨めしそうな顔で恋来を睨めつけている。

 その表情を見た恋来は急いで転移術式を発動させた。

 黄金の魔法陣から溢れる光量が増し、修二の姿を包んでいく。

 どうやら恋来は文句を言われる前にさっさと送ることにしたらしい。

 それが問題の先送りでしかないことに気づいているのかいないのか。

 どうせ恋来の事だから特に考えていないのだろうと思いつつ、次あった時には盛大に文句を言ってやろうと修二は心に決めた。

 今は異世界に行ってからのことを考える。


 魔法陣から発する光が最高潮に達し、あまりの眩さに思わず目を瞑る修二の耳に不穏な言葉が聞こえてきた。


「ですから、天界に連れてきたこと、シルタの瞳を与えたことでシュージ様は天人になった事をご説明なさらなくてよろしいのですか?」


「えっ、マジで!?

 ……あ!ちょ!座標ズレた!?なにこれまってまってまってまって、お兄ちゃんが変なとこ飛んじゃう!」


「何やってるんですかレイラ様!へっぽこもいい加減にしてください!」


「ちょ、ララやっぱりあたしのことそういう風に見てたんだ!後で天罰だかんね!

 あ、やばいやばい、ほんと転移が止まんない!……あ」

「あ」

「え?」



 不吉な会話が途切れると同時、修二の姿は光に覆われて見えなくなり、異世界への転移陣はその役割を全うし修二を異世界へと送り出した。


 座標のズレた、どことも分からない異世界へと。


 異世界転移の話受けたの、早計だったかなぁ。

 修二はそう思わずにはいられなかった。


次回ようやく異世界に行きます。

異世界に行った時のお約束といえば盗賊に襲われた馬車を助けたり、オークに襲われている姫騎士を助けたりとありますが修二はどんな異世界デビューをするのでしょうか。

華々しい異世界デビューだといいね(ニッコリ

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