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胸を枕に  作者: momo
本編
2/42

2 王都へ



 世話になったゴルシュタット侯爵夫人カリーネに呼び出されたアイラは、重い足取りでゴルシュタット領にある侯爵の屋敷を訪ねた。


 アイラは今年十九歳になり、貴族女性としては適齢期ぎりぎりの年齢だった。だが当のアイラに結婚の意思はなく、社交界に出て綺麗なドレスを着て親しくもない男たちと踊るより、高値で売れる得意のレース編みに時間を費やすのに一生懸命だ。二年前にようやく弟が爵位を継いだロックシールド男爵領を守るのにも必死で、正直結婚どころではなかったというのもある。


 だが今回呼び出しを受けたという事は、恐らくカリーネがアイラにもロックシールドにとっても良い縁談を持ってきてくれたに違いない。弟が嫁を貰い後継ぎが生まれた後はレース編みの技術を財産とし、修道院に身を寄せようと考えていた矢先の出来事でもあった。


 結婚には夢も希望も抱いていないアイラとしては迷惑な話だが、相手が世話になったカリーネとなれば断ることはできない。それに弟のためになるのなら、貴族の娘として相手が誰であろうと受けるべきであった。


 十三年前、アイラの住まうイクサルド王国では大きな政変が起きた。愚王として君臨し民に悪政を敷き続けた王を、息子である王子が玉座から引きずり降ろしたのだ。そうして新しい王が玉座について以来この国は平穏を保っているが、新王の決断があと数か月早ければアイラの両親は今も健在だったかもしれない。


 父親は政変に巻き込まれ、投獄された牢で最期を迎えた。後から聞かされた話によると、父は反乱側に身を置き、前王の周囲で諜報活動を行っていたらしい。それが露見し、救い出される前に毒を飲まされ殺されてしまったそうだ。


 父の死を知った母が体を壊し儚く散ったのはアイラが五歳の時だ。弟のリゲルはまだ三歳で、十五の成人を迎えていないリゲルでは男爵家を継ぐことはできず、遠縁を名乗る狡猾な男がアイラとの結婚を理由にロックシールドの地を手に入れようとしてやってきた。

 ロックシールド男爵家に生まれる人間は例外なくイクサルド王国では珍しい漆黒の髪と瞳であるのは常識である。そのため薄茶色の髪と目の色をした男は明らかに偽物だと解っていたが、強引な男を相手に小さな姉と弟でどうにかできるものではなく、対処しきれずに男の良いようにされる所を救ってくれたのがカリーネだった。


 ロックシールド家の老執事とカリーネの乳母とが知り合いで、老執事がその乳母に相談をしてくれたお陰でカリーネの耳に届いたのだ。二十歳を過ぎたばかりの若いカリーネは酷い話だとアイラを憐れみ、夫であるゴルシュタット侯爵を後見人としてアイラとリゲルの姉弟を領地に引き取ると、貴族として必要なあらゆる教育を惜しみなく施してくれた。リゲルが成人するまでロックシールドの地は侯爵預かりとなり、二年前、ようやく成人したリゲルに約束を違えることなく無事に相続されたのである。


 ロックシールドの地を失わずに済んだのも、リゲルが男爵になれたのも、そして二人が立派に成人を迎えられたのも全てカリーネのお蔭だ。足を向けて寝られない所か、返しきれない恩義がある。だからカリーネにこうして急ぎ呼び出された理由が例え結婚の話ではない他の事だったとしても、アイラに断るという選択肢は初めからなかった。


 「カリーネ様の事だもの、結婚だったとしてもきっと良い方に違いないわ。」


 結婚の意思はないが、カリーネが望むのなら嫁がねばならない。あの方ならけして悪い様にはしない。両親よりも長い時間をカリーネに育ててもらった恩は、アイラの中で強い信頼となって受け継がれていた。


 東の国境に位置するロックシールドはゴルシュタットとも隣接しているが、小さなロックシールドに比べ広大な領地をもつゴルシュタットの屋敷までは馬車で丸一日かかる。夜も明けきれぬ早朝に迎えの馬車に乗り、陽が暮れ切った時刻にゴルシュタットのお屋敷に到着した。長くご無沙汰していたが相変わらず大きなお屋敷で驚かされる。

 

 領主であるカリーネの夫は城で宰相の任につき国王の補佐をしているが、アイラ自身は侯爵が領地に戻った折に幾度か顔を合わせたことのある程度で良くは知らない。あのカリーネの夫なのだからご立派な方だろうと思ってはいた。アイラは一日中馬車の中で過ごしたせいで凝り固まった体を闇に紛れてほぐしながら、気鬱で重い足を引きずるようにして進む。だが馬車の扉が開かれ夜中だというのにカリーネに出迎えられた瞬間には疲れも吹き飛び、黒い瞳に涙をにじませると懐かしさと嬉しさに破顔した。


 「ご無沙汰しておりますカリーネ様。」

 「こうして顔を合わせるのは二年振りになるわね。急な呼び出しに応じてくれてありがとうアイラ。さあ、疲れているでしょう。中に入って。」


 本来なら屋敷の中で出迎えるしきたりの侯爵夫人が外に出てアイラの手を引く。リゲルが成人して領地に戻ってからは手紙のやり取りだけになっていたが、別れた当時のままのカリーネにアイラはほっとした。だが屋敷に通されお茶を振る舞われると前置きもなしにカリーネから齎された言葉に、流石のアイラも目をまん丸に見開くとお茶のカップを手にしたまま硬直してしまう。


 「え……今なんと?」

 「ですから明朝には出立してもらいたいの。」

 「えっと……何のお話でしたっけ?」

 

 漆黒の瞳をぱちくりさせるアイラの様子に、カリーネは驚いて当然と佇まいを直しもう一度話して聞かせた。


 「主人からの便りでは、国王陛下が不眠で悩んでいらっしゃるらしいの。それであなたの事を思い出したらしくて、あなたに陛下の寝かしつけをお願いしたいと言い出したのよ。」

 「思い出したって……エドヴィン様がですか?」

 「あなた、うちの子が赤ちゃんの時夜泣きが酷かったのを簡単に寝かしつけてくれていたでしょう。十年も昔の事なのに、あの人ったらその特技を覚えていたのね。」


 困ったわと伏し目がちに首を振るカリーネにつられ、アイラも言葉もなくそんな馬鹿なと首を振った。 


 確かにアイラは子供の寝かしつけが上手い。十年前、後継ぎであるサイラスを出産したカリーネは夜泣きに悩まされ、ついには我が子の顔も見たくないと子育てを乳母に任せきりにするようにまでなってしまった。


 眠れないというのは辛いものだが、任された乳母もサイラスの夜泣きを押し止める手段を持たず、睡眠不足ですっかり憔悴しきってしまう。

 そこでアイラは少しでも恩人の力になりたいと、サイラスを一晩預かると申し出たのだが、サイラスは子供だったアイラの胸に抱かれた途端に泣き止んだかと思うと、頬を寄せすやすやと眠ってしまったのだ。


 周囲はとても驚き不思議がったが、何をしたのかと聞かれてもよくわからない。アイラは弟の夜泣きで苦しむ母親に代わり、父が弟にしていたのと同じように穏やかに眠ってほしいと、父に教えられた通りにサイラスの心に語り掛けただけなのだ。


 その日以来サイラスの寝かしつけはアイラに任され、カリーネは眠った我が子の傍らに戻ることができたのである。しかもその特技はあらゆる赤子や幼児にも通用し、アイラは時折、夜泣きで眠れない母親のもとに赴いているのだが……あくまでも小さな子供限定である。しかもいくら国王が不眠症だからといって、年若く未婚のアイラに添い寝を頼んでくるというのはいかなる理由か。アイラは顔を強張らせた。


 「わたしは貴族とはいえ末端に籍を置く程度の存在です。陛下の側に上がるには―――」


 カリーネの夫であり、ロックシールドの地を預かったのち無事に返還して下さった方だが、侯爵とカリーネの夫婦に年頃の娘はいない。もしかして王城内での権力を固めるのに王に差し出す娘を必要とされているのだろうかと読んだアイラは言葉を濁した。


 「ゴルシュタットの養女としてなら何の不都合もありません。でも主人がそれを考えているならこんな遠回しなことはしない筈だわ。だから本当に陛下が不眠症で、藁にも縋る思いで話を持ってきたのだと思うの。でなければこんな女を馬鹿にした話、主人といえども即刻お断りよ。」


 カリーネの夫が、ゴルシュタット侯爵家の当主が、国王陛下の信頼を受け宰相として側で働くエドヴィンが、国王が不眠症だからと本当にこんな小娘に縋って便りを寄こすのだろうか。それに国王には国一番の医者や薬師に加え高名な学者までもがついている筈である。田舎に引っ込んでいる小娘に頼るよりそちらに頼った方がずっといいに決まっているのだ。


 訝しむアイラにカリーネは微笑むと、椅子を立ち隣に腰を下ろして手を取った。相手は血が繋がらないとはいえ縁があり我が手にかけて育てた娘だ。当然カリーネも訝しんだが夫を信じてもいる。


 「嫁入り前の大事なあなたを行かせるのです、もしもの事があればゴルシュタットが全ての責任を負います。万一王の手がついたとしても、ロックシールドの利益になるよう、わたくしが責任をもって取り計らいます。だからお願い。夫の、エドヴィンの力になってやって欲しいの。」

 

 翡翠色の瞳に強く望まれずともアイラに返せる答えは最初から一つだけだった。


 「カリーネ様のお役に立てるなら、喜んで何処にでも参らせていただきます。」


 こうしてアイラは翌朝カリーネの夫が待つ都へと向かったのである。荷ほどきもせず短い時間でリゲルに手紙を書いたが、国王にまつわる秘密に触れることは許されず、カリーネの願いで王都へ行くとだけにとどめた。


 それから幾日かの時間をかけアイラはゴルシュタットから王都への旅を続ける。徒歩ではなく馬車での移動は助かるが、周囲を守る護衛の存在には驚かされた。どうやらエドヴィンは本気でアイラを王の元へ招こうとしているようだ。都に着いたアイラはゴルシュタットの別宅ではなく、直接城に呼ばれ白亜の門をくぐる。窓を開け外の様子を窺うと、ゴルシュタット領からついてきてくれていた護衛がいつの間にか王国騎士団の制服を纏ったきらびやかな男たちに変わっていて驚かされた。


 正面の門をくぐった馬車はアイラを乗せたまま馬車置き場へと移動する。そこでようやく馬車を下ろされ荷物が入った鞄を抱えた。案内の男性が女性に対する礼儀として荷を持つと手を差し伸べてくれたが、城に不釣り合いな衣服を隠すためにも丁重にお断りした。当然カリーネが出仕に必要な衣装などは揃えてくれると言っていたが、何分急だったのでアイラの手元に届いていない。


 案内の男性を先頭に数人の騎士が付き従う。まるで罪人が連行されるようだと身を小さくし無言でついて行くと、エドヴィンが執務を執り行っている部屋へと案内された。


 広い室内、中央に大きな机があって書類が山積みになっている。その中で埋もれるように手を動かしている男性がカリーネの夫でゴルシュタットの当主エドヴィンだ。

 部屋には他にも幾つか机が置かれ、それぞれに座る男性が忙しそうに手を動かしているか、誰も彼もが疲れた面持ちで書類を睨みつけている。アイラの入室に返事をしながらも下を向いて書付をしているエドヴィンの金色の髪にはちらほらと白いものが混ざっていた。御年三十七歳、侯爵家の当主だというのに苦労している様が窺える。カリーネの世話になっていたとはいえ、彼が領地に戻った折は邪魔をしないようにしていたのでアイラはエドヴィンとはほとんど顔を合わせたことがない。それでも昔の記憶にあるエドヴィンを思い出すと年齢以上に老けてしまったように感じた。ようやく顔を上げたエドヴィンに向かってアイラは深々と頭を下げる。


 「お久しぶりです侯爵様、お呼びと伺い参上いたしました。」


 お元気そうですねとは挨拶できず、顔を上げるとエドヴィンがほっとしたように疲れた表情を緩めた。


 「来てくれて感謝するよ、君とは何年振りだろうね。ずいぶんと綺麗になった。」 

 「ありがとうございます。侯爵様もお変わりなく。」


 社交辞令で褒められたので社交辞令で返すと、早速とでもいうかに部屋を移動させられた。エドヴィン自らが先導した先は彼の執務室からさほど離れていない一室で、エドヴィンが城に与えられている部屋のうちの一つなのだという。小さな居間の他にも寝室と浴室が備え付けられ調度品も立派だ。ロックシールドの客室よりも豪華かもしれない。案内された先にいたのは一人の中年の女官と、年若い二十代前半と思われる騎士が一人。女性はアイラの亡き母と同じ薄い茶色の髪に灰色の目をしていて、年齢のせいもあるのだろうがどことなく懐かしさを感じる。


 「君の世話をしてくれるマリエッタと護衛のベルトルド殿だ。」

 「護衛?」


 身に危険でも及ぶのだろうかと不安になるアイラに、エドヴィンは安心させるように笑って大丈夫だと頷く。


 「身に危険が及ぶわけではない。カリーネからの便りで幾度となくくれぐれもと言われているし、色々と必要な処置だから安心するように。申し訳ないが私はとても忙しい。詳しくは支度の後でいいかな?」


 訳が分からないが目上の人から言われては頷く他ない。護衛の存在はカリーネの気遣と思い込むことにして、アイラは忙しいエドヴィンを見送ると二人に向き直り挨拶した。


 「初めまして、ロックシールドのアイラです。どうぞよろしくお願いいたします。」

 「初めましてお嬢様、マリエッタ=ファルゴです。わたくしは宰相閣下にお仕えする女官です。お嬢様のご滞在中はわたくしがお嬢様のお世話を託っております。どうぞマリエッタと呼んでくださいませ。それからこちらはリレゴ公爵家のご次男でベルトルド様です。陛下の寝所に入る必要があるので閣下が人選されました。」

 「まぁ、それは―――」


 公爵家と聞いてアイラは一歩引き正式な礼を取った。挨拶もまともに出来ないと受け取られてしまえばエドヴィンの顔に泥を塗ることになってしまう。慌てるアイラに直立不動だったベルトルドが片膝を付いて下から覗き込んだ。


 「便宜上私が選ばれはしたが、貴方の護衛であることには変わりがない。任務に付いている時は身分などないと思っていただけるとよいのだが。」

 「恐れ入ります。」


 ここに来てやはり国王の寝かしつけが冗談ではなく事実なのだと思い知る。きっと彼はアイラが王に悪さをしないようにと付けられた見張りなのだ。王の寝所に入るにはそれなりの身分が必要になるのも頷けるが、ここに来てアイラは急に恐ろしくなってきた。整えられた状況がアイラを追い詰める。エドヴィンは本気で国王の不眠解消に子供の寝かしつけが上手いだけの小娘を使う気でいるのだ。

 

 いったいこの城はどんな状況なんだと身を硬くするアイラの手を慣れた動作でマリエッタが引く。連れて行かれた先は浴室で、裸にされ全身をくまなく綺麗に洗われてしまった。道中は体を拭く程度しか身を清める術がなかったのでお風呂は有難いが、王の御前に上がる前に身を清めさせられるのはあらぬ想像を掻き立てられ心許ない。だが風呂から出るとコルセットをきつく締められ、背中で複雑に編み上げられたドレスを着せられた。簡単には脱がされそうにないなと感じて幾分かほっとする。どんな理由があるにしろ王の寝所に上がるのはとても怖かった。準備が整うとすぐにエドヴィンが迎えに来てしまう。


 「あの……侯爵様は本当にわたしを陛下の寝所へ行かせるおつもりなのですか?」


 何かの冗談であって欲しいと願いながら問えば、隣を歩くエドヴィンが大きく息を吐き出して掌で顔を覆った。


 「馬鹿げたことをと思うだろう?」

「はい」


 思いますと素直に頷いたのはまずかっただろうか。はっと息を吐いて自虐的に笑ったエドヴィンがアイラを一瞥してから正面を向いた。


 「医者も匙を投げた。薬を使っても悪化の手助けをしたに過ぎず、近頃は政務もまともにできない状況に陥っているのだ。ここまでくると馬鹿げたことだと解っていても試してみたくなる。」


 カリーネに話を貰った時にアイラが考えたことは既に実行済みで、医者の指示で薬を使い一時の眠りは訪れるようになったのだが、その後は薬がなければ眠れないようになった。やがて薬の量を増やしても眠れなくなり、薬の副作用で日中立ち上がるのも困難な状況にまで陥ったのだという。そして今は四六時中虚ろな状態で政務も滞り、代われる仕事は全てエドヴィンが請け負っている状態だ。眠れないせいで食事もままならず健康にも大きな問題が生じており、国の乱れにつながるからと病状は伏せられているが精神的にも限界が来ていた。どうにかならないかと悩んだエドヴィンは、息子の夜泣きで参っていた妻を助けた存在をふと思い出したのだ。


 勿論子供の寝かしつけと不眠症は全く別物だというのはエドヴィンも理解している。だが医者でもどうしようもなく改善が見込めない状態で藁にも縋る思いだった。先日は遠くの村から秘密裏に怪しい呪い師も呼ばれたが失敗に終わっている。

 

 「では期待にそえなくてもお咎めはありませんか?」


 自分以外にも前例があると知ってアイラはほっと息を吐いた。寝かしつけは得意で今も時折子供の寝かしつけに戸惑う領民の家を訪問して役に立っているが、相手が大人となると失敗する自信しかない。不眠は病気だ、子供のぐずりと訳が違う。


 「心配いらない。それよりもこんなことが世間に知られたなら、嫁入り前の女性としては大変な不利になる。そうならぬよう寝所にはこの二人を付けるが、不利益な噂が広まったとしても広まらなかったとしても、嫁ぎ先の面倒は私が責任をもつと約束するよ。」


 騎士と女官はそのための心遣いだったのか。必要以上にきつく締められたコルセットや複雑に編み込まれたドレスの紐もアイラの不安を案じたマリエッタの好意だろう。締められすぎて息がし難い程だ。すっかり国王を守るための警戒と思っていたアイラは、エドヴィンの心遣いにあらぬ想像をした後ろめたさを感じる。だからエドヴィンの心労を一つでも解消してやろうという思いで、言わなくてもいい自分の人生設計を公開してしまった。


 「弟が妻を迎えたら修道院へ入るつもりですので、わたしの傷や結婚の事はどうぞお悩みにならないでください。」

 「若くて美しい娘が何を言っているんだ。カリーネからも頼まれているからね、成功してもしなくても任せておきなさい。」

 「―――恐れ入ります。」


 本当は余計なお世話なんだけどなぁと思いながらアイラは口を噤む。どうせすぐにお役御免になるのだと、王に目通りする現状にアイラは失礼だけはあってはいけないと緊張を高めた。



 

  


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