僕の天使は彼女になります!
3月それは旅立ちの季節。
今日はどの学校も卒業式の日だろう。
沢山の制服を着た学生達が涙ながらに後輩、同級生と別れてを惜しみながら校門を出て行く。
そんな中、とある雄叫びに似た声が聞こえてくる。
「アリスちゃんはどこだ!?」
「探せぇぇぇぇぇぇ!」
「今日こそ想いを伝えるんだ!」
「これを逃せば2度とチャンスはないぞ!」
それは今日卒業する者から在学生まで100はくだらない人数の男達であった。
「いたか!?」
「いや!いねぇ!」
「一体どこにいるんだアリスちゃんは…」
ここで場所は変わり目の前には桜の木。
桜が咲き誇り、その下には2人の男女がいた。
卒業式、桜の木、男女2人きり、告白するには何ともベタすぎる状況である。
突然だがこの2人の容姿を説明しようと思う。
少年の方は少し長めの黒髪に黒い目、身長は170cm程でイケメンではないし不細工でもない、可もなく不可もなく、10人が見たら全員が普通と答えるだろう容姿、つまりフツメン。
一方少女の方は、淡く光を放つ様に錯覚させるような銀髪をツインテールにし、その目は誰もが魅了されそうな赤、150cm程度と身長は少し低めだがとても活発そうな雰囲気を出しており美人というよりは美少女といえるような顔立ちをしている。
「ゆーくん!卒業おめでとっ!」
「おう。アリスもおめでとう」
「もー!ゆーちゃん最近冷たいよ!
昔みたいにあだ名で呼んでくれないし!」
アリスと呼ばれた少女は拗ねたように怒る。
それを見たゆーくんと呼ばれた少年は少し呆れ気味に
「それ何年前の話だよ。俺はいつまでも子どもじゃないの。(それにあだ名で呼んだらファンクラブの奴らに消される)」
少年は少し身震いしつつも答え、彼女を見る。
少女はその答えに納得しないながらも
「それで?なんで今日はココに呼んだの?
もう帰るだけなんだからいつもの場所でいいじゃん。
こんなとこに呼ぶなんて今から私告白されるみたいじゃん!
ゆーくんなら大歓迎だけどねっ」
「え?そのつもりだけど?」
顔を赤らめつつも冗談っぽく笑いながら言う彼女はここで停止した。