表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/30

エピローグ

 死闘の末にどうにか怪物に打ち勝ったキミは、まず部屋の奥のレバーを上げて、帰路を封鎖していた鉄格子を上げる。

 また、死んだ黒ローブの男の懐を漁ると、鍵束を発見したので、それを拝借する。


 そして、ひとつ前の祭壇のある部屋に戻ると、祭壇の上で横たわっている少女を抱え上げる。

 さらに洞窟を回って、牢屋に囚われていた村娘や子どもたちを、拝借した鍵束を使って救出すると、この邪悪に満ちた洞窟をあとにした。


 暗雲に覆われていた空は、いつの間にかすっきりと晴れ渡っていた。


 キミがこの死霊使い(ネクロマンサー)の洞窟を訪れたのは、近隣の村の住人から依頼を受けたためだった。

 その依頼内容とは、村の年若い娘や子どもたちが、近所の洞窟に住みついた邪悪な魔術師によって、次々とさらわれている、さらわれた者たちを救い出し、邪悪な魔術師を退治してほしい──というものだった。

 幾ばくかの成功報酬の約束と引き換えに、キミは村人たちからの依頼を引き受けたのである。


 救助した村娘や子どもたちを村まで届けると、村の入り口で、矢も盾もたまらず飛び出してきた親たちが我が子を抱き締め、涙ながらの再会を果たした。

 そしてキミに対し、心からの感謝と賛辞の言葉を述べ、深々と頭を下げた。


 さらに村人たちは、依頼の報酬を渡すだけでは足らず、感謝の気持ちを込めて宴を開きたいと言ってきた。

 キミは約束の報酬さえもらえればそれでいいと固辞するが、パワフルな村人たちに押しやられ、あれよあれよと宴の主賓に迎え入れられてしまう。


 そうして、村の中心で焚かれた炎の周りで、飲めや踊れやの宴に暮れる村人たちに囲まれたキミは、いつしか穏やかな気持ちになっていた。

 日々、殺伐とした旅と戦いに明け暮れるキミだが、たまにはこういうのも悪くはないなと思った。


 夜空を見上げれば、無数の星々が輝いている。

 キミは、今日ばかりはこの穏やかな気持ちに身を任せようと決めながら、手に持ったジョッキのエール酒を、自分の喉へと流し込んだのであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ