誰かの日記
ある少年がいた。どこにでもいる普通の少年だった。
「どうして世の中の不幸せな人を作ったのか、どうして世の中を不平等にしたのか、
どうして最初から人生が決まっているような人生にしてくれたのか。
どうして、僕を救ってくれなかったのか。」
日記にはそう書かれてる。…正義感が強かったのかな?
助けを求めている人には必ずと言っていいほど、手を差し伸べていたからね。
いじめられている人の味方になったり、おじいさんの助けをしたり、まあ他にもいろいろ。
でもさ、ちょっと周りを見ることができてないんだよね、視界が狭いんだ。
四角形が見える。本当に四角形?見方を変えれば立方体、長方形、ひし形、様々だよね。
彼から見たものは本当は悪だったかもしれないのに。
ただ正義感を振りかざして、自己満足を得たかったのかもしれない。
まあ、しょうがないよ。だってまだ15歳なんだもんね。
大人になりながら分かっていくんだと思うよ。
「神様がいたなら、なんでこんな世界にしたんだ。全部あんたが悪いんだ。」
…この子は親がいなかった。確か彼が幼いころに交通事故で亡くなったんだっけかな。
そのあとは、母方の祖父母に預けられていた。
料理洗濯掃除、家事は一通りでき、友人関係も良好、容姿端麗に成績優秀。
まさに完璧だね。他から見ればさぞ羨ましかったろうに。
でも苦労もたくさんしてるんだろうね。だから神様のことチョーっと憎んじゃったのかな。
いやー大変ご苦労、大変大変お疲れさまさまです。
あれ?でもさ、これって普通の少年?本当に普通?
いやいやいやいや、違うよね。完璧な人間様だよ。
いやいや、完璧な人間だからさ、神様に選ばれたんでしょーよ。