受け止めるべき想い
たった一騎で50人の部隊を殲滅した謎の機体の噂は、瞬く間にラウンジを通してMETAL HEARTSのプレイヤーへと拡散した。運営である華神へと抗議する者あり、Cancerなのか、そうでないのか議論する者ありと、当然の様に混乱が始まっていた。しかし、それはベルフェゴールの部隊でも同様であった。
スレンダー「Cancerを失った以上、この部隊に意味はないだろう? 」
ワイズマン「もう、なるようにしかならないよね」
部隊解散を匂わせる無気力な雰囲気が拡がり始めていた。
ベルフェゴール「まだCancerを失ったわけではない。噂の機体はケンくんとCancerが融合したものだ。敵の手に落ちていない以上、勝機はまだある」
イース「Cancerがティア•ラだけでなく、ストライカーまで呑み込んだって事か? 」
ミット「ケンくんはメッセージ送っても返事ないぞ」
シラベール伯爵「敵ではありませんが、味方でもなさそうですねぇ」
ベルフェゴール「最終戦までには説得する。それまで部隊は維持するべきだ」
電人「俺らって必要あるの? 」
ベルフェゴールの説得にも、部隊内には確実に不協和音が拡がりを見せていた。
沈黙の狂戦士「抜けたい者は抜けて構わない」
エースのコメントに、参加者は更に戸惑った。
KN「諦めるってこと?」
法堂高虎「まぁ、強制じゃないしな」
ピーナッツさん「考えちゃうよね」
ムーン「ケンくんが何を考えているかわからないからな」
シラベール伯爵「Cancer相手では、現存する武装パーツでは勝てませんしねぇ」
更に無気力になる部隊に、ひとつの報告が入った。
メタ•ナイト「新しいメンバー入ったよ!」
ミラージュ「こんな時に? 」
アルセ「初めまして。お邪魔します」
ムーン「アルセ! 」
ミット「おお!」
イース「来たか!」
スレンダー「待ってた」
意外な人物の登場に、元第04小隊のメンバーだけは盛り上がっていた。
エリス「あなたナイトメアにいたスナイパーだよね? 」
芋の皮「何故このタイミングで? 」
エース達が疑問をぶつける。
アルセ「ケンくんの指示で来ました」
沈黙の狂戦士「どう言うこと? 」
アルセ「ケンくんが全滅させた部隊に私もいました。その時にメッセージを受け取りました」
ムーン「何て? 」
アルセ「Cローズさんが亡くなりました。彼女の願いです。みんなの元に戻って下さい。そう書かれてありました」
スレンダー「掲示板はCancerに占拠されたと聞いたが? 」
アルセ「個人メッセージで届いたの」
メタ•ナイト「Cancerに完全に乗っ取られているわけじゃないようだね」
ベルフェゴール「つまり、交渉の余地はまだ充分にあると言う事だ」
沈黙の狂戦士「無理かもしれない」
エリス「ケンくんはMETAL HEARTSから去るつもりなのかも」
ミット「俺もそんな気がする」
ベルフェゴール「それはすぐにわかる」
芋の皮「どうして? 」
ベルフェゴール「次の対戦相手は、第04小隊に決まった」
悪魔と化した戦友との対決に、ベルフェゴール部隊は戦慄に包まれた。
ピーナッツさん「説得するチャンスじゃんか」
イース「その前に全滅だろ」
アルセ「私は彼の事はよく知らないけど、多分無理じゃないかな。だって、私と同じだと思うから」
ベルフェゴール「同じとは? 」
アルセ「居場所がないんだよ」
ムーン「居場所……」
沈黙の狂戦士「彼はCローズの為にこの世界にいた。華神も結城も既に関係ない」
ベルフェゴール「METAL HEARTSを守る事は、Cローズの願いでもあったはずだ。華神側の策略を止める事は、その為のものだ」
ダンスランサー「それは彼にとっては、大人の勝手な都合でしかない。彼の望んでいる事はそう言う事ではないのだよ」
それまで沈黙していた老兵が言葉を落とした。
ダンスランサー「彼は彼なりに、Cローズの死を受け入れようとしているのだろう」
スレンダー「同意です」
ベルフェゴール「では我々はどうすれば? 」
ダンスランサー「どういう状況になろうとも、全力で受け止めるしかない」
法堂高虎「そう言う事なら、ここに残るしかないな」
リンク「お手伝いさせて頂きます」
ミット「あのバカを止めれるのは俺しかいないだろう」
ムーン「いや、俺が」
イース「なら俺が」
ミット「どうぞ、どうぞ」
ムーン「どうぞ、どうぞ」
イース「お前らww」
スレンダー「しゃあないな。元第04小隊で、あのバカ止めるぞ!」
アルセ「相変わらずバカばかりで安心した」
ムーン「お前もな」
エリス「私も残る」
沈黙の狂戦士「無論」
芋の皮「異議なし」
モモ♪「ここで抜けたら男じゃないわよね」
KN「やっぱりモモは男だった」
モモ♪「イヤん♪」
法堂高虎「ネカマは消えて良し」