戸惑い
レティが出迎えてくれた。
『お帰りなさい、刃さん』
そういうとレティはおれに駆け出してきて抱きついた。
『怪我はないですか?大丈夫ですか?』
『大丈夫だよ、そっちも問題なかったかい』
おれは返事をするとレティの頭を撫でた。
『ええ、魔獣は来なかったんですけど。
問題がなかったとは言いづらくて。』
顔を少し俯かせるレティ。
『何があった?』
『それが・・・・』
その時、シェーラさんの家の前から声が聞こえてきた、
『長!どういうことだ!なぜ最近になってこんなにも魔獣が出現する?』
年配の男たちがシェーラさんの家の前で言い争ってる。
『待ってください、長は戻ってきたばかりでお疲れです。
みなさんのお気持ちもわかりますが少し、待ってください。
ことの所在は、防衛したものが全員戻ってからでお願いします。』
そういうと男たちは、少し勢いが弱まった。
対応してるのはキャロみたいだ。
キャロがこちらに気づいたみたいだ。
『あ、刃さん。みなさんもお怪我はありませんか?』
『ああ、それよりどうなってるんだ?この有様』
『実は、魔獣の騒ぎのことで村の幹部クラスの人たちが詰め寄ってきてこの有様です』
なるほどな。
『よくあることなのか?今回の魔獣騒ぎは?』
『最近は多いですね。キャスの話によるとなんだか魔獣がだんだん強くなってるみたいなんですよ。前までは一年に一回魔獣が森にはいってくるかどうかの具合だったんですが、ここ半年はその回数が多いんですよ。
何かの予兆でしょうか?』
『ここ半年か・・・』
うーん、それはやっぱり何かあったと思うのが自然か。
『その原因を調べたりはしてないのか?』
キャロは横に首を振った。
『いえ、今まではたまたまだったんだろうと調べはしてなかったのですがこう続くと一度原因を調べた方がよさそうですね。
あっ、長』
そこまで話をすると、シェーラさんが家から出てきた。
『すまんなキャロ、もう大丈夫じゃ』
『刃殿すまんがそこを通してくれんか?』
そういうとシェーラさんは俺の横を通り過ぎ、詰め寄ってきた村人達の前に行くと話が始まった。
『長、これは一体どういうことだ。
魔獣がまた出たらしいじゃないか』
『そうだ、あきらかにおかし過ぎるぞ。
長の結界が弱まってるんじゃないのか?』
『皆の言いたいことはわかる、じゃが原因を究明するため少しわしに時間をくれんか。』
シェーラさんは村人達を落ち着かせようとしたがそこでまた別の男が口をはさんできた。
『それでは、少々のんき過ぎるのではないか?長よ』
エルハザードだった。
『エルハザードおぬし・・・』
『私が調べたところによると長の結界が弱まってほころびができてる』
『な、なんじゃと?!一体どういうことじゃ。
わしはお前にまた、調査を頼んでないぞ。』
『勝手に調べをしたがそれも他の村人のためだ。
理解してもらおうか。それよりどうするつもりだ?
長の力が弱まってるなら交代時期なのではないのか?』
『そ、それは。』
シェーラさんは渋った。
『よいではないか、丁度村の幹部はこの場にいる。
早く対応策を考えるには丁度いいだろう』
『エルハザードの言う通りかもしれんの。
わしはエルハザードに時期長を進める』
幹部の1人がそういうと、他のものも同調し始めた。
一通り話が終わるとエルハザードが話し出した。
『どうやら、これが皆の総意見みたいだな。
長よ、いやシェーラ殿』
流れはどうやら悪い方向に向いていった。




