出発
朝早くから校門の前に集まる俺たち。
『さぁ、みんな揃ったわね。
それじゃ、馬車に乗りましょう』
ばっちゃんが今日行くメンバーが全員揃うと馬車に乗り込むように言う。
馬車の運転はガリウスがしてくれるらしい。
『ガイ、レオンちゃんにお礼を言っておいてね。
立派な馬車を用意してくれてありがとうって』
ばっちゃんは馬車に乗り込む前にガイに言う。
『気にしないでください、ユウ様。
一応、姉上には伝えておきますが気にしないでください』
『ふふふ、ありがとう。
それじゃ行ってくるわね』
ばっちゃんを乗せると馬車は走り出した、
『じーん、気をつけてなぁ』
後ろからガイが手を振って見送ってくれた。
窓から顔を出し返事をする。
『おう、そっちも修行がんばれよー』
俺はそういうと、馬車に戻る。
しばらく馬車は道なりに進んでいった。
『ばっちゃん、そういえばシェーラさんってどんな人なんだ?
俺は夢の中でしか見たことないからよく知らないんだけど』
『そうね、まずシェーラちゃんのことを話とかないといけないわね。
初めてあのこと出会ったのは前大戦の時ね。』
『魔王、つまりこの人を倒すために各国が力を合わせて戦ってた時に力を貸してくれたのよ。
エルフの方も魔王の侵攻で大変だったからね。
その時、彼女はまだチームのリーダー的位置だったわね。
あの頃はまだ、シェーラちゃんのほうが年齢的に私より少し下でね。
年も近いのもあってすぐ仲良くなったわ。
よく後ろから姉様、姉様と呼んでね。
ふふふ。
懐かしいわね。
人懐こい性格よ。
他のエルフの人も仲良くてね。
よく宴とかに誘われたわ』
『えっ!?エルフと仲良かったのですか?』
そこで、レティが口を挟む。
『そうよ、仲良かったけど今は違うの?』
『はい、聞いた話ではエルフは外部とは関わりを取らない閉鎖的な方と認識しているのですが』
『そういや、ガリウスもそんなこと言ってたよな?
シェーラさんは人間が嫌いみたいなこと』
ガリウスの言ったことを思い出す。
『うーん、あの子に何かあったのかしら?
まぁ、それはあった時に本人に聞いてみましょう。
話の続きをするわね。
あの子は性格も良かったけど何より強かった。
魔術ではかなわないもの。』
『そんなに?ばっちゃんでも?』
『ええ、あの頃は剣術のほうでは負けなしだけど、魔術は上の中ぐらいよ。
でも、彼女はその遥か彼方って感じね。
まぁ、そこらへんはこの人の方が知ってるわよ。
ね?あなた?』
ばっちゃんはじっちゃんを見てクスクス笑う
『けっ、あのロリ幼女。
禁術クラスの魔術連発するからたち悪かったぞ。
ま〜ぁ〜、俺は天才だったからな。
全部防いだけどな。
それに、お返しとばかりに反撃して楽しんだな』
かかかっと笑うじっちゃん。
『あの時、シェーラちゃんものすごく悔しがってたわね』
『禁術クラスってどういう戦いしてんだよ』
俺は苦笑いした。
『あっそういえば、禁術クラスの魔術の威力で地形が変わって湖がレイト山脈の麓に出来てますよ』
レティが思い出したように言う。
え?おいおいじっちゃんは何してくれてんだ?
『ちょっと、じっちゃん無茶苦茶にもほどがあるだろ!』
ジロリとじっちゃんを見る
『待て、待て俺だけのせいじゃないだろ?
ロリ幼女のせいだぞ。
俺のせいじゃない!』
ふんっと胸を張るじっちゃん。
『まぁ、あれはシェーラちゃんも同罪ね
ふふふ』
『はぁ、それでいいならそれでいいけどさ』
『それにしてもさ、人間嫌いのそのシェーラさんは良く今回会うことになったよね?
人間嫌いなら話聞いてくれなそうだし』
『刃殿、それは魔族の我々が話を通したのですよ。』
運転席からガリウスが言う。
『ん?どういうこと?前大戦は魔族対人間・エルフ連合って感じだったろ?
それなのに人間より魔族と仲がいいんだ?』
『それがですな、言い伝えに聞くところによると前大戦後は3種族とも仲は良かったらしいのですがある時から人間だけエルフとの仲がわるくなったのですよ。しかし、詳しい理由は伝えられてなくこれ以上はわかりませんがな』
目線は運転に問題ないようにそらさず話し出したガリウス。
『まぁ、今回ゆう様が会いたいとおっしゃってることを伝えると。
快く快諾されましたがな、はははは』
『ふふふ、そうなのね』
ばっちゃんは嬉しそうに聞いた
『ガリウス、そのエルフが住んでる森まではあとどれくらいなんだ?』
『そうですな、あと3時間ほどですな。
着くまではゆっくり休まれても構いませんぞ』
『わかった、ありがとうガリウス』
こうして、馬車を走らせること3時間後
『皆様、森が見えてきましたぞ』
いつのまにか、寝てたみたいで、ガリウスに声をかけられて目が覚めた
『ん〜、やっと着いたか
おわ!』
そろそろ着くところで馬車が急に止まった。
『ちょっとガリウス!
運転荒いよー』
ガリウスにモンク言おうと運転席の方でたら馬車の前の地面に矢が突き刺さっていた。
『なんじゃこりゃ!?』
『そこの馬車止まれ!!』
そういうと森の木の上からこちらに弓を引いてるエルフがいた。
それも何人も。




