モード
クリスタルの黒い光が収束するに連れてとそこには一人分の影が現れた。
『あれはなんだ?』
完全に黒い光が消えるとその姿が露わになった
大きさは先ほどのジャイアントオークより一回りでかかった。
見た目はもっと醜くなっていた。
『さっきのオークなのか?じゃ、グリーンはどこに?』
俺は辺りを探すが見当たらない。
その時、オークが叫んだ。
『ガァーーーー!!!
殺す殺す殺す殺す全員殺すー!!
ガルルルルル!』
殺気が膨れ上がった。
その声、まさか・・・グリーン!?
フードの男が話しかけてきた。
『気付いたみたいだね。
そうだよ、そいつはグリーン。
ただし、魔術を使ってジャイアントオークと合成したんだよ。
気をつけたほうがいいよ、そいつは先ほどのジャイアントオークより数倍強いからね。
さて、実験も成功したし、僕は帰らせてもらうよ。
また、生きてたらどこかで会おうね。
・・・・・・・・・・・・・・刃ちゃん』
最後の方が聞こえなかったが男は言い終わると煙のようにその場から姿を消した。
あいつはいったい。
意識がフードの男に向けていたため、反応が一瞬遅れた。
もう、眼前にはグリーンが迫っていた。
俺は後ろに力いっぱい飛びのいたが豪腕が体めがけて殴り付けようとした。
レヴァンテインをクロスさせて防ぐがさっきより段違いに力が上がってる。
そのまま、俺は森の方に吹き飛ばされ木にぶつかった。
『がはっ!』
肺の中の空気が押し出された。
やばい追い打ちが来る。
すぐに横に飛び退くとさっきまでいた木は大きな音を立て粉砕していた。
危なかった、今のはかなり。
『ダークショット!刃!今のうちだ!!』
オーク目掛けてダークショットが飛んでいく。
ダメージはないようだがガイがダークショットを放ち時間を稼ぐため援護してくれてる間に全力で間合いを取り、流転の構えで迎え撃つ。
『さぁ!きやがれ!!』
『ガァ!お前を殺す!死ね死ね死ね』
グリーンはものすごいスピードでラッシュをかける。
俺はそれを一つ一つ見切りかわしていく。
大ぶりの1発を紙一重でかわすとすれ違いざま回転の動きで右手の剣を薙ぎ一閃する
「草薙流 回龍旋!!」
しかし、体は切れなかった。
『ちっ硬え』
そのまま、俺はオークを抜き去り、距離をとる。
『がははは、いたくねぇ、いたくねぇ!
力が湧いてくるドンドンドン力が湧いてくるぞー。
お前らみなごろしにしてキュアたんは僕のものだー!
死ねー!!!』
グリーンは叫ぶと、またしても俺に向かってて殴りかかってきた。
右左と拳をかわす。
業を煮やしたのか、グリーンはキュアたちの方向かって走り出した。
させるか!輝力を使い足に込めキュアたちの前に立ちふさがる。
『キュアたん、もうすぐ僕のものだ!』
グリーンは両手を組みハンマーのように俺に打ち下ろした。
俺はそれを、剣をクロスさせて受け止める。
『グリーン、てめぇいい加減にしろよ。
てめぇの、欲望のためにどれだけ俺の大切な人たちを傷つけようとしやがる!
お前だけはゆるさねぇ!
おれの!仁義にかけて!!
うぉーーーーーーーーーーーーー!!!』
その時、今までで一番身体中に輝力を満たし、高めた!!
輝力はキラキラと白く輝きだし奔流となって俺の身体にまとわりつく。
『あれはまさか・・・モード!?』
静観していたレティが何か気付いたみたいにつぶやく
『俺の中の輝力よ、もっと高まれぇーーーーー!!!』
俺の身体にまとっていた輝力が弾けると同時にグリーンとの押し比べは俺が勝ち、今度は逆にグリーンを剣で吹き飛ばした。
勢いは止まらず、森の方に吹き飛び何本か木をなぎ倒していった。
はぁ、はぁ、はぁ
そこで俺は自分に起きた異変に気付く。
服装が、さっきまで来ていた学院の制服ではなく、
学ランみたいな白い服装に変わっていた。
その服は、キラキラと白く輝いていた。
そして、不思議なことにドンドンと輝力が身体の内側から湧き上がってくる。
体も軽い。
『これは・・・昔に見たことある。
ばっちゃんが、レヴァンテインの力を解放した時の服装に似てる。』
不思議だ、負ける気がしない。
これならいける。
そう思ってる時に森の方から新たに木々を倒す音が近づいて来る。
『ころす、ころす、ころす、ころす、
がぁーーーーーーーーーーー!!』
グリーンが今まで以上のスピードで駆けてきて、豪腕を打ちおろす。
『もう、俺を捉えることはむりだぜ。
草薙流 時雨!』
グリーンの攻撃は最低限の動きで避け、五連突きを食らわす。
今度は何の抵抗もなくグリーンの体を貫く。
すごい!段違いに力が増してる!?
『一気に仕留める。
草薙流 龍天翔!!』
グリーンの懐に入り、下から上への対空突きを放つ。
『ぐぶ!』
声にならない声を出すグリーンは体が30メートル以上空高く吹き飛ぶ。
そして勢いがなくなると重力が働き落ちてくる。
俺は力一杯、剣に輝力を溜め、剣閃を放ち力いっぱい叫ぶ!
『大・閃・花!!!』
今までの閃花とは比べものにもならない特大の閃花がグリーンに向かって飛んでいく。
直撃するとグリーンの体はその威力に耐えられず消滅したのだった。
『あの世で、懺悔しな』
俺はレヴァンテインを鞘に戻しながらリジュ達の方に振り向き叫んだ。
『俺たちの勝ちだ!』




