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異世界で勇者始めました  作者: 猫まる
第3章 水聖の賢者
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再会

森を抜け、滝についた。

はぁ、はぁ、やっとついた。

キュアはどこ?


『キュア!どこにいるの!』

辺りを見回す。


『お姉ちゃん!』

聞きなれた声がレティとは反対の森から聞こえた。

あの姿はキュア!!


『キュア、よかった。

やっと見つけた。待ってなさい!私がすぐ助けるわ!!』

一瞬安堵の表情を見せるレティだが、まだキュアは敵の手の中にいる。

すぐに、駆け出したい気持ちを抑え、いつでも戦えるように気持ちを切り替える。


『さぁ、あなたたち要件は何?早くキュアを返して!』

そこで気づく、キュアたちを捕まえてるのがこの間のこの滝で襲ってきた盗賊だと。


『あ、あなたたちはこの間の!?一体どういうつもりよ!』


下卑た笑みを浮かべながらレティの近くに来る盗賊たち。

『ギャハハ、この間ぶりだな姉ちゃん。ケケケ、元気してたかよ?』


そこでまた別のことに気づく、後ろにいた盗賊にもう1人捕まえられてるのが。

あれは!?


『リジュさん!?あなたたち、この人にまで危害を加えようだなんて許さない』


盗賊のリーダー格らしき男が一歩前に歩いてくる。

『おいおい、落着けよ、ねーちゃん。

俺たちはまだ要件を言ってないし、クライアントもまだだ。』


『クライアント?一体どういうことよ、あなたたちがキュアたちを誘拐したんでしょ!?』


その時背後の森から、声が聞こえてきた。

『クフフフ、やっと役者が揃ったみたいだな。

おやおやお姉さん、お久しぶりです。

さて、早速本題に入らせてもらいましょうか?』


出てきたのはグリーンだった。

そしてレティを横を通り盗賊たちの近くまで歩き出した。

『くくく、それでは要求を言わせてもらいましょうか。

ただ一つ、キュアたんとの結婚を許可しろ』


『なっ!?そんなことのためにキュアを誘拐したというの?』

あまりにもしょうもない理由であきれ返る。


『そんなことだと?、キュアたんはぼくに惚れてるのに行き遅れのお前が

反対してるから結婚に応じてくれないんだぞ!

だからお前さえ結婚を許可すれば、晴れて僕とキュアたんは結ばれるんだー』

なんなの、その身勝手な理由は。


グリーンも含めて敵は4人。

とりあえずキュア達の救出が先ね。


『借りに、結婚を応援したら2人はすぐに解放するのね。』

グリーンに問いかける。


『お姉ちゃん!?なにバカなこと言ってるの?』

『あなたは黙ってなさい、すぐ助けるわ』


『おっとその前に、暴れられても困るからこれをつけろ。』

そういうとグリーンは懐から腕輪を取り出し、レティの足元に放り投げる


『くっ、魔術防止の腕輪』

最悪だわ、これで魔術が使えない。


『おい、早くつけろ』

グリーンがせっつく。


『わかったわ、これでいいんでしょ?』

レティは左腕に腕輪をつけた。


『お姉ちゃん、そいつの言うことなんて聞いちゃダメ!』

『そうですよ、レティさん。絶対助かります。』


『キュア、リジュさん。まってて、すぐ私が助けるから。』


覚悟を決め、レティはグリーンに向き直る。

『私は、キュアの結婚を許可するわ。さぁ、2人を離しなさい!』


『プププ♫やーっと許可を頂けましたね、お姉さん。

さぁ、キュアたん晴れて僕達は結ばれるんだー。』


気持ち悪く軽快にキュアの周りを歩くグリーン。

『絶対嫌!誰があんたと結婚するもんですか。』

グリーンとは目も合わせず、拒否るキュア。


『な、なにを言ってるんだキュアたん。もう2人には障害がないんだよ?

2人で幸せになるんだよ』


『嫌!くんな豚』


『いくら温厚な僕でも怒るよ、キュアたん』

プルプル震えるグリーン。


『キュアたんが言うことを聞かないなら仕方ないな、お姉さんが痛い目を見るだけさ。

おい!お前達、お姉さんをお前達の好きにしていいぞ』


『な!?お姉ちゃんになにするつもりよ。離れなさいよあんた達!』


『アニキー俺は年増は好みじゃないんで兄貴に譲りますぜ』

『そうなんだな、もっと若いのが好みなんだな』

『なに言ってやがる、ああいう年取ったのがいいんじゃねぇか』

盗賊3人は好き勝手を言っていた。


『そうだな、おりゃいためつけるのはあんま好きじゃねえんだ。

その場でストリップでもしてもらおうか。』


キッと睨みつけるレティ。

『おっと、そんな反抗的な態度でいいのか?妹が傷つくぜ?

盗賊のチビが懐からナイフを取り出し、キュアの頬をナイフの横腹でペタペタ叩く。


『キュア!!わかりました。脱げばいいんでしょ!』

『お姉ちゃん!』

『レティさんダメ!』


キュア、リジュさん。

まっててね、すぐ助けるから。

レティは上着を脱ぎ始める。


1枚、そしてまた1枚、脱いでいく。

下を向いてた、レティの足元には水滴が落ちていた。

雨?あっそうか私が泣いてるんだ

レティはいつの間にか、泣いていた。

その雫は頬から流れ落ち、足元に落ちていた。


くやしいなぁ、こんな人たちに見せるなんて。

その時、ふと刃の顔が蘇る。


くやしい、くやしいよ、刃さん。

刃の顔を思い出すともう、涙は抑えることができなくなっていた。

上は下着だけになり、残るはズボンと下着のみ。

こんなに汚れてしまったら刃さんのこと好きだなんて言えないよね。


『おっと、次は下を脱ぎな!ケケケ』

下卑た顔が私を見つめる。


『わかりました』

刃さん、刃さん、刃さん・・・・助けて!

私は覚悟を決めズボンに手をかけるその時、聞こえてきた。


『ぶぎゃ!』

さっきまでいた盗賊のリーダーが誰かになぐりとばされる瞬間を見た。

殴ってる人はさっきまで心から望んでた助けてほしかった人、私の大好きな人。


『・・・刃さん』


殴り飛ばされた盗賊のリーダーはグリーンの方向に吹っ飛ばされ、グリーンとぶつかり一緒に森の方に吹っ飛んでいった。


『すまねぇ!遅くなった。』

彼はそういうと私の方に向き直り、初めて会った時と同じように上着を私にかけてくれた。


そして、私を抱きしめ頭を撫でながら囁いてくれた。

『よく頑張ったね、あとは全部俺に任しといて』


その言葉を聞いた瞬間、涙が溢れ言葉にできなかった。

ただ、コクコクっと頷くことしかできなかった。


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