発覚
とりあえず、急がないと。
『白夜、とりあえずリジュの匂いを追え!』
『わかった!』
返事と同時に白夜が駈け出す。
それに続けて、俺、ガイ、シンクも駈け出す。
それにしても、いったい誰がリジュたちをさらったんだ?
学園から出て大通りを抜けようとすると人ごみに溢れていた。
『くそ!!邪魔だ!
ガイ!このまま突っ切るぞ!』
『刃!とりあえず一旦冷静なれ!』
後ろのガイから声がかかる。
『ああ?俺は冷静だ!
急がないとリジュたちが危ないだろが!』
『だから、それが冷静じゃないと言ってるだ!
普段のお前なら、人ごみに突っ切るなんていわないだろ!』
う、たしかに。
『こういう時は落ち着かないとヘマをやらかすぞ』
ガイが俺を見つめてくる。
・・・・はぁ、ガイに言われるとは思わなかった。
『すまねぇ、わかった。
3秒くれ、・・・ウォーターボール!』
俺は自分の頭上に水の玉を出現させた。
そして、目を閉じわざと解除した。
すると水の玉は形を崩し、水は俺の頭にぶっかかった。
ふぅ、火照ってた頭冷えてくるのを感じつつ、目を開ける。
いけるか俺?
俺は、じっちゃんが昔教えてくれた言葉を思い出す。
『いいか刃、頭はクールに心は熱くだ』
うし、これが思い出せるならいけるだろ。
じっちゃん・・・・ありがとう。
『ガイ!すまねぇ!
いけるぞ。白夜、リジュたちは街中にいるのか?外か?』
『刃、リジュは街の外にいるみたいだ』
『おし、大通りは通らず裏道を駆使する。そして正門を抜け街を出て探すぞ!』
白夜たちに指示を出し、また駈け出す。
『ガイ、たぶん感なんだがキュアたちをさらったのはこの間キュアたちを襲ってた盗賊だと思う。』
走りながらガイ問いかける。
『それはなんでだ?』
『最近の出来事でキュアが狙われたのはそいつらだからだ。他に思いつかねぇ。』
『なるほどな、案外その感はあってるかもな。』
その時正門が見えてきた。
門番に説明し、街を出た。
また、駈け出す。
『ただ、この間から何か頭の片隅で引っかかることがあるだよなぁ。
それがなんなのかわかんねぇんだけど。』
『引っかかる?』
ガイが聞き返す。
『こうなんかうまく説明できないけど。
解けないパズルをやってるみたいな感覚だな』
そう、いつから俺はそんな感じに思った?
そこが大事な気がする。
白夜とあってからか?違う。
バルトハート先生と話してからか?違う。
レティさんと初めてあってからか?なんか違う気がする?
そのあと?・・・・
思い出せ、そして考えろ。
頭は冷えたはずだ・・・・あっ!
あいつはなんであの事を知ってたんだ?
俺たちはあの場に居てたから知ってたけど、あいつが知るはずはないはずだ。
ということは、あいつはあのことに何か関係者?いや、主謀者と考えた方がいいか?
うん、うん、そっちの方がしっくりくる。
俺はガイに告げる。
『ガイ、やっぱり俺の感が当たってるかもしれない。
レティさんのとこで会った、豚を覚えてるか?
俺の予想では、あいつが主犯格だ。
今回の親玉だと思う。』
『なに!?あの豚かよ!』
驚くガイ
『でも、なんであの豚だと思うんだよ?』
走る速度は緩めず聞いてくる?
『あいつ、俺が初めてレティさんとあった時の盗賊の事を話したんだよ』
『盗賊のことなら、神殿の弟子たちから聞いたかも知れないじゃないか?』
『ああ、それはそうだけどそこじゃないんだよ。あいつは盗賊の人数を言ってた。
なぜ知ってる?俺やレティさんは盗賊のことを話したけど何人とは言ってない。
それを知ってるのはその場にいたか、あらかじめ知る機会があるしかないんだよ。あらかじめ知る場合ってのは盗賊に依頼するってことだとしか思いつかね。』
『!? そっか、言われてみたら確かにそうだな。』
ガイが納得する。
『キュアの誘拐、豚の不審な言動、俺の感を踏まえて考えるとまず間違いなく、あの豚が今回の誘拐騒ぎの主犯だと思う。
あいつはキュアにぞっこんだったしな。』
その時、白夜が刃たちに向かって吠える。
『刃、この間の滝のところに3人の匂いがする!
この匂い、キュア、リジュ、レティだ!』
『ちっ、3人とも集まってるのか!
ガイ、スピード上げるぞ!』
『おう!』
刃たちは速度を上げて滝に向かった。




