魔術
『とりあえず使い魔の話はそんなところでしょうか。
それ以上詳しくとなると調べてみないとなんともですね。
あっ、皆さんお茶が切れてしまいましたね。
皆さんにお茶のおかわりお願いね。』
レティさんは先ほどの本を直しながら弟子の人にお茶のおかわりを指示してくれた。
弟子の方は一旦さがり、再度お茶の用意をしてくれている。
『ありがとう、レティさん。
あと、魔術の事をきいてみたいんだけどいい?』
『ええ、構いませんわ』
『魔術は無詠唱はやっぱり難しいの?』
『そうですね、詠唱することによって言葉のイメージで構築していくのが一般的ですね。
最初に習うのは詠唱からですから、その固定概念があると難しいでしょうね』
やっぱりそうかぁ、俺以外は見たことないんだよなぁ。
異世界からきた俺はゲームとか漫画でイメージしやすいもんなぁ。
『確かに、そうですねー。
俺はむしろ無詠唱の方がやりやすいですし』
『え?ええええーーー!?』
目を見開き大口を開けてレティさんが驚いてる。
『刃さん、本当に無詠唱できるんですか!?』
『ええ、なんなら見せましょうか?』
『ぜひ!お願いします!』
なんか興奮してて、レティさん怖いぞ。
『じゃ、どこか魔術使ってもいいとこありますか?』
『それじゃ、裏に練習場がありますのでそちらでみせていただいてもよろしいですか?』
『いいですよ』
レティさんが立ち上がり、奥の練習場に移動し俺達も続いてついて行く。
少し歩くと大きな扉があり、その扉をくぐると広い練習場があらわれた。
練習場の真ん中には大きな魔法陣があり壁には的が立てかけられている。
『刃さん、ここでは魔法陣のおかげで怪我もしないですし、物も壊れないので好きに使ってください』
レティさんの目がらんらんしている。
まるで小さい子供が新しいおもちゃを手に入れたかのような目の輝きだ。
『それじゃ、あそこの的に当てる感じでいいですかね?』
目の前の的に指を指し、レティさんに確認する。
『はい!』
『じゃ、行きますよ』
俺は右手を後ろに引き魔力を集中し、前に振りかぶるそして放つ。
『ファイヤーボール!!』
ドッゴーン!!
<ファイヤーボール>は的めがけて飛んでいき、着弾すると轟々と燃えていく。
『とまぁ、こんな感じかな?どう?レティさん』
俺はレティさんの近くにより、レティさんの顔を覗き込む。
レティさんは、ハッとして顔を真赤にしている。
『すごいです、刃さん』
他の皆も無詠唱を初めて見るものはびっくりしていた。
『若様、すごーい♪』
『刃君すごいね、初めて見たよ』
ミルクとトルクもレティさんみたいに目をらんらんさせている。
『さて、とりあえず、今日はこれまでかな?
外も夕暮れになってきたし、そろそろお暇しようか?』
『え、刃さん帰っちゃうんですか?』
『え、長くいたらご迷惑じゃないですか?』
レティさんがズズイと前のめりに詰め寄ってくる。
俺は苦笑いがでてしまった。
『そんなことないです。
ぜひ今日はお泊りになっていってください』
『いやいや、それはさすがにまずいんじゃ?』
俺はリジュ達の方を向くと苦笑いをしていた。
『いいんじゃないでしょうか?
明日は学院は休みだし、泊まっちゃいましょう♪
そのほうが、おもしろそうだし』
ちょっとまて、いま面白そうとか言ったぞ。
レティさんの方を向くと涙目で帰らないでと訴えてくる。
うーん、さすがにこれはことわれないか。
『わかりました、ではレティさん今日は止まらせて頂いていいですか?』
『はい、よろこんで♪』
こうして俺達はレティさんの所に泊まることになったのだった。




