すぐ読み終わる不条理
オチが書きたかっただけです。
私は通り魔に腹部を刺された。
朝の通勤での突然の出来事。痛みよりもまず困惑が先に来てしまった。
通り魔は走って逃げて行ってしまった。
中年のサラリーマンがやってきた。渾身の力を振り絞って助けを呼ぶ。
彼は私を見てから、腕時計を確認する。
「この人助けてからでは会社に遅刻してしまうな」
と呟いて、私を通り過ぎていく。
次は徒歩で歩く学生。
「人が倒れてる。あーあ、ここで助ければクラスのヒーローになれるのに」
またか。また助けてもらえないのか。
「ねえ、おっさん。どうして俺が暇な時に刺されてくれなかったのさ?」
私のすぐ近くにつばを吐き捨てる。
意識がぶれていく・・視界にはベビーカーを持った女性。
ベビーカーが私の体に当たり、彼女が私に気づく。
「邪魔」