5.衝撃のお茶会②
お茶会の会場に着くと既に一乃瀬家のメンバーがソファに座っていた。
「一昨日、国境警備任務から帰宅したことをここに報告致します」
「ご苦労。本日の茶会では遠慮なく過ごすように」
ご当主さま同士の挨拶が交わされ、お茶とお菓子が配られる。おもてなしをする側の私は、同じく見習いの立場の光くんと末席である入り口付近に座る。久しぶりの再会にみんな話が思い思い盛り上がっているようだった。とりあえずこのマドレーヌを食べたら、ウィルあたりにでも話しかけて……。
「柚子ちゃん、ちょっと」
小声で隣の光くんが話しかけてきた。
「なぁに?マドレーヌのお代わりなら、あっちだよー」
「いや、ちゃうよ。マドレーヌはお腹いっぱいなんやけど……」
2つしか食べていないのに、お腹がいっぱいなんて……光くんはどんな胃をしているんだろ。ちょっとびっくりして、その顔を見つめる。
「あの、俺……一乃瀬家の方々は初めましてで、全然わからんのやけど」
あぁ!そっちか!そういえば自己紹介するとかしないとか立花さん言ってたけど、まだだったのか。
ここは一条家先輩の柚子が教えてあげないとね!
「ふふん!柚子が紹介してあげるね!」
「ごめんなぁ。お願いします」
「まず、大雅くんと喋ってる顔が整ってる茶髪!一乃瀬家のご当主の一乃瀬大和くん。通称坊ちゃん!」
「なんで坊ちゃんなん?」
「大雅くんがご当主様って呼ばれてて、呼び方が被るからだよー。大和くんの方がご当主様になったの遅いし」
和やかに会話をしている大和くん、その佇まいは大雅くんとはまた違うご当主様像だ。
「その隣にいる可愛い顔のチャラ男が理玖くん。女装すると似合うよ」
「なんでそんな事知っとるん?」
「昔見た事あるから」
理玖くんは人から話を聞き出すのが上手で、その昔はよく女の子のフリをして色んなところに出かけては秘密を持って帰ってきていた。目が合うとこちらに手を振ってくる姿ーーチャラ男だ。
「その横でマドレーヌをいっぱい食べてるのが、ウィルと耕ちゃん!あ、こうって呼び方お揃いだね」
「はぁ……。ん、あの柚子ちゃん。フルネームとかーー」
やばい!あの2人のマドレーヌを食べるスピードを考えると光くんにここでゆっくり説明している時間はない!
「次!育と喋ってる幸薄そうな背の高い人が、いずくん。とっても優しいよ」
「あの、柚子ちゃん……」
質問は後にしてくれ、光くん。私のマドレーヌが……。ワゴンを見るとたくさんあったマドレーヌが残りわずかになっている。
「お姉ちゃんと喋ってるガラ悪そうな人が快星くん!見た目はあんな感じだけど、話すと優しいよ。ごめんっ光くん!マドレーヌが私を呼んでいるっ」
言い終わると同時に、私は走り出したかったーーのに。
「望月の紹介がまだだったなーー。自己紹介の時間としよう」




