4.衝撃のお茶会①
「よしっ!」
応接室の掃除が完了した。我ながらすごく綺麗に出来たと思う!素晴らしい!
今日は待ちに待ったお茶会だ。一条家の分家である一乃瀬家が、国境任務から帰宅した報告を受けるという名目らしい。建前なんて何でもいい!なんのお菓子が出るのかなーー楽しみ!貴族同士のお茶会に使用人は参加出来ないけれど、一乃瀬家は分家だし普段から交流もあるので、みんなでお茶を頂くのが両家の昔からの習慣だ。
「柚子ちゃん、掃除終わったー?お茶会のセッティング頼まれてんけど、やってもえぇ?」
応接室の扉が開いて、現れたのは光くんだった。お皿やティーカップやら、お茶会の必需品を持ってきたようだった。
「今終わったとこ~!柚子もお手伝いするよ!」
使用人見習い歴は私の方が後輩だけど、一条家で過ごしてる歴は私が先輩だから、光くんには色々説明してあげないとね。
「ありがとう。立花さんから、一乃瀬家だからフランクな感じでって言われてん。……俺もそんなにお茶会には慣れてへんから助かるわ」
「そうなんだねー!じゃあ柚子が一緒に用意してあげる!まずは……カップはこの辺りでーー」
応接室の用意が終わる頃、廊下からは甘い香りが漂ってきてお屋敷全体が少し騒がしくなってきた。
「ねぇねぇ光くん!」
「ん?なんや?どうしたん?」
「なんのお菓子かなぁ?」
「そやなぁ……。分からんけど、えぇ匂いするなぁ」
「柚子お腹空いてきた……。いい香りがするとお腹が空くのは、人間の摂理である。と、かの哲学者おゆずは言った!」
「おゆずって……今考えたんやろ?柚子ちゃんは面白いなぁ」
光くんはなかなかセンスのある人で、お話していて楽しい。2人でケタケタ笑っていると応接室の扉が開いた。
「お、こっちも準備万端かな?2人ともお疲れ様」
「立花さん、お疲れ様です」
「立花さん!あのね、柚子が飾り付けしたんだよー」
「俺もやったって!!」
「2人は仲良しだね。素敵なおもてなしの用意をありがとう。……そろそろお客様がお見えになるから、柚子ちゃんは結衣ちゃんの所へ、望月は僕と一緒に来て貰おうかな」
立花さんからの指示を受けて、お互い業務へと戻る。
光くんと一緒にいると、とっても楽しいということに最近気づいた。同じテンションでいられるし、沈黙の時間も気にならない。ーー前にどこかで会ったような、昔から知っているかのような懐かしさも感じてすごく心が落ち着く。お互い修行の身だけど、出来たら長く一緒にお仕事が出来たらいいな。
「じゃあ、柚子はこっちのワゴンを押してきてくれるかしら?」
お茶会のお菓子は2種類のマドレーヌだ!!よしっ!お姉ちゃんの指したワゴンには、人数分に盛られた綺麗なマドレーヌがあった。
「そろそろ行きましょう」
「はーい!」
玄関の方からガヤガヤ声が聞こえて、2人でキッチンを出発する。お姉ちゃんがお茶セットの載ったワゴンを押して、私の前を歩く。行き着いたこの先のお茶会がとんでもない事になるなんて、マドレーヌに夢中の私は知らなかったーー。




