体験入学~学園への帰還~参~
昴は、不思議な感覚に包まれた。忍の力を体全体で受け止めて始めて感じる感覚だった。
「次は、全員で輪を作るぞ」
5人全員で手を広げ大きな円を作る。そして隣り合わせになった人と手を繋いだ。
「今度は、昴以外の4人で忍の力を作るぞ。じゃあ3人は、自分の最大値まで忍の力を蓄えてみなさい」
美穂・柊真・左近の3人は、一度目を合わせるとそれぞれが忍の力を解放した。それぞれ違う色のオーラが身に纏う。
辺りに吹いていたその風が、全く伝わらなくなると、円を中心に外側に向けて強い風が吹くのを感じた。美穂の周りは「緑」柊真の周りは「青」左近の周りは「黄」。
「ふむ、この時期ならこんなとこじゃろ」
半蔵が忍の力を蓄えると一瞬で他の3人の忍の力は赤色に染まった。
「次は、そのままにしておるんじゃぞ」
半蔵は空を見上げたすると、全員が地面から足が離れおよそ30cm程浮き上がった。
昴は、何が起きているのか分からなかったが、半蔵の放つ忍の力が地面から空に向けて、足元から頭に向けて流れていくような不思議な感覚を体験した。暫くするとそのままゆっくり地面に降り立った。
「今、身体全体に感じたのが忍の力じゃよ。この力を上手く操ることで多くの術が使えるようになる」
「他の3人も更に上手く力をコントロールすることで幅広く使えるようになるじゃろ」
半蔵は、少し考えると
「そろそろ戻らんとな、転移の術で連れて行ってやろう。昴よお主は、夜直々に力を使えるように指導してやる。他の3人も興味があればついてまいれ。夜8時頃に今から戻る場所で待っておれ、使いをよこそう」
半蔵は、4人に体から離れないように伝えると一瞬のうちに学園の裏門にたどり着いた。半蔵は、夜に待っていると告げると、また一瞬で姿が見えなくなった。昴以外の3人は、もはや興奮状態だった。
「すっげー、これが転移術」
「もー、私感動で泣きそう」
「めっちゃかっこいい」
それぞれ3人は、高等術の転移術を体験できたことに幸せの喜びを感じていた。その後は部屋に戻り、食事・入浴を終え1日の予定が終わり短い自由行動の時間になった。
夜8時、昴の他にも美穂・柊真・左近も待ち合わせ場所に集合していた。
じわじわと夕日が沈む寸前で1日照らし続けた太陽が見えなくなりそうになっていた。
夜になっても冷房器具なくては、暑さに耐えれない気温であった。日が沈むと多少ばかりはいえ過ごしやすい気候になったのも事実だった。
昴は、なんで他の3人も来るんだと思ったが、今は、何も言わず.迎えが来るのを待った。