始まりは唐突に
始まりは一人の国王が魔王に攻め滅ぼされるから助けて欲しいと願った。
異世界神は哀れに思い、異世界の中でも沢山の神々が居る島の国に住む人間を召喚させる。
その人間は勇者と呼ばれ、王国の為に魔王と闘って魔王を倒した。
だが、王国は役目を果たし用済みとなった勇者を邪魔だと思い、冤罪を捏造し勇者を公開処刑した。
異世界神は、冤罪が捏造された物だと気付こうとせず、勇者の魂を消滅させてしまう。
だが、勇者の魂は何故か普通の人間とは違って神気に溢れていた。
それから直ぐだ。
八百万の神々が、子孫の敵討ちに乗り込んできたのは……。
ヤマトタケルと毘沙門天、タケミカヅチがそれぞれ三方向から王国を攻めた。
王国は軍を率いて応戦するが、三人の剣技と神気に人間が叶うはずは無い。
魔法を放つも、ヤマトタケルの草薙の剣で切り裂かれ
タケミカヅチの振り下ろしたフツミタマノツルギで、周囲に神雷が降り注ぎ王国軍は焼かれる。
毘沙門天の放つ槍技で、次々貫かれる王国軍。
異世界神は、八百万の神々を見て戦慄した。
大将天照大神は、悠然と神々を率いて太陽を背に王都の上空に現れる。
「貴様等が殺した人間は、我々神々の子孫である。神殺しの神罰を貴様等に下そう」
その宣言の瞬間、天照の御使い達が焔を纏う猫となり、王国を走り回り阿鼻叫喚の地獄絵図となる。
王国を滅ぼすのに半日は掛からなかった。
「子孫が殺されたのは、この世界の全ての神々と、付随する国々のせいだ。あの子一人だけではない。故に、何人も殺された我々は今此処に……宣戦布告する。異世界の全てが滅ぶまで我々は止まらぬよ」
笑って天照が言うと、他の神々が雄叫びを上げるのだった。
異世界の神々は、戦慄した。
違う、こんな筈じゃなかった。
神々の禁忌を犯す筈がないと思い込んでいた。
まさか今まで召喚され、殺された勇者達が神々の子孫だなんて思わなかった。
後悔しても遅い。