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第2話 出発準備をしよう!

 お米を収穫した日の翌日。

 僕たちは早速エルフの里があるという森に行くことになった。


 その森は村から北西に行った所にあるらしい。そっちの方はまだ行ったことがない未知のエリアだ。気をつけないとね。


「少なくとも一泊以上はすることになるだろう。準備は済んでおるな?」

「はい。万全の態勢を整えましたので問題ありません」


 ルーナさんの言葉に、レイラが答える。

 二人は今回の旅に同行してくれる。ルーナさんは道案内、レイラは旅の補助サポート、二人とも強いし心強い。後はフェンリルのシルクもついていきたがっていたので一緒に来てくれる。


 留守の間の村はアイシャさんとゴーレムたちに任せてある。

 防衛設備も増やしたし、モンスターが襲ってきても大丈夫だろう。


「ちょっと! なに私を置いていこうとしてるのよ!」


 出発しようとしていると、そう元気な声が僕を呼び止める。

 振り返るとそこにはアリスの姿があった。赤いツインテールを揺らしながら彼女は僕に詰め寄る。


「私を置いていこうなんていい度胸してるじゃない! そんなの許さないんだから!」

「いやだってアリスは……」


 突然詰め寄られ困惑していると、アリスの後ろに剣士のサナさんが現れて、アリスの襟の後ろをぐいっと引っ張る。


「そこまでだお嬢、私たちには仕事があるって言ったろう? あまり殿下を困らせるんじゃないよ」

「サナ! あんたまで私の敵になるつもり!?」

「はいはい。いとしの殿下と離ればなれになるのは寂しいだろうけど、我慢してくれ」

「いと……っ!? ふざけんじゃないわよ! 誰があんなヤツ!」


 アリスは顔を真っ赤にしながらサナさんに喚き散らす。

 そう、彼女たちには勇者としての『仕事』があるんだ。その仕事の多くは悪しき生物『悪魔』の討伐。

瘴気を生み出す悪魔は普通の武器で倒すことが難しいという。だけど女神の祝福を受けた勇者の力なら、かなり効き目が高いらしい。

 なので悪魔の目撃証言が出ると、勇者であるアリスに依頼が来る。


 危険な仕事だけど、アリスは平和の為に勇者の仕事を全うしてくれているんだ。本当に凄いし、偉いと思う。

 ……まあ今はいかないってごねてるけど。


 でもここまでついてきたがるとは思わなかった。

アリスもやっぱりエルフに会いたいのかな?


「ごめんねアリス、タイミングが悪くて。お仕事が終わったらエルフの里での話をするからさ」

「別にその話はそんなに興味はないけど……まあいいわ。しょうがないから今回は引いてあげる。その代わり埋め合わせはしなさいよね」

「うん、次は一緒に行こうね」


 そう答えると、アリスは納得してくれる。

 これで丸く収まった……と思っているとレイラがずいと前に出てきて口を挟んでくる。


「ご安心くださいアリス様。道中のテオ様の面倒は私が(・・)見ますので。昼も夜も完全サポートです」

「あんた、いい度胸してるじゃない……!」


 目線をぶつけ合う二人の間に、バチバチと火花が散る。

 最近は少し仲良くなってきたかな? と思ってたけど、まだまだ先は長そうだ。


「ほら行くよリーダー。では殿下、私たちは行きますんで」

「ちょっとサナ! 私はまだ納得してないわよ!」


 ずるずるとサナさんに引きずられ、アリスは去って行く。

 じゃじゃ馬のアリスの手綱をあんな風に握れるのはサナさんくらいだろうね。本当にいい仲間と巡り会えたと思う。


「ではテオドルフ様、我々は向かいましょうか」

「うん。それじゃあみんなよろしくね」


 こうして僕たちはエルフの里目指して旅を始めるのだった。


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