表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

23/130

第12話 長い一日の終わり

「ふう、疲れた……」


 夜遅くまで続いた宴を終え、僕は避難地の中に新しく作った家に入り、そこにあるベッドに腰をかける。

 今日はこの避難地で夜を明かして、明日新しい領民の人たちと一緒に僕の家に向かう予定だ。あそこ周辺を最初の村として、北の大地を開拓していこうと思っている。


「領地の名前と……村の名前も考えなきゃね。いつまでも『北の大地』じゃ締まらないし」


 この土地は長い間人が住んでいないので領地の名前はないのだ。1000年前、瘴気に侵される前だったら名前があったかもしれないけど、そんな昔の記録は残っていない。新しくつける必要があるだろう。


「お疲れ様でしたテオ様。ゆっくりお休みください」


 そう僕をねぎらってくれたのは、メイドのレイラだ。

 撤去した防護柵の素材を使って家はたくさん作ったのだけど、当然のごとき顔でレイラは僕と同じ家に入ってきた。


自動製作オートクラフト、ベッド」

「おっと手が」


 ベッドをもう一個作ると、レイラが超高速で剣を振るい一瞬でベッドをバラバラにしてしまう。見るも無惨な姿となったベッドを見て、僕は唖然とする。


「すみません。手がすべりました」

「いやこれすべったとかいう次元じゃないよね!?」


 そう詰め寄るけど、レイラは明後日の方を見てそれをスルーする。普段はなんでも言うことを聞いてくれるけど、一度こうなったらなにをしても無視をする。

 僕は「はあ」とため息をついて諦める。


「ところでレイラは今日どうだったの? 森を探索してたんでしょ?」

「はい。一日中森を探索しましたが、恥ずかしながら避難地ここを見つけることはできませんでした」


 このラルド大森林は非常に広い。なんの手がかりもなしにこの小さな避難地を見つけるのは難しいだろう。僕がここに来れたのもアイシャさんの案内があってのことだ。自力じゃとても見つからない。


「しかし代わりと言ってはなんですが、よい物を手に入れました」

「良い物?」


 なんだろうと首を傾げると、レイラはテーブルの上にガラガラとなにか石のような物をたくさん袋から出して置く。

 近づいてそれをよく見て、僕は驚く。


「これってもしかして魔石!?」

「はい。森で何回もモンスターと遭遇しまして。全てを斬り伏せていたらたくさん集まりました」


 レイラが出した大小様々な魔石は全部で数十個以上あった。

 さすがにゴブリンキングから取れた魔石と比べたら小ぶりだけど、十分な大きさだ。これさえあれば色々な物が作れるようになる。開拓するのももっと楽になるだろうね。


「ありがとうレイラ、助かるよ!」


 そう言って彼女の手をぎゅっと握ると、レイラは「ひゃ、ひゃい」と顔を赤らめてそっぽを向く。あれ? なにか間違えたかな?

 いつもスキンシップが激しいから喜ぶと思ったけど、アテが外れてしまった。


「さ、さあ。もう夜も遅いですし寝ましょう。どうぞこちらへ」

「あ。一緒には寝るんだ……」


 レイラに抱きかかえられ、僕はベッドまで運ばれ横になる。

 フェンリルのルーナさんとの出会い、ゴブリンとの戦いと今日は色んなことがあった。明日からは領民との暮らしも待っているし、やることは尽きない。


 でもみんないい人だし、レイラもいる。なんとかなるだろう。

 そう思いながら僕は眠りにつくのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ