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第3話 海に行こう!

「これで準備は……良し、と。じゃあ行こっか!」


 川の調査をした翌日。

 僕は朝早く海へ出発する準備を終える。


 行くメンバーは川にも同行してくれたアンナさんとエレナさん。そしてどうしてもついて行くと言って聞かなかったレイラ。

 この三人と僕の計四人で海の調査に行くことになった。


「海は村の西部にあるんだったな。歩いて行くにはそこそこ距離があるが、どうやって行くんだ?」


 同じく準備を終えたエレナさんが尋ねてくる。

 海は歩いて行ける距離ではあるけど、数時間はかかってしまう。調査する時間も考えると、歩いて行くのは非効率だ。


 移動用のゴーレムを使えば一時間もかからず行くことができるので、最初はそれで行こうかと考えていた。だけど、


「海へはスムーズに行けるようにした方がいいと思うんです。だから線路を引こうと思います」

「線路? なんだそれは」


 エレナさんは首を傾げる。

 同じくアンナさんとレイラもなんのことか分からずきょとんとしている。

 こっちの世界ではまだ線路は一般的じゃない。技術が発展しているエルツ帝国では試験的な運用が始まっていると聞いたことがあるけど、王国ではまだ研究もロクに進んでいない。


 父上はあまり技術そっち方向に興味がないから、父上が国王である限りそれが発展することはないだろうね。

 移動が楽になれば食料問題とかも解決しやすくなるのに……もったいない。


「線路は車両を走らせる通路のことで……って、言ってもよく分からないよね。今作るから見てて」


 この日のために鉄と木材を大量に次元収納インベントリに収納しておいた。

 僕はこれに更に『魔石』を混ぜて、特殊な線路をクラフトする。


自動製作オートクラフト魔導線路マジックレール!」


 僕が地面に手を当ててそう叫ぶと、海がある方向にまっすぐ立派な線路が出現する。

 一発で海にたどり着ける程の長さはクラフトできないけど、結構な長さを作ることができた。僕の自動製作オートクラフトの腕前もだいぶ上達したと思う。


「そして更に……自動製作オートクラフト、魔導トロッコ!」


 鉄と魔石を使って、五人程度が乗れる大きさのトロッコを作り出す。

 前だったら魔石をこんなに贅沢に使えなかったけど、今はトラップタワーがあるおかげで魔石は安定的に補充できるようになった。


 トラップタワー産の魔石は品質はそれほど良くないから強いゴーレムとかは作れないけど、こういう風に使うには十分過ぎる力を持っている。


「これは鉄のかご……? 車輪が付いてますが、走るのでしょうか?」


 アンナさんは出現したトロッコを見ながら不思議そうに聞いてくる。

 普通のトロッコはシーソーがついていてそれを手で漕いで進むけど、これは違う。それを更に発展させたものだ。


「はい。これはトロッコという乗り物です。これは魔力で動く特殊なトロッコで、前にガボさんと一緒に設計して作り上げた自信作なんです。さ、乗ってください」

「は、はい……」


 アンナさんたちは少し心配そうにしながらもトロッコに乗る。

 全員が乗ったのを確認した僕は操縦席に座り、操縦桿を握る。そして魔力を流して魔導トロッコを起動する。


「それじゃあ出発します! しっかり掴まっててくださいね」

「え……きゃ!?」


 トロッコが発進すると一回グラッと揺れて、アンナさんが可愛い悲鳴を出す。

 だけど揺れたのは最初だけで、その後はほとんど揺れず快適にトロッコは進んでいく。


 レイラは綺麗な銀色の髪をなびかせながら、驚いたようにトロッコを見る。


「驚きました。この速さ、そして揺れの少なさ……馬車を遥かに凌駕しています。これが普及すれば物流の常識はひっくり返ります」

「はは。そこまで大規模にやるつもりはないけどね」


 魔導トロッコを運用するにはメンテナンスできる人が必要だし、技術が急速に発展してしまっては色々トラブルも起きてしまう。

 だからこの技術はひとまずこの領地内でしか使うつもりはない。


「一回線路を引けば、誰でも簡単に海に行けるようになります。いつかはもっと大きなトロッコ……汽車を作って、大勢で移動できるようにするつもりです」

「更に大きくできるのですか!? 旦那様の考えは壮大すぎます……」

「当然です。テオ様は凄いお方なのです」


 アンナさんの言葉に、なぜかレイラが胸を張って得意げに反応する。

 まあ嬉しそうならいいか。僕は深いことは気にしないことにした。


「それでは海に着くまでお弁当でも食べましょうか。たくさん作ってきましたので、遠慮せず食べてくださいね」


 レイラはトロッコの中で美味しそうな料理を広げる。移動しながら食べることになっていたので、僕はまだ朝食を食べていない。お腹ペコペコだ。


 こうして僕たちは美味しい朝食を食べ、時々トロッコを止めて線路をクラフトして伸ばしながら海に向かうのだった。

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