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お笑い台本ウロボロス

作者: HasumiChouji

「何で、パソコンが2つ必要なんですか?」

 そのAIの評価の為に、ある大学の研究室に呼ばれた古株のお笑い芸人は、そう質問した。

「動いてるAIが2つ有るんですよ。仮に、こっちを『ボケ』、こっちを『ツッコミ』と呼びます」

「ちょっと名前がベタ過ぎて、どうツッコミ入れたらいいか、わからんのですけど……」

「まぁ、2つ1組でお笑いの台本を書く為のAIなんで、そう云う名前にしたんです。おっしゃる通りベタですけど……」

「でも、ホントにボケたAIやったら、AIとして役に立つんですか?」

「ええっと……『ボケ』の方が台本を書くんですよ。まぁ、大体、1日の内に数百本ですかね……」

「ちょっと待って下さい。それやったら、台本作家は失業しますがな」

「いや、当面は、その心配は無いと思いますよ。今ん所、ボケAIが書いた台本の内、使いモノになるのは1%未満です」

「名前ん通りボケとるAIでんな」

「で、その使いモノになる1%未満を選別するのが、このツッコミAIの役目です」


「あのAIさんの書いた台本、結構、おもろかったんで、今後も、ウチの事務所で使わせてもらってええですか?」

「いや……でも、まだ、実験段階なんで」

「いやいや、ご謙遜を……」

「つ〜ても、まだ、このAI使うには気を付けんといかん事が有りますんで……」

「と言いますと?」


「あの……先生」

「何でしょうか?」

「先生のAIを使い始めて1〜2年は調子良かたんですけど……」

「だから、『まだ、実験段階だ』って言ったでしょ」

「あ、そげな事も言ってはりましたね」

「最近、調子が悪くなったんですか?」

「ええ、あのAIが作った台本を、ウチの事務所の若手に使ってもろうとったら……ここんとこ、ウチの事務所の若手が新人選手権で上位に食い込めなくなったんですよ」

「審査員の評価は、どう云う感じですか?」

「なんや、話がワンパターンや言われて……」

「大体、判りましたが……念の為、そちらの事務所に置いてあるAIのログを見てみましょ」


「そ……そんな……。思っとったより酷い……」

「どうしたんですか?」

「あの……このAI、基本的に人真似しか出来んって、言ってましたよね」

「ええ、先生が、そう言わはってましたんで注意しときました」

「ちゃんと、最新のお笑いの動向を学習させんと、すぐに時代遅れになってしまうって、言ってましたよね」

「ですから、ここんとこウケが良かったお笑いの台本を、先生が言わはった通りの手順でAIに勉強させとったんですが……」

「あの……ですから、何で、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

「えっ? 何かおかしいですか? 言われた通り流行りのお笑いの台本を勉強させてましたが……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「だから、人真似しか出来ん奴に、そいつ自身の真似させて、どうすんですか?」

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