女の子の服を着てみた
5話にして、全然ストーリーが進まないので申し訳ないという気持ちで一杯です。しっかりと構想が頭の中にあるので、万策尽きる様な事は無いので御安心ください。基本的に未来からの視点なのがその証拠です。
あまりネタバレはできませんが、もう少しで、ストーリーが進みますので、楽しみにしていてください。
女子化して、はじめて着たレディースの服は白いワンピースである。生地は全体的に白いレースでできている。上半身部分はセットのインナーキャミソールで、ウエストから下の方は内側に付けられている生地で透けが防止されている。ただ、膝小僧が見えてしまうほどに短い。
(これじゃあ、大事な所だけしか隠されてないのと一緒じゃん......)
どんな感じかというと......少し大きめのタオル一枚で腰を覆っているような感じ。いや、それならまだ良いのだが、このワンピースの裾部分はヒラヒラで歩く時は注意しないと、ショーツが見えてしまいかねない。歩くだけで一苦労なのだ。そのため、私は基本的に中学のジャージを着る事にした。しかし、下着に関してはそうもいかない。女子化して、体が全体的に小さく細くなっていたのだ。以前まで来ていた下着だと大きすぎて、とても着れるものではなかったのだ。なので、母が買ってきてくれた下着を着ていた。
女子用の下着というのは、男子用とは違い、基本は三角形のショーツと、ブラジャーの二つだ。後は、キャミソールというものもある。今着ているのは、ショーツとブラシャーだ。
そのショーツだが、これも最初は違和感が酷くて、男でも三角形の水着を着たことがある人はいると思うが、それと同じようなものだ。しかも、それよりも薄くて風通しが良く、生地が弱い。防御力なんていうものはあってないようなものだ。以前、ネット上で「水着は見られても大丈夫だけど、下着は違う」って書かれているのを見たことがあったが、その理由が良くわかった。
一方、同じ下着でも上の方に付ける「ブラジャー」については、ただ邪魔なだけだった。私の場合、Aカップで、胸は小さめの方だ。母曰く、ブラジャーは胸を固定して、肌が傷つかないようにするためらしいが、私にはその心配は皆無だ。ただ、まったく付ける意味が無いわけでもないらしい。
女子の社会では、胸の大きさは重要で、大きすぎず小さすぎずのサイズが良いらしい。その他にも、全員とは言わないが、男子は胸が好きな人が多いらしい。男の頃だった私は、胸には興味がなかったので、本当かどうかは疑問だったが、確かに漫画などではそういう描写も多い。なので、とりあえず、"盛る"事が重要なのだそうだ。
「お母さん、キャミソールが欲しい......」
キャミソールについては、まだ着たことがないが、肩ひもでつるした袖なしの衣服。肩が露出してしまうが、下着用と部屋着用の二種類がある。画像検索でしか見たことが無いが、どちらとも邪魔なブラジャーを付けなくて良いと考えると快適そうなのだ。
「わかった。今度買ってくるわね」
それから少しして母は、部屋着用と下着用のキャミソールを買ってきてくれた。勿論、洗い替えの分も。
(これで、邪魔なブラジャーからようやく解放される......)
その日から、ずっとキャミソールだけで生活するようになった。とはいえ、下着なので、最初は恥ずかしかったし、父も「目のやり場に困る」と言っていた。しかし、それは最初だけだった。というのも、3日後にはキャミソールだけの状態で居ても恥ずかしいとは思わなくなり、父の目の前を通っても、父は興奮しなくなった。それでも「下品だ」とは言われ続けたが、それも時間の問題で、いつしか言われなくなったのである。
(しかし......女子用の服って、なんかんだ可愛いの多い)
女子の、レディースの服や下着って、露出が多かったり、防御力が低かったりして着るには抵抗が大きい。だけど、ワンピースもそうだが、可愛いものがとにかく多い。そのため、私は、女子化してよかったと初めて思ってしまった。男子用の服って可愛いものは無いわけではないが、希少種なので、実は、以前から「ずるい」と思ってきたのである。
(外を歩ける様になったら、お母さんと服を買いに行きたいな!)
外出禁止令が解除された初日、私は母と服を買いに行った。
学校に行けるようになって、以前は一人も居なかった女子友達が沢山でき、一緒に服を買いに行くこともしばしばであった。その時は、丁度クリスマス前で、私には彼氏ができていた。彼氏持ちの女子友達と一緒に、クリスマスプレゼントを選びに行ったのだが、今回は、その直後の話である。その日、私は「勝負パンツ」というものを初めて知った。
勝負パンツというのは、いわゆる、彼氏に見せるためのおしゃれな下着の事だ。確かに、今、私が来ているのは、クリーム色の無地だ。おしゃれとはとても言えない。そもそも、下着は見せるものではない。だから、普段おしゃれな柄の下着を着る必要はないのだ。
「で、どんなものが良いの?」
元々私は男子だが、女子化してからもう随分と日が経つ。だいぶ、身も心も女子になっていて、男子だった頃の感覚は無い。当然、レディース用下着を見てもなんとも思わない。
「鏡を見て、自分に合うもので良いと思うよ!」
(なるほどね......見せるものだもんね)
「それじゃあ、とりあえず良さそうなものを選んでこよう! 10分後、ここに集合ね!」
と、女子友達の中でもリーダー的存在の彼女が号令をかけた。
(しかし、自分に合うものって......わからない。いつも母に任せっきりだったのが裏目にでた__)
とりあえず、ぱっと見で、色やデザインで気になったものを片っ端から選んだ。
(どうせ、この後試着して見せ合うんだから、何でもいいよね......!)
そして、10分が経過してみんな集まった。
「それじゃあ、美咲! 試着してみて!」
選んできたものを試着して披露した。
(いくら勝負パンツと言っても、他人に見られるのは恥ずかしい......)
「驚いたわ......」
「どう?」
「全部似合うわ! みんなもそう思うわよね?」
女子友達全員が、選んできた10種類のどれもが似合うと褒めてくれた。父から家族用のクレジットカードを貰っているので、全部購入した。もちろん、父から許されている使用制限範囲内で。
その後、彼氏から褒められたのは言うまでもない。ただ、その直後に彼を失望させてしまうのだが、それは、また今度のお楽しみである。