第2話
信司が教室から出ていったあと、すぐにそれは起こった。
僕は突然、極度のめまいや倦怠感に襲われ、意識を失った。
*
ここはどこだろうか。
僕は立ち上がり、周りを見渡す。少しゴツゴツしている、黄土色の壁、天井。比較的平らな黄土色の地面。それらで構成されている、10人くらいで窮屈になってしまう広さの部屋。
そして僕の視界に映る、口が裂けている黒い仮面をつけた背の低い人。その人が口を開く。
『皆さん、はじめまして。私はTwcの黒岩でーす。どの方向を向いても私が見えて不思議に思ってるでしょ〜』
この人のいう通りどこを向いても見える。
『実は、皆さんの脳に直接、映像を送っているんですよ。え? そんなの絶対にできないって? あ、そういえばウチの会社の説明してませんでしたね〜。ウチの会社はですね〜、地球の法則やシステムの干渉を研究テーマにしてるんですよ〜。まあ、結果をいうとこの通りできちゃったんですけどね〜』
時折笑みを浮かべながら話しを続ける。
『で、この力を使って何をするかを仲間と考えたんですよ。結論からいうと・・・・・・』
ここで、黒岩の顔が満面の笑みになる。
『世界をアップデートしようということになりました!パチパチパチパチー。あれ?聞こえないなあー。あ、そっかー。こっちに伝える手段がなかったのかー。まあいいや。じゃあ、最後に、直接話しをしたかったら、終焉の塔をクリアしてね〜。まずは、チュートリアル頑張ってねー。バイチャ〜』
その言葉を残して、黒岩が視界からいなくなった。
世界のアップデートとは具体的には、何なのだろうか。終焉の塔とはなんだろうか。その事を深く考える前に取り敢えず、この部屋から脱出しなければ。
〈新規プレイヤーを確認中......確認しました〉
〈HP数値を確認中......確認しました〉
〈MP数値を確認中......確認しました〉
〈その他数値を確認中......確認しました〉
〈スキルを最適化中......完了しました〉
〈その他機能を最適化中......完了しました〉
突如、視界の左下に文字が現れた。次々に右上に緑色のバーが、その下に青色のバーが表示される。
〈チュートリアルの詳細を取得中...完了しました〉
〈これよりチュートリアルを開始します〉