菜々、自転車の順番をめぐってレイと険悪になる。
十月××日 月曜日
今日、部活が終わって帰るとき、ヒボとアイと、レイとオッチャンと5人で一緒に帰ることになった。ヒボとアイはソフトじゃないけど、居残りだって言ってたから終わるのを待っていて、そのあと自転車に乗ってヒボとオッチャンと、校庭側の門にいたけど、レイとアイは、なかなかやって来なかった。
私はヒボと、
「もう、レイ達何しているんだろうね。」
なんて言いながら大声で呼んでいたけど、返事がない。
長い時間待ってたけど、来る様子もないから、
「もう、帰っちゃったかもしれないよ。先に行こう!」
と言って追いかけた。
すると、柳橋のところに、自転車に乗った人と、そばで歩いている人が見えた。
アイとレイだと思ったから、
(アイは徒歩通学だから)私とヒボはでっかい声で
「アイー!レイー!」
と呼んだ。そしたらアイが振り向いて、
「あ、ヒボ、なっぺ。」
気づいた?にもかかわらず、立ち止まることなくどんどん橋を渡っていく。ヒボと、
「ヤダネー、待っててくれてもいいのに。」
と言いながら青になったので、走って追いついた。
「私ら、向こうでずっと待ってたんだよ」
「もう、何回も呼んだけど振り向かないし」
追いつくなり、レイとアイに文句を言った。アイは、
「レイが、そのうち来るから先に行こう!て言ったもん」
という。レイは、と見ると、けろっとした顔で
「うん。ほっといたら来ると思って。」
なんて言ってる。ほっといたら、だって!
そして二人はまた自分たちだけで話し込んでる。今人気のドラマの(新聞記者レイとアイ)と偶然同じニックネームで呼ばれてるから、いい気になってる。
私は、アイはいいとして、レイのあの態度が癪にさわった。アイは「ごめんね」って言ったけど、レイは平然としてた。一体レイは何を考えているのだろう。
そんな態度にもかかわらず、気を悪くしていないヒボに、私は感心した。
(ちなみに、ヒボとは、肥満の美ぼうのアホというひどい意味がこめられている。本人は知らない)私も、ヒボのああいう所を見習わなくてはならないとは、思ったけれど。
他にもある。アイと別れてから、自転車の順番決めでせりあっていたらヒボが、
「いいわ、私一番になってあげる。」
と言った。レイはその時一番後ろだった。そして私はレイの前。そしたらレイが、
「そんなあ。ヒボと話ができないじゃん、やだなー」
と聞こえよがしに言った。まるで、真ん中にいるわたしとオッチャンがよけい者みたいに。私はものすごく腹が立ってしょうがなかったから、
「いいよ!私が一番になればいいんでしょ!」
と言ってさっさと前に出た。
レイ!礼儀のないのはどっち?私に向かってよく言えたもの!
ほんとに、帰ってからも腹の虫がおさまらないから、こうして日記にかきなぐっている。