第3話 「魔王、勇者を育てると決意する」
感想欄がログイン必須になってました。ごめんなさい。
感想求めておいて何をやっているのか……。
今は非ログインでもOKなので、よろしくお願いします!
とりあえずあの職業欄は他者には見えないらしいので、俺は安堵していた。
そりゃそうだ。
魔王の威厳を保つためにあるシステムが、魔王の威厳を地に落とすようなことをする筈がないんだから。
もっとも俺からはその職業欄が丸見えで、いったい何のためなのかとシス子に聞いてみたが答えは得られなかった。
だから単純に俺で遊んでるんじゃないかと訝しんでいる。
『ビービー。
そんなことはございません』
うるせぇよ。
てか音量下げろマジで。
眠いのに頭の中でガンガンガンガン響かせやがって。
まぁしかし、勇者があれではちょっと厳しいことが分かった。
首尾よく俺を攻撃させても、たぶんあの幼女ではダメージを与えることすらままならん。
どうするか考えた結果、俺はあの幼女を育てることにした。
もちろん連れて帰って育てる訳にはいかんので、遠回りになるが。
「では魔王様。
モンスターの配置はこのような形でよろしいですかな?」
デカッ鼻が世界地図を持ってきて説明している。
そこにはモンスターの配置が書き込んであり、特に勇者の周辺に凶悪なモンスターが多く配置されているのがわかる。
それはマズイ。
これでは育つ前に死んでしまう。
(これはやり直しだ。もう少し弱いものを置け)
「愚か者めがっ! 我が軍を無駄に使いおって!」
「は、ははぁ! 申し訳ございませぬ!
ですが勇者を確実に葬るには、今こうしてしまうのが一番かと」
普段ならそうだわな。
さて、なんて言い訳するか。
下手なこというと翻訳が勝手にとんでもないこと口走るしな。
まぁしかし試しだ。正直に言ってみるか。
(育てて強くなって貰いたいからダメだ)
「そのままで良いぞ!」
あー、嘘。ごめん。
今の違います。
混乱しているデカッ鼻は無視して、上手く言葉を伝える方法を模索してみよう。
もうちょっと威厳をみせつつ、魔王としての余裕を見せればいいのか?
(勇者など恐れなくていいから放っておこう)
「勇者など恐るるに足らん! 捨て置けぃ!」
お、やっぱりそうだ。
だんだん分かってきたぞ。
この調子でどんどんいこう。
(最弱モンスターでも配置しておけ)
「雑魚どもを嗾けて遊ばせてやれぃ」
「よろしいのですか?」
(いいぞ)
「構わぬわ。この我を誰だと思っている。グハハハハ」
「ハハッ!!」
んー、まぁ大体想定内かな。
ちょっと翻訳君はでしゃばり過ぎな気もするけど。
さて、これで勇者の周りには最弱系のモンスターばかりになったわけだ。
あとはあの幼女が頑張ってモンスターを倒し、強くなるのを待つばかり。
……?
おや?
なんだこの勇者の近くにいるドラゴンは。
(おいデカッ鼻)
「ジョルジュよ」
――ッ!?
ジョルジュ?
コイツの名前そんなんだったのか。
デカッ鼻も返事してるし間違いないんだろうけど、なんせ300年前ともなると覚えてないわ。
初めて翻訳君が役に立ったぞ。
まぁいい。
このドラゴンはどういうことか聞かなきゃならん。
(このドラゴンはなんだ?)
「この竜はなぜここにおるのだ?」
「ハハッ!
この竜めには財宝を守らせておりまする」
財宝……?
あー、この地図のお宝マークはそういう意味か。
しかし勇者に近すぎる。
なにかの間違いで勇者が近付いたら終わってしまうではないか。
(お宝とかいいからどけて)
「しかと守らせよ」
いやいや、ダメなのかよ。
ってことはなんだ? その財宝は大事なものなのか?
くっそ、参ったぞ。
……よし。
分かった。
(大事なものなら場所を移せ)
「人間共に財宝をくれてやるわけにはいかぬ。
より強固な守りとするべく移送せよ!」
そう言って、俺は絶海の孤島を指差してやった。
ハハッと了承して、デカッ鼻にも文句はないらしい。
これで勇者の周りから危険は取り除かれた。
あとはのんびり成長するのを待っ……のんびりか……。
嫌だなそれは。
俺は今すぐにでも寝たいんだから。
何か方法を考えることにするか。