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時間の詩  作者: よしふみ
1/6

その一

『時間』


日時計の歴史は五千年前だっけ?


時間を計る道具を作るぐらいだから、


時間の概念を把握したのはもっと昔。


いつぐらいなのか?


人類が時間に囚われてしまったのは。


それにさえ気づかなければ?


もっと、のんびり生きられた?


それとも世界を律することが叶わずに、


大きな発展はなかったかしら?


時間は僕たちに多くを与え、


多くを奪う。


人を真の獣の一種から逸脱させて、


孤高を見失わせ、


群れに律することを定めさせた。


老いを恐れさせた。


でも、とつきとうかで命が生まれることも知らせてくれた。


太陽の動きを数え、


いつしか地球が動いていることに気づき。


不安にさせ、


好奇心に火をつけた。


時間は悪魔のように狡猾で、


僕らに与えて、奪っていくよ。


世界に生きている限り、


時間の流れに囚われて、


手に入らない永遠に憧れる。




『時計』


ミレーの晩鐘のなかで、


来たる夜の闇を背負いながら祈る人がいる。


不幸な死に方をした人たちへの祈りとか?


夕暮れの度に、


そういう優しい祈りを心に抱けたら、


少しはいいヤツになれそうだ。


時を告げる意味に、


祈りを重ねていた時代もあった。


秒針いらずのデジタルな刻みより、


銅と錫の合わせ金の響きのほうが、


心に響く音になる?


祈るためには慈悲がいり、


慈悲を知るには痛みがいる。


利便性の果てには慈悲はないのかも。


不便がつくる気持ちもあるんだと、


古い時計職人が自慢気に緻密な歯車を、


太くて古い指でいじってる。


パソコンよりも複雑に見える歯車の地層。


時間を刻むことの芸術さよ。



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